カツオはなまる商会
『注文の多い料理店』顔負けの“ブラック企業”のお話です(^^;)
この業界随一の優良企業、我が『カツオはなまる商会』は無借金経営で、社員平均給与もよその2倍!!
君もこの条件に惹かれて入社して来たクチだね?!
いやいや非難などしていないよ!
「金が欲しい!」「高給取りになりたい!!」
大いに結構!!
ここでその夢を叶えられるかどうかは君次第!
なに! 難しい営業テクニックや会話術など不要!不要!
君はただ工場へ行くだけ!
そこで君は我が社自慢の『命のカツオ節』の製造工程をじっくりと見る事になる。
そうだね!工場に居るのは……
「本枯れ節」になるまでだから6か月くらいかな。
だからしばらくは、給料は定額!歩合にはならない。
しかし君!怠けてはいけないよ!!
君はそこで、カツオ節を引く技術をしっかり身に着けなければならない!
『命のカツオ節』はグラム売りではなく、1パックなんぼの商売だから!
パックの中で、いかにふんわりと、いっぱい詰まっているように見せるのがコツだ!
そうそう!君の履歴書を使って……さっそく商品パックを作ったよ。
袋の裏に、君の顔写真入りのプロフィールが印刷されているだろう!
「えっ?!なんで、個人のプロフィールが必要なのかって?」
知らないで入社面接を受けたんだね。
そんなノリで入ってくる輩も後を絶たないが気にはしていないよ。
どうせ何を言っても“契約書”を取り交わした後だから
ウチのシステムに従ってもらうよ。
そういう人間は掃いて捨てるほどいるし、そういう人間はこれまた『いいダシ』が採れるんだ!
そこのゴミ箱を見てごらん。極限まで削った残りカスがいくつかあるだろう?
もし君が怠けていい加減な技術しか身に着けられなかったら……『命のカツオ節』を厚く引き過ぎて、すぐにそうなってしまうよ。
クビになんてするまでもない。
「カツオ節」になった自分の命をどう使っていくかは君次第。
商品を作る為に自分の命を引くのだから
なるだけ長持ちさせた方がよいだろう?
気前よく引いてしまえば君の『ブランド』は大人気になるが、あっという間に『命のカツオ節』はちびて、君の命も潰える。
さりとて、余りにもケチケチすると……まったく売れずに返品され、無駄に命を削る事になる。
キミの先輩達は自分のカツオ節をなるだけ薄く削って、宗太鰹等の普通のカツオ節を混ぜて“水増し”してるよ。
その辺の按配を掴むことが、高収入のまま長生きするコツだな!
さあ!説明はここまで!
そんなスーツはさっさと脱いで、隣の部屋に設置している檻に入ってもらおう!
その檻がそのまま“煮籠”になるから!
おしまい
ああ!!
書いていて本当に恐ろしい!!(゜Д゜;)
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