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残照の革命  作者: Nuhs
第2章ー討魔高校編ー
13/49

紅に染まる意識

 「次........じゃあ君は………次.......」


 次々と生徒たちの能力が明らかにされていく、様々な反応に声が上がり。中には落胆する者もいた。

 

「じゃ、最後は……日向悠真くん。君の番だね~」


 月詠教官に名を呼ばれ、悠真は静かに頷くと席を立ち、装置の中心へと歩を進めた。


 その姿に、生徒たちの視線が集まる。

 二重継承者。討魔省の記録にもない、異例の存在。


 装置に立つ悠真の前で、空間が回転し、景色が一変する。


 


 ――そこは、焼け野原となった戦場だった。


 空は黒煙に覆われ、地には万を超えるであろう無数の魔徒の姿。

 人の形をしていたはずのそれらは、咆哮と共に血を求めて蠢いている。


 


 「っ……!」


 悠真の胸に、熱が走る。

 焼けつくような炎。だが、それは不思議と苦しくなかった。


 


 その瞬間――


 今までで、最も鮮明に頭の中で、“声”が響いた。


 


 ――よいか、若き者よ。

 たとえ万に囲まれようとも、心折るな。

 誇りを胸に、義を背に、武を尽くせ。


 ――膝など、断じて地につけるな。

 最後の一矢を放つその時まで、戦場に立ち続けよ。

 それが、我が“真田”の矜持ぞ。


 


 (……これは?………あの時の!)


 なぜだろう、不思議とその言葉の意味が理解できた気がした。いや、それはもはや理解というものではなく、過去に経験した事のように感じられた。


 


 次の瞬間、悠真の足元にメラメラと赤き術式陣が広がる。

 轟、と地鳴りのような音と共に、六文銭の紋章が浮かび上がり――


 噴き上がる炎のような赤い霊子が、悠真の背を包んだ。


 その時!

 悠真が肌身離さず持ち歩いていた六文銭の鍔が甲高い音を立て輝き始めた

 まるで、それは何かを呼んでいるような、共鳴するかのような………


「能力反応、急激に上昇……!? これは……何か来るぞ……!」


 月詠がモニターの前で目を見開く。


 「……なっ………何だ…よ………こ………れ………。………」

 

 そして、眩い光と共鳴音と共に悠真の意識が途切れていく。



 そして揺らめく赤い霊子の中心から――ホログラムの刀が生成される

 刀身から赤黒い霊子が燃えるように噴き上がり、その姿は妖しく揺らめき柄の部分には六文銭の鍔が備わっていた。


 ーーーーガタンッ


 「こっ……これはっ!!!」


 思わず立上がり、刀を凝視する月詠。


 「間違いない、あれは……!!」


 興奮しているのか、周囲も気にせず噛り付くように悠真の刀を眺め呟く。


 「伝説の妖刀・千子村正!!」


 


 悠真は、無言でそれを握る。

 ただ一歩踏み出し、前を睨み――そして、ただ横薙ぎに振るったーーーー。


 速い、刀身が音を置き去りにする


 ―――ヒュッ



 ――その刹那――――斬撃が、空間そのものを裂いた。


 


 次の瞬間、眼前の万を超える魔徒が、一閃で断ち割られた。


 いや、空間ごと削り取られたと言った方が正しい。

真っ赤な残光を残しながら、斬撃は戦場を横断し。敵もろともそのまま、彼方の空も裂いていった。


 


 「……えっ……!?」

 「なんだよあれ…………!」


 ざわめく生徒たちの声すら届かない中、悠真の霊子がなおも高く燃え上がる。


 


 「――斬る、敵を…」

 そう静かに呟いた悠真には既に意識はなく、その瞳は今までになく紅く揺らめいていた。


 ―――バキン――パキッ


 驚くべきことに、悠真の握る刀身の先からホログラムがひび割れ現実の刀身が顕現しようとしていた。


 「ありえないありえないありえない事だ………これは!?」

 

 そう叫ぶ月詠の口元は弧を描いていた。


 ―――――ビーッ

 《警告!警告!異常値ヲ計測!即刻機能ヲ停止サセテクダサイ!……繰リ返シマス………警告!………》

 

 赤黒いサイレンと警告音に我を取り戻す月詠。


 「………マズイっ!!シュミレーター強制停止!!」

 月詠は仮想フィールドを止めようと術式を組むが、停止しない。

 「おいっ、そこのお前!!そのケーブルを引き抜け!!!」


 咄嗟に足元のケーブルに視線を落とす玲央、力任せに引き抜いた。


――――ブツンッ――プシュー



 ―――バタン


 先程まで装置の中央にいた悠真は、糸の切れた人形のようにその場に倒れこんだ。

 駆け寄る直人達。


 「悠真っ!おいっ、悠真っ!!」


 警告音に包まれた部屋の中で仲間たちの声が響き渡る。


 月詠は、端末の警告音を聞きながら、背筋に走る戦慄を抑えきれなかった。

「二重継承者……いや、“それだけ”じゃない。こいつは、いったい……」


端末のログには、記録不能な“もう一つの霊子反応”が、わずかに――確かに、残っていた。



 

 


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