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13/42

13、文明開花。



 奴隷猥褻物陳列事件どれいポロリじけんから一夜開け、俺は自室で綺麗に畳まれた布の塊を見つめて正座していた。


 ───コレは‥‥‥この物体はなんだ?!




 昨日はボタンの連打と、全校生徒の前で自分を曝け出した珍事による精神的疲れにより、部屋に戻るとすぐ眠ってしまっている。

 かなり熟睡していたようで、『容姿』70オーバーの可愛い侍女の人が起こしてくれるまで目覚める事はなかった。

 可愛い侍女さんは俺の姿を見ると、悲鳴を上げながらすぐに逃げ出してしまったので、今は部屋に1人である。


 ええ、私はご主人様の『言い付け』をちゃんと守り、素っ裸で就寝していましたから。


 我ながら奴隷のかがみだね!


 ‥‥‥そして侍女さんに見られた時、えも言われぬ楽しい気分になったのは内緒だ。



 その可愛い侍女さんが持ってきてくれたのが、この布の塊なのだが‥‥‥。


 恐る恐る触れてみる。

 噛みついてくる事はなかった。

 爆発するような素材でない事も、流石に見たらわかる。

 

 ───もっと大胆に見てみるか?!


 震える手で布の塊を持ち上げ、床に広げてみた。



 ファサリッ‥‥‥。



 ───‥‥‥やっぱり、コレはどう見ても服だわ‥‥‥。





 トントンッ!


 部屋の扉をノックする音。


「どうぞ」


 部屋の扉が開き、顔を覗かせたのは眉間に皺を寄せた美女。

 美女は、正座しながら床に散らばった服をまじまじと見つめる俺を目視すると、無言のままゆっくり扉を閉めた。

 中には入って来ていない‥‥‥。


 ───怖い‥‥‥何しに来たの?!



「早く服を着ろ、この露出狂!」

 

 部屋の外から響くご主人様の罵声。


「服を着るなって言ったのはご主人様じゃないですか?!」


「あんたの思考回路はどうなってんの?! 後、侍女に何した?! 変質行為してたら、もぎ取って焼いて木炭にしてやるから!」

 

 焼かないで‥‥‥。

 後、俺のは焼いても木炭にはならない‥‥‥。


 遠ざかっていくコツコツ音が聞こえたので、嵐は去ったようだ。


 それにしても───


「アルバートは服を手に入れた!」



 人類が進化する過程を目の当たりにした気分だった。







 通学のため、ご機嫌に馬車に乗り込んだ俺。

 

 ───レックス君になんて自慢してやろう!


 気分は上々だ。



「ニヤニヤしてキモッ‥‥‥」


 先に座席に座っていたご主人様。

 おお、貴方が女神様に見えます。


「ご主人様、俺は貴方に謝意を表明し、そして───」


 ふと気づく。


 ───ん? 顔が赤い‥‥‥。


 左頬だけ。

 ‥‥‥それに、少し腫れてないか?


「ご主人様‥‥‥それ‥‥‥」


「コッチ見ないで」


 自分から話しかけといて、見るなとはまた厄介な‥‥‥。

 しかも向かい合って座ってんだから、どうしても目に入る。


「大丈夫ですか?」


「‥‥‥ちょっとぶつけただけ、大丈夫」


 その後、学園に着くまで俺たちは無言だった。

 それはいつもと変わらない。


 しかし今日のローズは、俺から目線を逸らしたままで、いつものように睨みつけてくる事はなかった。








「うお! なんだ! なんでだ! それありなの?!」


 機関車の騒がしい警笛。


「ふふふ。ふふふふふ‥‥‥羨ましいか?!」


 ご主人様を教室まで送った後、俺は奴隷達の溜まり場である屋上に来ている。

 まずレックス君に自慢するつもりだったのだが、先に溜まり場でゴロゴロしていたゴードンに捕まった。

 レックス君とネロ様はまだ溜まり場に出勤してない。


「そりゃないだろ! 奴隷の正装と言えば、コレって決まってんだろうが!」


 腰蓑こしみのをバサバサとさせる機関車。


「あ〜やだやだ。コレだから野蛮な奴隷は」


「くそっ! 俺もエリーに頼んでやる!」


 これ見よがしに一回転して服を見せつけてやった。


 ───昨日のお返しだ。



「アル、ゴードン、おはよう。アル凄いね、その服どうしたの?」


 これはこれはイケメンレックス君ではありませんか。


「おはようレックス君。どう似合う? 羨ましい?!」


「うん。凄く似合ってるよ。羨ましいね」


 ニコニコとイケメンレックス君。


 ───‥‥‥なんか違う。


 何、その余裕‥‥‥。


「全然羨ましがってないみたい‥‥‥」


「そんな事ないよ。凄く素敵だね」


 相変わらずニコニコとレックス君。


「レックス君‥‥‥アレぐらい羨ましがってよ‥‥‥」


 俺がアレと指差したのは、悔しそうに地面をドンドンと踏みつけている機関車。


「フフフ、ゴードンは素直だから」


 ニコニコと笑うイケメンレックス君が、本当にイケメンに見えた‥‥‥。


 ───駄目だ、このイケメンには勝てる気がしない‥‥‥。




「皆んなおはよう」


 最後に溜まり場に来たのは、昨日見事に1位を勝ち取った超美麗ネロ様。


 ───‥‥‥ん?


「‥‥‥ネロ、その腕どうしたんだい?」


 レックス君が心配そうにネロに問いかける。


「ああ、昨晩変な奴らに襲われたんだ。かすり傷だから心配はいらない。リディアがこうしないとうるさくてな‥‥‥」


 そう言うとネロ様は、包帯を巻いてる腕をバシバシと叩いて見せてきた。


「大丈夫かい?」


 それでも心配そうなレックス君。


「俺を襲おうなんて10年早い。返り討ちにしてやったよ。‥‥‥そんな事より、アルバートの格好の方が興味深い」

 

「ああ‥‥‥良いだろ?」


「良く似合ってるな」


 ネロ様も生粋なイケメンと判明。




 ───どういう事だ‥‥‥。


 もう服の事なんてどうでもよくなっていた。


 ───ネロが襲われた。


 一回戦の後、リディアの奴隷が闇討ちされるイベントが発生するのは知っている。



 その首謀者は───


 ローズ・ブラッドリィ。



 ───まじか‥‥‥。


 そんな素振りはなかった。

 それに、アイツはそこまで勝ちに執着していない。

 

 ───なんでだ?!




 敵役、悪役、性悪とわかっていた筈のローズ・ブラッドリィ。

 しかし何故だか‥‥‥俺はアイツが首謀者と、どうしても信じたくなかった。

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