第85撃:湖の浄化と、二人の水浴び
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三人がルナリスと楽しそうに戯れているのをしばらく見守った後、一真が口を開く。
「さて――お前たち、ここに来たのはドラゴンポチ……じゃなくて、ルナリスと会わせるためだけじゃないぞ。この湖を最初に見た時の感想、忘れてないか?」
一真の言葉に、最初に反応したのは紫音だった。
「ああ! そうだった、水浴び!」
「うん、ようやく汚れを落とせるね」
柚葉も続き、晶も気遣うように言葉を添える。
「ボクや一真さんは宿の井戸水で身体を拭けたけど、二人は……」
一真は安心させるように三人へ伝えた。
「見ても分かると思うが、この湖の水は安全だ。煮沸なしで飲めるほど澄んでいる。水浴びももちろん可能だ。少々冷たいかもしれんがな」
その言葉を聞き、柚葉はいったん嬉しそうな顔をしたものの、すぐに曇った表情を見せる。
「あ、でも……私たち、この世界に来てから一度もお風呂に入れてないし……身体を拭くことすらできなかったから……」
気落ちした様子の柚葉に続き、紫音も声を曇らせる。
「魔王軍との戦いで泥だらけになったし、この森に来てからも……。せっかくの綺麗な湖なのに、スゲー汚しちまうかもな……」
二人の言葉に、ルナリスが胸を張るように「キュッ!」と鳴き声を上げた。
「ん? どうしたの、ルナリス?」
晶が首をかしげると、一真が答える。
「なんでもな、この湖を浄化しているのはルナリスらしい。詳しい仕組みは分からんが……様子を見るに、『任せとけ』って言ってるんじゃないか?」
ルナリスは力強く頷き、「キュッ!」と自信ありげに鳴いた。
まるでぬいぐるみが誇らしげに胸を張っているようで、柚葉は思わず抱きしめたくなる気持ちを抑えながら問いかける。
「でも本当に……ルナリスちゃんって、何者なんだろう? 確かにモンスターって感じじゃないし……水の妖精さん、とか?」
「キュ?」
意味が分からなかったのか、ルナリスは小首を傾げて鳴き声を返す。
一真が話を進める。
「今考えても答えは出んさ。それよりも――水浴び、するのか? しないのか?」
一真の声に紫音と柚葉は即答する。
「する!」
「します!」
二人の勢いに一真は微笑を浮かべる。
「よし。じゃあ二組に分けて二回にしよう。最初は紫音と柚葉、続いて俺と晶だ」
しかし、その提案に勢いよく異を唱えたのは晶だった。
「だ、ダメですっ!」
思わず声を張り上げた晶に、一真は間の抜けた声を出す。
「へ? なんでだ?」
顔を真っ赤にしながら、晶は小さく呟く。
「な、何でって…だ、だって……かずまさんの……エッチ……」
「エ、エッチって……なぜ!? 男同士だろ!」
一真の抗議に、晶は言葉を詰まらせつつも首を横に振る。
「そ、それは……そうなんですけど……とにかくダメなんですっ!」
その態度に何かを察した一真は、ため息をつきつつ提案を改める。
「……ふう。なら三回に分けよう。最初は紫音と柚葉、次に晶、最後に俺だ。周囲の警戒は続けるから、安心していい」
「……っ!」
晶はほっとしたように胸を撫で下ろす。
一真は頷き、晶に声を掛けた。
「よし、じゃあ俺たちは森の中で待機してよう」
そして紫音と柚葉に向き直り、真剣な表情で告げる。
「あまりはっきり言うことじゃないが――覗いたりはしない。安心して羽を伸ばしてくれ。封神拳の強化も聴覚は切っておく」
「ありがとうございます!」
二人は声を揃えて礼を述べ、一真は晶を連れて森の中へ消えていった。
湖に残されたのは紫音と柚葉、そしてルナリス。
柚葉はルナリスに向き直り、申し訳なさそうに呟く。
「ルナリスちゃん、ごめんね? 汚れ……落とさせてもらうね」
「キュ!」
力強い鳴き声に、二人は自然と笑みを浮かべた。
顔を見合わせ、頷き合うと、服を脱ぎ捨てて水辺へ。
「よ、よし……一緒に入るぞ、柚葉……」
「うん……ただの水浴びなのに、なんだか緊張するね……」
ゆっくりと湖へ身を滑らせる。
水が腰ほどに届いたところで二人は足を止めた。
「くぅ~~! 気持ちいい~! ちょっと冷たいけど、最高だぜ!」
「ほんと……最高だね……。実際よりずっと長い間、お風呂に入れてなかった気がする」
二人は手で身体を撫で、土埃や汗を落としていく。
水に溶け出した汚れを見て、紫音の声のトーンが落ちる。
「あ……やっぱり汚しちまうよな。せっかく綺麗な湖なのに」
「うん……なんか申し訳ないね……」
気落ちした二人のもとへ、ルナリスが近づいてきた。
「キュ、キュ」
その姿に柚葉は嬉しそうに目を細めたが、すぐに曇らせる。
「ルナリスちゃん……ごめんね……湖を汚しちゃった……」
「……オレたちのせいで……」紫音も同じく項垂れる。
二人の表情を見て、ルナリスは「キュ!!」と強く鳴いた。
その瞬間、湖の水が淡く輝き出す。
「な、なんだこれ……!? 水が……どんどん綺麗になっていく……!」
「ほんと……すごい……これ、ルナリスちゃんが……?」
さらにルナリスがもう一度鳴く。
「キュ!!」
すると、こびりついていた血や泥の汚れまでみるみる落ち、湖は完全な清流へと変わっていく。
二人は驚きながらも、自分の身体を擦り洗いし、汚れが水に溶けると瞬く間に浄化されていくのを目の当たりにした。
「ルナリス……お前、一体……」
「キュ?」
小首を傾げたルナリスの鳴き声が、森に愛らしく響いた。
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