第54撃:帰らずの森の再会
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一真と晶は、無人小屋をあとにして帰らずの森への道を進んでいた。
道中、いくつかのモンスターに遭遇したが、一真にとっては造作もない相手。封神拳を使うまでもなく、その拳と脚で次々と撃破していく。晶は改めてその強さに目を見張りながらも、一真の背に守られる安心を感じていた。
やがて太陽が真上に昇る頃、二人は帰らずの森の入口に到達する。
「よし、予定通りの時間だな」
一真が森を見上げて呟く。
「はい、帰ってきましたね」
晶も頷く。かつて恐怖を味わった場所に戻ってきたのだが、不思議と足取りは乱れなかった。
「ここからは油断せずに進もう。晶、あまり俺から離れるなよ」
「はいっ!」
晶は表情を引き締め、力強く返事を返す。
二人はついに森の中へと踏み入った。
――途端に、空気が変わった。
背筋を這うような重苦しさ、圧迫感。晶は思わず息を呑み、不安げに隣の一真を見る。
彼は既に呼吸を変えていた。封神拳の呼吸法――仙気を体内に巡らせ、五感を鋭く研ぎ澄ます技。
(以前この森にいたときは、魔王軍の使い魔に監視されていたみたいだからな……用心に越したことはない)
一真は鋭い感覚で森を探る。
そして、異変を捉えた。
「……森に、誰かいるな」
「えっ!? この森にボク達以外の人が……魔族、でしょうか?」
晶が驚いて声を上げる。
「分からん。だが、場所は……俺たちが拠点にしていた巨木の広場の方だ」
晶は息を呑む。そこは彼らが一度は生き延びた場所。その記憶が不安を呼び覚ます。
「晶、悪いが少し我慢してくれ」
「え? 我慢って……って、うわぁ!?」
言葉を聞き終えるより早く、一真は晶を抱き上げた。いわゆる――お姫様抱っこ。
「か、か、か、一真さん!? 一体なにをっ!」
顔を真っ赤にして取り乱す晶に、一真は真剣な声音で告げる。
「すまんが少し飛ばすぞ。しっかりつかまってろ」
「へ? 飛ばすって……」
次の瞬間、一真は駆け出した。
疾風のように、森を裂いて。
「キャァァァァァァッ!!」
晶は女の子のような悲鳴をあげ、一真に必死にしがみついた。
だが奇妙なことに、木々の枝は一本たりとも晶に当たらない。恐る恐る目を開けると、一真は片手で晶を抱えながら、指先に集中させた仙気の刃で、障害物となる枝を器用に切り落としていたのだ。
その技の緻密さに、晶は言葉を失った。
やがて一真は拠点にしていた森の広場にたどり着く。そこで立ち止まり、晶をそっと地に降ろした。
晶は早鐘を打つ胸を押さえながら、広場を見やる――。
そこには、モンスターに襲われている二人の女性の姿があった。
「……っ!」
晶の目が大きく見開かれる。
「天城さん! 千歳さん!」
その名を呼ぶと同時に、二人の少女も顔を上げる。
「晶!!」
「晶くん!」
声を上げたのは、晶のよく知るクラスメイト――天城紫音と千歳柚葉だった。
二人はぼろぼろだった。制服は泥に汚れ、あちこちに浅い傷を負い、肩で荒く息をしている。今にも倒れそうなほど消耗しているのが一目で分かる。
彼女たちを襲っていたのは、巨大な牛のような魔物。地球の牛の二倍はあろうかという巨体。二本の角は鋭利な刃のように輝き、長い体毛は陽光を受けて硬質な光を反射する。牙は鋭く突き出し、その存在感だけで人を圧倒した。
――『ブレードブル』。帰らずの森でも危険度の高いモンスターである。
「晶! すぐに逃げろ! こいつはヤバい! 今まで出会ったモンスターの中で一番強い!」
紫音が必死に叫ぶ。
「そこのおじさまも! 晶くんを連れて逃げてください! このモンスターは私たちが引き付けますから!」
柚葉も声を張り上げる。
その言葉に、一真は不敵に笑った。そして、隣の晶の頭に優しく手を乗せる。
「晶、少しだけ待ってろ。お前のクラスメイト、すぐに助けてやる」
「はい! 一真さん……二人を、助けてください!」
「ああ、任せとけ」
一真の声は揺るぎなく、晶の胸に強い安堵と信頼を呼び起こした。
いつも読んでくださり、応援してくださり、本当に有り難う御座います。
言葉だけでは感謝を伝えきれないことが、もどかしく思います!




