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第252撃:封神拳vs魔導

ブックマークに高評価、本当に有難うございます!

とても嬉しいです!


ついに二人の激突です!

楽しんでいただけましたら、ワタクシ嬉しくて鳥ダンスです!

正気に戻った皆に、バルト王は事情を説明し始める。


魔王軍の過激派の一人によって、洗脳されていたこと。

王女ファレナが攫われていること。


そして過激派の目的……邪神ゼルグノスの復活を。


王の説明を受け、城内は騒然とする。


洗脳を受けていたとは言え、

自分たちはどれほど恐ろしい事に利用されていたのか。


心優しき姫である、ファレナは無事なのか。


混乱する民に、王が静かに声を飛ばす。

その声は、静かでありながらよく響く。


「落ち着くのだ。

そなたたちの責任ではない。

全ては不甲斐ない……余の責だ」


その言葉を受けて、場は静まり返る。


皆その顔には、様々な痛みが浮かんでいる。


知っているのだ。

王がどれだけ、民のためを思いここまで来たのかを。


みんな知っているのだ。


王が新たに生まれた民の子を抱き、

まるで自らの孫のように喜んでいた姿を。


作物の収穫時期に、お忍びで城下町まで降りてきて、

泥まみれになって収穫を手伝っていた姿を。


その後家臣に怒られ、

照れくさそうに笑いながら連れて行かれた姿を。


妻を早くに亡くした王が、どれほどファレナ姫を大切にしていたのかを。


そんな王が、自らの責任だという。


一番つらいのは自分な筈なのに。

本当は居ても立っても居られない筈なのに。


一人の城兵が、堪らずに声をあげた。


「……違います……違います!!

王は悪くない!悪くあってたまるか!」


その声を皮切りに、皆一斉に声をあげ始める。


「そうだ!悪いのは魔族の過激派だ!」

「王様は悪くありません!」

「バルト王、きっと大丈夫です!

ファレナ様は無事に決まっている!」


多くの声を受け、王の瞳が揺れる。


王として、民の前では涙は流さない。


それでもバルト王は、その想いを言葉に込めて小さく呟く。


「……そなたたちに……感謝を……」


————


柱の陰からそれを見ていた一真は、笑みを浮かべて踵を返す。


(……どうやら大丈夫なようだな)


此度の件で、エルサリオンが崩れるのが怖かった。


自分達が置かれた現状を知り、絶望してしまうかもしれないと危惧をした。


——大丈夫だ。

この王と民ならば。


このようなことで潰れるような国ではない。


(フッ……

初めてこの世界に来た時と比べて、大分印象が変わったな)


自分もまだまだ、見る目が甘い。


一真は誰にもバレないように、そっと城を出た。


人目につかないように物陰に移動すると、天駆空歩で空を駆ける。


向かう先は、高速でこちらへ近付いてくる気配のもとへ。


その気配からは、強い焦りのようなものが伝わってくる。


確信はないが、おそらくはセレフィーネだ。


一真は魔力は感じ取れないが、それでもその気配は見逃さない。

いや、見逃せない。


この気配の主は、“ヴェイルよりも強い”。


正直疲労はある。

空腹が胃を鷲掴みにする。


一真はヴェイルとの戦いで、

かなりの強度で神甲天衣と修羅天躯を使い続けていた。


そうさせるだけの強さが、ヴェイルにはあったのだ。


その前は、ヴェイルを止めに来た軍隊とも戦っている。


体力は既に、全快時の3~4割ほど。


——なぜだろうか。


——負ける気がしない。


——力が……湧いてくる。


(セレフィーネとやら。

悪いがこれ以上、エルサリオンには手を出させん)


————


一真が城を出て、ほんの僅かの後だった。

セレフィーネとの邂逅は。


気配を消していた一真を、セレフィーネは捉えることが出来ていなかった。


故に、唐突に一真が目の前に現れたように感じる。


「!?」


目を見開き、空中で止まるセレフィーネ。


一瞬理解が追いつかない。


目の前にいるのは得体のしれない男——草薙一真だ。


二人はしばし睨み合い、同時に大地へと下り立つ。


睨み合いの沈黙を破ったのは一真だ。


「貴様がセレフィーネだな。

ここから先には行かさん」


短く告げられた一真の言葉。


その言葉を聞いて、セレフィーネは確信する。


(この男が……ヴェイルを殺した……!)


直接見たわけではないのに、その確信は揺らがない。

目の前の男から立ち上る、得体のしれない力がそれを許さない。


この男の召喚により、全てが狂い始めたのだ。


セレフィーネは、怒鳴り散らしたい気持ちを必死に抑え込む。

屈辱に歪みそうな顔を、必死に覆い隠す。


セレフィーネは冷静を装い、一真へと問いかける。


「草薙一真……なぜ貴様がこんなところにいる?」


一真は多くは答えない。

一言静かに呟いた。


「分かっているだろう?」


奥歯を噛み締めるセレフィーネ。

分かっている。

危惧していたからこそ、ヴェイルを選んだのだ。


魔力を全身に行き渡らせ、身体を強化する。


セレフィーネは質問を続ける。


「空将ガズラを殺ったのは貴様だな?」


一真は一瞬何のことだか分からなかった。

だが、“空将”と言う言葉で思い当たる。


「……奴か。

ああ、俺が殺した」


——ギリッ——


より強く噛み締めた奥歯が、音を鳴らす。


ここから先は、聞かなくても答えは分かる。


それでも聞かないわけにはいかない。


「……ヴェイルを殺ったのも?」


「ああ」


ただそれだけの、短い応答。


セレフィーネは手に魔力を集める。


一真も拳に仙気を込めた。

挿絵(By みてみん)

——合図は、セレフィーネの呟きだった。


「そうか。

……なら死ね!」


セレフィーネの魔力が込められた拳が、

一真の顔に目がけて撃ち出される。


その拳に、一真の拳がぶつけられる。


『バチィィィィッ!』


魔力と仙気が火花を散らす。


弾かれたのは、一真の右腕。


一瞬の体勢の崩れ。


セレフィーネはそれを見逃さず、すかさず準備をしていた魔法を解き放つ。


「グラヴィティ・ブラスト!!」


——空間が軋んだ。

セレフィーネの指先で、不可視の球体が収束する。


次の瞬間。


重力が弾けた。


「!?」


衝撃と共に、一真の身体が弾丸のように吹き飛ばされる。


高速で吹き飛ぶ一真の身体。


身体に纏わりつく重力波が、

全方位から一真を圧し潰さんと、うねり圧縮される。


軋みを上げる、一真の肉体。


肉が拉げ、骨が砕ける。


——かに思えたその時。


「封神拳——神甲天衣!」


一真の仙気が、強固な守りとなって身体を覆い尽くす。

もっとも強く姫咲から叩き込まれた、“命を守る”ための技。


「っ!……はぁ!!」


『バチィィン!』


裂帛の気合とともに、一真は重力波を“引き裂いた”。


あまりにも常識はずれな一真の行動に、セレフィーネは舌を巻く。


(あれを引きちぎっただと!?

なんてデタラメなやつだ!)


しかしセレフィーネは驚きつつも、攻撃の手を休めない。


「くっ!……ならこれだ!」

「エア・スピア!!」


力ある言葉とともに撃ち出された空気の槍が、一真を貫かんと襲いかかる。


一真は既に体勢を立て直していた。


迫りくる魔法に合わせて、自らも技を叩き付ける。


「封神拳!穿魂貫手!」


指先に集中された仙気が、鋭い槍となって魔法と激突する。


仙気の槍と魔法の槍。

二つのぶつかり合い。


今度は一真が制した。


『パァァァァン!』


耳を劈く音を立て、セレフィーネのエア・スピアが消し飛ぶ。


すかさず一真は攻勢に転じる。


「封神拳!仙気流光!」


一真の手のひらから撃ち出された、圧縮された仙気弾がセレフィーネに迫る。


セレフィーネは焦ることなく、それを迎撃する。


「バーストブロウ!」


爆炎を持って対象を破壊する、中級攻撃魔法。


しかしセレフィーネの使ったバーストブロウは、とても中級とは思えない威力。


一真の仙気弾と衝突して、双方弾け飛ぶ。


『ドカァァァァァン!』


巻き上がる爆煙。


風が吹き、煙を攫っていく。


煙が消え、視界が開けた先に——二人の姿はなかった。


二人は爆煙が起こった直後に、空へと戦場を移していたのだ。


ゼロ距離で殴打の応酬が行われる。

目にも止まらぬ、無数の拳撃と蹴撃。


『ドカッ!』

『バキィ!』

『ズドンッ!』


「はぁぁぁぁぁぁ!」


「いやぁぁぁぁぁ!」


仙気と魔力がぶつかり、渦巻き合う。


————


戦いながら、セレフィーネは背筋が冷えていった。


セレフィーネは現在、魔力による肉体強化と強化魔法を二重に使っている。

攻撃力と防御力の大幅上昇。


その威力、精度はヴェイル以上。


相手が並の者なら、最早肉片すら残ってはいないはずだ。


直撃させている攻撃は、セレフィーネの方が多い。


なのにも関わらず、ダメージ自体はセレフィーネのほうが大きかった。


(何だ!何なんだこいつは!

くそっ!バケモノめ!)


この瞬間セレフィーネが感じている恐怖は、数時間前にヴェイルが感じた恐怖と同じ。


セレフィーネは知らない。


一真の師である姫咲の想いが、今まさに一真の命を護っていることを。


——何よりも、どんな事よりも、守りの技を徹底させた。


“大切な人”が……無事に帰ってきてくれるように。


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― 新着の感想 ―
良いところで終わってしまいました( ;∀;) 次を楽しに待ちます╰(*´︶`*)╯♡ イラストも素敵でした٩( 'ω' )و
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