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11. ドキドキワクワク

 同居生活が始まって数週間経つが、今のところ学校の人たちにはバレていないようだ。


 当然と言えば当然なのかもしれない。

 学校で俺たちが話すことはない。今まで記憶上一度もない。


 あまり仲良くしすぎるのは良くないことだとわかっているが、別に意図して話さないようにしているわけではなく、単純に話す機会がないだけである。クラスも違うのだから仕方がない。


 基本用事があればラインで送っておくことで解決するし、急を要することなんてめったにないため、家で伝えればいいことが多い。


 俺たちの絡みがなければ、当然噂になんてならないのだ。


「陸人〜、今週末空いてるよね?」


 俺が教室に入ると、空太は開口一番でそんなことを言ってきた。


「俺に予定がないことを決めつけんなよ」


 俺が暇人みたいに思われるのは誠に遺憾だ。


「だって、空いてるよね?」

「一応な、一応」


 実際予定はないので、正しくはあるんだけど。


「合コンしよ! 合コン!」

「……は? お前彼女いるだろ。まずくね?」

「大丈夫、大丈夫! 菜月も参加するから!」


 それは果たして大丈夫と言えるのだろうか。


「空太たちが参加する意味ってあるのか?」


 合コンというのは男女の出会いの場ではないのだろうか? 彼氏、彼女がいる男女が参加する意味なんてあるのだろうか?


「人が足りないらしいから、飯一回奢りで買収されました! 菜月も一緒に参加することを条件にね」


 わざわざ彼女持ちの空太を選ぶ理由がわからないけど、イケメンを配置しておくことで可愛い子に参加してもらう算段だろうか。


「──客寄せパンダ」

「はははっ。言い方は悪いけど、わざわざ俺を選ぶなんてそんな気がするね」


 空太は自分の容姿が優れていることを理解している。それが決して嫌味に聞こえないのは空太の良いところだろう。逆に人よりも優れた容姿を持っているというのに、謙遜される方がモヤっとさせられる。

 凪沙もそうだけど、自分に自信があると人生が豊かになるんだろうな、と思う。俺にはそんな自信はないし、誰かと比較して落ち込む日々だ。


「てか、軽く詐欺だな」

「合コンの参加条件に彼女持ちは参加できないってないからセーフ」

「参加する奴らの共通認識だと思うけどな」

「まぁまぁ! 細かいことは気にしなさんな!」


 空太はパンパンと俺の背中を軽く叩いた。


 ワンチャン狙いで来る人もいるのかもしれない。きっと園田さんが彼女だと知れば、一気にそういう気持ちもなくなるんだろうけど。


「参加するのは、うちの高校だけじゃないのか?」

「そうだね。うちの男子は俺と陸人だけだね。あとの男子は俺の友達とその友達の友達らしいから俺も会ったことない人たち」

「女子も?」

「菜月以外は誰が来るかわからないけど、多分そうじゃない?」


 他校の女子と交流ができる……。


 そんな機会滅多にない。しかし、俺には参加を渋る、一つの懸念材料があった。


「知らない奴ばっかの環境で上手く喋れんのかなー」


 自己評価では中の下くらいのコミュニケーション能力だと思っている。それほど得意とは言えないけど、全く喋れないほどではない。

 それに俺はデリカシーとやらが欠如しているという理由からフラれた過去がある。デリカシーとやらをそれなりに学んで来たつもりだが、少し恋愛に対してトラウマになっている部分もある。


 そんな俺が参加しても大丈夫だろうか?


「陸人なら大丈夫! それに彼女欲しがってたじゃん!」

「確かに……」

「運命の出会いが待ってるかもしんないよ〜」


 運命の出会い……。


 俺の心は固まった。


「参加する以外の選択肢なくね?」

「よし、決まり! じゃあ、幹事に伝えとくね〜」

 

 最近は凪沙以外の女子と話すことなんてほとんどなかったから、今から胸が高鳴る。

 



「今週末遊びに行ってくるから飯抜きで」


 昼前からスタートするようなので、帰宅してから凪沙にそのことを伝えておいた。


「そうなんだ。誰と?」

「と、友達」

「わかった」


 合コンとは言わなかった。正直に伝えようとも思ったが、なぜか後ろめたさみたいなものを感じ言えなかった。


 別に嘘は言ってないしな。うんうん。空太もいるわけだし、「友達と遊ぶ」という表現は間違っていない。


「ちょうど良かった。私も友達と遊ぶから」

「そうなのか。また帰る頃に連絡するわ」

「はーい」


 伝えたいことは伝えられたので、自室へ戻る。

 今週末のことを考えると、ドキドキとワクワクが止まらない! 


 人並み程度のデリカシーを持ち合わせることができた自負はある。

 中学の頃のようにフラれるわけにはいかない。


 進化した俺を見せてやる!!!


「フハハハハハハ」


 高揚感が口から漏れてしまった。凪沙は俺の部屋の扉をノックし、「だ、大丈夫? 変な物でも食べた?」と本気で心配する声をかけてきた。


「悪い悪い。思い出し笑いだ」

「思い出しで高笑いできる方が怖いんだけど……」


 どんな女の子が来るのか想像するだけで、夜しか寝ることができん! 今週末よ、早く来い!

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