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第232撃:悪夢の具現

ブックマーク有難うございます!

嬉しいです!


……今日は遅れずに、投稿することが出来ました!(*´σー`)エヘヘ

そこからは、まさに血で血を洗う争い——


とはならなかった。


一真が戦っている軍隊は強い。


一人ひとりの強さが空軍の将に迫るか、あるいはそれ以上。


彼らは魔族本来の戦いを得意とする者たちだ。


魔力を巧みに扱い、戦うこと。


それが魔族の戦い方。


ガズラのように異形タイプの魔族はフィジカルが強い分、魔力操作を疎かにしがちだ。


しかし今一真が戦っている者たちは、魔力操作による身体強化の基礎が出来ている。


中にはそこに、強化魔法を重ね掛けしているものもいた。


強いのは当然。


だが。


それでも。


その拳が、その蹴りが、そしてその魔法が一真には届かない。


一真は神甲天衣を纏い、敵の攻撃を避け、弾き、直撃にも耐える。


戦っている軍団員たちが、次々と青ざめていく。


それはまるで、以前の空軍戦の焼き増しのような光景だった。


「なんだコイツは!気味わりぃ!

攻撃が当たらねぇそ!」


「いや、違う!

魔法も打撃も当たってはいるんだ!

なのにコイツ!」


怯まない。


傷付かない。


それどころか、顔色一つ変えることもない。


それは、魔族たちにとっては悪夢の具現のようだった。


ボグンッ!


誰かの胴体に風穴が開く。


ザシュッ!


また他の誰かは、頭から股間までを真っ二つにされた。


魔力による身体強化が意味をなしていない。


次第に、恐怖に震える悲鳴を上げるものも現れ始める。


「なんだよ……何なんだよコイツはっ!

魔力なんて少しも感じな——」


言い終わる前に、上半身が消失する。


この者たちは運が悪かったのだ。


今までの一真は、消耗が激しかった。


長年の中国での武者修行。


日本に帰ってきて、休むまもなく召喚に巻き込まれて。


それからはこの異世界で、長時間の封神拳の維持。


一真は空軍と戦ったその時点で、既にかなりの疲労を蓄積していたのだ。


だが今の一真は違う。


たらふく飯を喰い、たっぷりの睡眠を取った。


十分過ぎるほどの休息を経て、今の一真はこの世界に来たその時よりも“強い”。


ふと、一真は背後に気配を感じて振り返る。


そこには黒い大剣——魔鋼製の大剣を振り下ろそうとしている偉丈夫——ザルの姿があった。


ザルの異名は、『黒鋼断罪こくこうだんざい


ガル=ヴァルドが作り出した、魔鋼製の大剣を振るう剛剣士。


その能力は、剣に魔力を通し、重さと威力、切れ味を大きく変動させるというもの。


それと同時に、鍛え抜いた身体を魔力によって強化する。


シンプルな能力だが、それ故に厄介だ。


シンプルだからこそ、突き詰めていけば脅威になる。


ザルが一言、不本意だと言わんばかりの言葉を落とす。


「一真といったな?

この人数で、たった一人を狙うのは卑怯だとは思うが…。

悪いが死んでもらう」


ザルの魔力が込められた大剣が、轟音を鳴らしながら振り下ろされる。


ブォン!!


しかしその剣が、一真を斬り裂くことはなかった。


キィィィィン!


響いたのは金属音。


一真は仙気を込めた手刀で、敵の大剣を受け止めたのだ。


『封神拳・仙斬閃』


仙気を研ぎ澄まし、己の手に集めて刃と化す技。


「なに!?」


ザルの口から驚きの声が放たれる。


彼の一撃は決して軽くない。


同じガル=ヴァルド作の魔鋼製の武器なら、ザルの一撃で綺麗に両断できる。


それほどの威力を秘めているのだ。


なのに一真は、それを素手で受止めた。


ザルの背中に冷たいものが走る。


それを振り払うかのごとく、ガルは剛撃を連続で繰り出した。


「お、おのれぇぇぇぇぇっ!」


キィン!キィン!キィン!——


様々な角度から繰り出される斬撃。


真向斬り。


袈裟斬り。


一文字斬り。


逆袈裟斬り。


突き。


それら全てを、一真は無傷で弾き返す。


薄皮の一枚すら斬れない。


しかも恐ろしいのは、一真はそれを、他の者たちからの攻撃をいなし行っているのだ。


ザルの悪寒は、明確な恐怖へと変わる。


「セレア!ヴァル!全力でコイツを殺すぞ!

コイツは駄目だ!

今ここで殺しておかなければ、必ずや取り返しがつかないことになる!」


セレアもヴァルも、黙って見ていた訳ではない。


何度も魔法で攻撃をしている。


そしてそれは、何発か一真に命中しているのだ。


だがそれでも——無傷。


ザルの攻撃を弾き、セレアとヴァルの魔法に耐え、

そして他の魔族の数を着実に減らす。


一真は無言で、それらの行動を繰り返してゆく。


どれ位の時間を戦ったのか、敵の数が半分ほどになった頃。


『アァ~~~♪』


敵の女性、セレアが唐突に歌い始めた。


その歌が聞こえてきた直後。


(む?…これは…)


一真は自らの内側に、強い違和感を覚える。


それだけではない。


自分へと襲いかかってくる敵の強さが、明らかに数段階上昇した。


中には絶叫したり、口からよだれを垂らしながら襲いかかってくる者も。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!」


「ごろ゛ず!!!」


その者たちの瞳に宿るのは……“狂気”。


セレアは自らの声に魔力を込めて、聞くものの精神に干渉する。


夜哭やこく魔奏姫まそうき


セレアの異名である。


彼女はその能力により、味方の戦意向上を行いながら、

一真に精神侵食をしようとしているのだ。


——あるいは。


あるいは彼女の能力が、セレフィーネに匹敵するほど強力であれば、

もう少し何かが変わっていたかもしれない。


(なるほどな。そういう能力か。

——だが)


「封神拳・静神封界!」


それは魂と心を守る、内側の防御の要。


前世界魂律遺構で、ノアと戦った時に初めて成功できた技。


その技により一真は、セレアよりも“強力”なノアの魂干渉にすら耐えてみせたのだ。


一真はセレアの精神攻撃を完全に無効化する。


いくら魔力を叩きつけても一切揺らがない一真を見て、セレアは顔を青ざめさせる。


「そ、そんなっ!?」


思わずセレアは、歌を中断してしまう。


目の前の男を、あまりにも畏れてしまったのだ。


ただの恐怖ではなく“畏敬”。


あろうことか、敵を恐れながら……敬った。


そんなセレアに、ヴァルの怒声が浴びせかけられる。


「何をしているセレア!

歌を続けろ!

もはや力の温存などと言ってられん!

ヴェイルと戦う前に、コイツにやられるぞ!」


ヴァルの叫びを聞き、戦闘が始まって初めて、一真の表情が動いた。


(ヴェイル?

一体何者だ?)


しかし、一真は深く考えることは出来ない。


他の敵達の動きが、また変化したのだ。


先程の狂気を帯びた動きとは、明らかに違う。


異様なほどに統制が取れており、

今までからは考えられないほど連携が出来ている。


明らかに敵の“質”が変わった。


それまでは一真の動きに対応できていなかった者たちが、

急に一真の攻撃を避け、そして一真に攻撃を当ててきたのだ。


(……また変わったな。

今度は何をした?)


理由はすぐに分かった。


先程叫んだ男——ヴァルの表情から、一切の余裕が消えたのだ。


顔には脂汗。


手足は震えて、何かを必死に“制御”しているように見える。


それはヴァルのスキルによるもの。


ヴァルはスキルにより、戦況操作、未来予測に近い確率演算を行える。

更にはその情報を、味方と共有できるのだ。


それにより、ヴァルは戦場を“支配”しようとしていた。


ヴァルが『虚無演算者きょむえんざんしゃ』と呼ばれる所以だ。


当然ヴァルの負担は尋常なものではない。


その能力を発動中は、一切の身動きが取れない。


(この男の能力か。

厄介だな……先に潰させてもらう!)


一真はヴァルへと攻撃を仕掛けようとするが、それは他の者たちによって邪魔される。


ザルの剣戟の激しさも増した。


「ヴァルとセレアには近寄らせん!

貴様にはここで死んでもらう!絶対に!!」


敵全体の強さが、更に一段階引き上げられた。


セレアの歌が再開したのだ。


セレアによる狂化。


ヴァルによる強化。


その二人を護衛するザル。


かなり数は減ってきたが、まだ数十人は残っている敵の兵。


特にヴァルによる強化は面倒だった。


それまではバラバラだった者たちが、統率された連携を見せる。


その戦力上昇効果は計り知れない。


——王城へと向かったオラクルとリュミナが気がかりだ。


戦闘を開始してから、それなりの時間が経過してしまっている。


これ以上時間は……かけられない。


一真は深く息を吐くと、覚悟を決める。


一気に——終わらせる。


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― 新着の感想 ―
一真さんの無双(๑>◡<๑) かっこ良い♪ 面白かったです。 ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘ 急いで読みに来ました。(*´∀`)♪
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