表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

248/250

第247撃:虚実の閃撃

ついにバトル開始です!

楽しんでいただけたら、ワタクシ嬉しくて鳥ダンスです!

ホゥホゥ♪

ヴェイルは嬉しそうに言葉を発する。


それはいっそ、純粋とすら言えるような無邪気な残忍さを含んでいた。


「そうかい!私と遊んでくれるんだね!

ならやろう!今すぐに!さあっ!」


しかし一真は、笑みを潜めてヴェイルへと問いかける。


「その前に一つ聞かせろ。

この部屋の血は……誰のものだ?」


本当なら聞く必要のないこと。

大方の想像はつく。


それでも一真は、一縷の望みに懸けた。


その問いを聞いたヴェイルは、今思い出したかのように間の抜けた声を上げる。


「えっ……?

ああ、それかい?

悪かったね。掃除が行き届いてなくて」


そして“楽しい”思いでを思い出すかのように、答えを返した。


「少し退屈だったんでね。

ワタシの遊び相手になってもらったモノたちがいるんだ。

すぐに壊れちゃったけどね」


——一真の想像は覆らなかった。


この血は晶たちの同級生のもの……

生き残っていた召喚勇者のものだ。


「……そうか」


一真はそれだけ呟くと、少しの時間だけ黙祷をおこなう。


その子たちの名前すら知らない。


召喚された初日に、ほんの僅かに顔を見ただけ。

覚えてすらいない。


晶を苛めていたということにも、思うところはある。


それでも——それでもせめて、この異世界の地において、

たった一人くらい祈りを捧げても許されるだろう。


ヴェイルはそんな一真を不思議そうに見つめている。


一真の行動の意味が分からないといった様子で、言葉をかけてくる。


「……君、一体何やってるんだい?」


一真は目を開けると、一言短く言葉を返す。


「気にするな。

貴様には理解できないことだ」


一真は気持ちを切り替えた。

再び戦闘モードへ。


獰猛な笑みを浮かべ直し、ヴェイルへと言葉を叩き付ける。


「さて、言った通り相手をしてやる。

——ただし」


先程のやり取りなど忘れたかのように、ヴェイルは楽しそうに聞き返す。


「ただし?

焦らすのは止めてほしいな。

セレフィーネちゃんが戻って来る前に、終わらせておきたいんだけど?」


セレフィーネはどこかに出ている。

それが分かっただけでも、一つ収穫だ。


そんな考えをおくびにも出さず、一真は続ける。


「ただし場所は変えさせてもらう。

こんな場所ではお前も窮屈だろう?」


こんなところで戦えば、一体何人が犠牲になるかわからない。


バルト王の身の安全も保証されないだろう。


承諾しなければ、無理矢理にでも外へと連れ出す。


一真がそう考えていると、ヴェイルは意外なほどあっさりと承諾した。


「ああ、そんなこと。

ワタシは別に、それでかまわないよ。

それじゃあ、外へ行こうか」


そう言うやいなや、ヴェイルは窓を開け放ち、外へと飛び降りる。


そのまま飛行魔法を発動して、

エルサリオン王国から僅かに離れた場所へと降り立った。


一真は一瞬部屋を見渡すが、共鳴核は見当たらない。


(……やむを得ん。

ヤツとの戦いの後に、戻って調べるか)


一真は開け放たれた窓に向き直ると、“空”へと向けて一歩踏み出した。


空中——足元には仙気で作り出した足場。


封神拳における空中歩行技、『天駆空歩』である。


そのまま一真は空を駆け、ヴェイルの前で大地に降りる。


ヴェイルは擬態をやめていた。

目の前の“男”を見て、僅かに眉を動かす一真。


そんな一真を見て、ヴェイルは待ちきれないと言った様子で声を弾ませる。


「さあ!さあっ!ワタシを楽しませてくれるんだろ?

ふふっ……いい声で哭いてね?」


次の瞬間、一真とヴェイルは同時に大地を蹴る。


凄まじい速度。

瞬時に肉薄して、拳を叩きつけ合う。


『ズガァァァァン!!!』


ぶつかった拳が轟音を立てて、蒼い仙気と紫黒の魔力が火花を放つ。


挿絵(By みてみん)


——互角。


ヴェイルは拳に、かなりの魔力を込めていた。

強化されたその拳は、

並大抵のものなら跡形もなく吹き飛ばせる威力が秘められている。


しかし一真は吹き飛ぶどころか、拳に傷一つ無い。


ゾクゾク。


ヴェイルは背中に、電撃が走ったかのような感覚を覚える。


(これで平気な顔をするのかっ!

いい、いい!いいぞ!)


歓びに顔を歪ませながら、拳と蹴りを連続で繰り出すヴェイル。


その全てに甚大な魔力が込められており、一撃一撃が必殺に値する威力。


『ズドン!』

『バキィ!』

『ガキィィィン!』


それらはもはや、生身の人間が立てて良い音ではない。


しばらく打ち合いを続けていた二人だが、一真が右手に仙気を集中、圧縮する。


可視化された蒼色の仙気が、唸りをあげる。


『ヴォン』


しかしヴェイルは、当然それを見逃さない。


(くるか!

だけど甘いね!!)


ヴェイルは強化魔法を発動する。


詠唱すら無い、無言の魔法発動。

その強化率は、通常の魔力による身体強化の比ではない。


(少し早いけど、まあいいや。

強いは強いけど、これじゃあ——セレフィーネを“殺す”役には立たない)


もったいない気はするが、もう壊してしまおう。


一真の一撃に合わせて、カウンターで壊す。


ヴェイルが内心歓びに震えている中、一真が仙気を込めた拳を突き出した。


ニヤリと笑みを浮かべるヴェイル。

この拳は受ければ危険だが、来ることがわかっていれば避けるは容易い。


あっけない幕切れ。


(せめて最後は、ワタシの歓びの糧となって死ねぇ!)


ヴェイルは一真の拳を避けて、魔力で固めた拳で、

その顔を粉々に吹き飛ばそうとした。


——しかし。


『バグンッ!ゴシャッ!!』


(!?)

「ぐはぁ!!」


激しい痛みと同時に吹き飛ばされたのは、ヴェイルの方だった。


『ズドン!

ズザザザザザザザ——ゴロゴロゴロ』


地面に叩きつけられて、そのまま滑り、転がるヴェイル。


(何だ!?

左脇が痛む!?)


慌てて一真を見るヴェイル。

一真は右脚を上げている。


その姿を見て、何が起きたのかを瞬時に把握するヴェイル。


ヴェイルが左の拳でカウンターを打とうとした瞬間、

一真は気配を殺した右脚を、ヴェイルの左脇腹に叩き込んだのだ。


相手の脚に気配はなく、自らの左腕が死角を作っていた。

故に気づけなかったのだ。


一真は仙気を脚に込めながら、その上で気配を断っていた。


しかもヴェイルには、一真の仙気がよくわからない。


一真が魔力を感じ取れないように、

ヴェイルもまた、仙気を上手く捉えることが出来ないのだ。


わざと拳の仙気を可視化させたのはフェイク。

虚と実だ。


「……っ!?ゴハァ!」


ボトボトボト。


ヴェイルの口から大量の血がこぼれ出し、大地に染み込んでいく。


一真が放った蹴りは、ただの蹴りではない。


『封神拳・裂空脚』


インパクトと同時に相手に仙気を叩き付ける、

外部破壊と吹き飛ばしを狙った技。


しかしその蹴りに込められていた仙気は甚大。


破壊の力は外部に留まらず、ヴェイルの内部まで及んでいた。


一真は油断しない。


すぐさま次の行動へと移る。


素早くヴェイルへと接近すると、先程右拳に溜めていた仙気を圧縮する。


慌てて立ち上がり、飛び退こうとするヴェイル。


しかし、一真のほうが早い。


一真は圧縮された仙気の塊を、立ち上がったヴェイルの胸に狙い付ける。


「封神拳——破天掌!」


避けられないと悟ったヴェイルは、瞬時に防御に移る。


「くっ!

シールドヴェール!」


間一髪で、魔法発動は間に合った。


ヴェイルの身体を、魔力の防護膜が覆う。


だが一真は、かまわず仙気を叩き込む。


『ギュオン——メキメキメキッ!』


軋みをあげるヴェイルの身体。


ヴェイルはそのままキリモミしながら、後方へと弾き飛ばされた。


「ぐえぁ!?」


派手に吹き飛び、再び地面を転がるヴェイル。


オラクルの切り札ですら倒せなかった相手が、無様に地面を這いつくばっている。


今の一真は、一切の手加減を止めている。


容赦をするつもりはない。


自分はこいつを、殺すためにここにいるのだから。


よろしければ、ブックマークや評価をお願いします。

皆様の応援が、力になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 挿絵のイラストも良きでした。 「「封神拳——破天掌!」  かっこいいーー!! 一真さん、ヴェイルを倒せーー!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ