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第63撃:「叔母の導き」

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今回も少し短めです。

まだ過去話は続いてしまいます。

退屈に感じてしまったら、申し訳ありません。

 一真は少し息をつき、焚き火の炎を見つめながら話を続けた。


「さて、日本に帰ってこれたのは良かったが、それからも色々と大変でな。誰が俺を引き取るかで、親戚中が揉めたんだ。面倒事は御免だって言う奴もいたし、施設に預けるべきだという意見も出た。あと、親が残してくれた家や道場、保険金……それ目当てで引き取ろうとする奴もいたな」


 その言葉を聞いて、晶は自然に表情を曇らせた。まるで自分の過去を思い出しているかのようだった。


(……一真さん…ボクと同じだったんだ……なのに、何故、この人はこんなにも強くあれるんだろう……?)


 晶は心の奥でそう感じた。辛くないはずがない。たとえ過去のことと言えど、あれほど壮絶な家族との別れを経験して、平気でいられるはずはない。だが一真の表情や態度からは、暗い影は伝わってこなかった。まぶしいほどに、力強く、眩しく見えた。


 晶も家族を事故で失い、親戚からは厄介者扱いされ、資産目当てで近寄ってくる者もいた。それが辛く、仕方なく逃げるようにして引っ越したのだ。幸い、家族が残してくれた資産があり、亡き親が信頼していた弁護士が後継人として資産を管理してくれた。事務的ではあったが、生活する上で困ることはなかった。しかし、新しい学校では一部の生徒、紫音や柚葉を除いてみな心を開いてくれず、孤独な日々が続いた。


 その場の静けさを破ったのは、紫音の怒りの声だった。


「なんだよ…それ…。人のことを厄介者扱いって……親族なんだろ?そんなことしなくてもいいじゃないか!」


 一真は紫音に優しく微笑んだ。怒りを受け止めるような、温かさのある笑みだった。しかし、その後の言葉は現実の厳しさを隠さなかった。


「仕方がないさ。子どもとは言え――いや、子どもだからこそ、人一人を養うというのは簡単なことじゃない。親戚にもそれぞれ生活がある。自分や家族の生活を優先して考えるのは、当然のことなんだよ」


 一瞬間を置いて、少し冗談めかして笑う。

「……金目当てで寄ってきた奴らは、論外だけどな」


 それでも紫音は納得できないようで、眉をひそめたままだった。


 次に口を開いたのは柚葉だった。

「一真さんは、その後どうしたんですか? その……後継人とか……やっぱり、施設に?」


 一真は柚葉の方を向き、少し穏やかに頷く。

「いや、施設には入らなかった。親戚が揉める中、叔母さん――親父の妹の草薙綾女さんが、俺を引き取ると言ってくれたんだ」


 その言葉に晶が確認するように口を開く。

「あ、先程言っていた、本格的に武術を教えてくれた方ですね……」


 一真は笑顔で頷き、懐かしさを込めて語る。

「ああ、そうだ。俺を引き取り、武術だけじゃなく生きる強さを教えてくれた。親代わりとして、俺に愛情を注いでくれた人だ」


 笑顔が少し柔らかくなる。

「そして、俺と姫咲さんを引き合わせてくれたのも、この叔母さんなんだ」


 三人はその言葉を聞き、黙って焚き火の揺れる炎を見つめる。その言葉には、家族を失った少年を救い、導いた叔母の存在が、静かに、しかし確かに刻まれていた。


毎回の恒例となってしまってますが、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします!

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