4.新しい朝が来た、希望の朝だ
翌日、八千代は日の出とともに目を覚ました。よく眠れたので、気持ちのいい朝になった。
今までの布団と違って、ここの寝台はとても柔らかく、寝心地がよかった。掛け布団も厚みがある割にはずっと軽く、暖かくて気持ちがよかった。村から持ってきた布団は、このまま押入れの肥やしとなりそうだ。
いつもの習慣で屋外で早朝訓練をしようとしたが、まだ他には誰も起きていないようであり、玄関の鍵の開け方がわからなかったので、しょうがなしに部屋に戻った。
部屋をいろいろと物色していると、押入れの衣装箱の中にもたくさんの服が見つかった。その中に、フード付きのパジャマがあった。当然、八千代はパジャマの存在などは知らない。
「あっ、防空頭巾のついた服がある。これは便利だわ」
八千代はそれを着てみると、すごく楽で動きやすかった。
「少し足のすそがダブついてるけど、これはゲートルを巻けばいいわね。訓練の時はこれを着ることにしましょう。
でも、どうして防空頭巾に帯のような布がついているのかしら」
うさぎの耳つき着ぐるみパジャマである。しかし八千代にとって、これは戦闘服だ。
履物もいくつか見つかったが、どれもかかとが高く、足をくじきそうだった。履物は村から持ってきた地下足袋を履くしかなさそうだ。
そうこうしているうちに、7時を過ぎていた。7時から朝食と聞いていたので、食堂に下りて行った。
すでに皆は食事をしていたが、うさぎパジャマを着て食堂に入ってきた八千代を見て、全員が箸 を止めた。
「姐さん、あの格好で寝てるのか」
「かっ、かわええ」
「ううっ、頬ずりしたい」
男たちの煩悩をよそに、八千代は孝太郎の前に座った。
「おお、よく寝られたか、八千代」
「はい、ここの寝台はとても寝心地がよかったです」
「それはよかった。
ところで、ワシは今日の午前中に、お前の高校の入学工作に行ってくる。
昼前には帰るから、昼食時にでも組員みんなにお前を紹介するようにするよ」
「はい、よろしくおねがいします。じいさま」
孝太郎は、「おお、かわいいのぉ」と、じーんとなっていた。
朝食はヒロが持ってきてくれた。今日の当番のようだ。
残念ながら朝食は白米ではなかった。まあそうそう白米は食べられないのであろうが、パンというものもなかなかおいしかった。
なんとも贅沢なことに、卵もついていた。
それに牛乳を飲んだのは何年ぶりだろうか。村にも昔は牛が一頭いて、牛乳を飲むことができたが、その牛が死んだ後は、手に入れる術はなかった。
あと、横の食台に生野菜の山があり、各自が自由に取っているようだったが、八千代は警戒して食べなかった。
『生野菜を食べると、回虫やぎょう虫に寄生される危険性があるのに・・』
人糞を肥料にしていた一宇村としては正しい認識だった。
食事を終えた八千代は、一旦部屋に戻ってゲートルを巻き、地下足袋を履いて、野外訓練に出かけることにした。屋外に出る際、手に持つべき竹やりがないことに気づいた。村を出る際、大荷物を持って藪を超えるためには竹やりが邪魔になるので、持ってくるのを断念したのだ。
知らない街へ武器なしに出かけるのは不安である。八千代はふと、きのうのモップを思い出した。あれなら、強力な武器になる。
八千代は事務所の前の道路で直立し、宮城 の方向に一礼した後、モップを担いで走り出した。
「わが天皇の治めしる、わが日の本は万世も・・♪」
今はもう、ばあさまはいないけれど、しっかり大きな声をださないと、ばあさまに叱られる気がするのだ。
八千代は涙をこらえ、悲しみをまぎらわすように大声で歌った。
「やほ万世は動かねど、神の万世《みよ》より神ながら・・♪」
通勤通学の時間帯で比較的人通りの多い街中を、モップを担いだうさぎが妙な歌を歌いながら走っていた。
「ママ、あれなあに」
幼稚園バスを待っていた幼児が指さし、母親があわててそれをたしなめた。
「見るんじゃありません」
知らない土地であったが、八千代は道に迷うことはない。常に山を意識して目印とし、三角測量しながら自身の位置を認識する習慣がついていた。特に山中で道に迷うことは、大きな危険につながるため、自然と身に着いた能力である。
ここ徳島市内は、眉山という格好の目印があった。目立つ山なので、訓練ついでに登ってみることにした。
ちゃんと道もついており、あっという間に駆け上がることができた。さすがに無休憩で上まで来ると、少し息がきれていたが。
山頂には変わった形の塔が建っており、その横から徳島の市内が見渡せた。絶景だった。
改めて、村と異なる街の大きさに驚いた。ここに住む人の数はとても想像できなかった。
その時、ふと横から聞きなれない言葉が聞こえてきた。
"Wow, great view!"
そちらをみると、一人の見慣れない風貌の人が町を見下ろしながら叫んでいた。
背が高く、髪の色は赤く、鼻も高く、目の色まで青かった。
ツノはないものの、日本人とは全然顔つきが違う。初めて見るものの、間違いない、これは米兵だ。
米兵が高い所から街をスパイしているのだ。
やけに銃身が短い銃らしきものを覗き込んで、街の方を狙い、カシャカシャと引き金を引いていた。
町を攻撃しているのだろうか。
八千代は緊張した。
米兵がスパイ活動もしくは無差別攻撃しているのを目撃してしまったのだ、こちらが見ていたことを知られると、きっと口封じされてしまう。
音を立てないようにじりじりとあとずさりしたが、焦るあまり自分が持っていたモップにつまずき、どすんとしりもちをついた。
その音に気付いたそいつは、こちらを振り返った。
まずいことになった。相手は銃を持っているのだ。この棒では相手にならない。
それに、米兵は恐ろしい。覚悟はしていたものの、いざ本物を目の前にすると足がすくみ、立ち上がれなかった。
幼い時から、米兵の恐ろしさを繰り返し刷り込まれてきたのだ。
その外国人にとっては、モップを持ったドジっ子うさぎ少女は恰好の撮影対象だった。
八千代に近づき、カメラを指さして写真を撮っても良いか笑顔で尋ねた。
"Hey girl, can I take your photo?"
知らない言葉だったが、恐ろしい笑みを浮かべて迫る米兵の言わんとすることが八千代にはわかった気がした。
きっと、「動くとこの銃で撃つぞ」と言っているのであろう。
八千代は凍付き、しりもちをついた状態のまま、分かったということを伝えるために、こくこくとうなずいた。
しかし、八千代が指示に従って動かずにいるのにもかかわらず、米兵はこちらに銃を構えた。
やはり米兵は卑怯な手を使うのだ。
「ばあさま、八千代もこれからばあさまの許にまいります」
覚悟を決めた八千代だったが、カシャっと音がしただけで何事も起きなかった。
"Thank you"
と言って、米兵は去っていったが、八千代はその場で固まったままだった。
命が助かり、ほっとすると同時に、くやしさが胸にあふれてきた。
なにもできなかった・・、恐ろしさのあまり米兵のスパイ活動を見逃してしまったのだ。
こんなことで、日本から進駐軍を追い出すことができるのか。
八千代は打ちのめされ、とぼとぼと事務所に戻っていった。
もっともっと強くならなければいけない。訓練を増やさなければ、と決意した。
事務所に着いたのは昼前になっており、戦闘服から着替える間もなく食堂で皆に紹介された。
組員は50人ほどであり、今日は全員集められたとのことだった。
昨日孝太郎に叱責されていたヤスというのが若頭であり、孝太郎の次に偉い人らしい。
八千代がヤス達7人を一瞬でたたきのめしたことは既にみんな知っており、屈強なヤクザの集団がうさぎ少女の前で緊張していた。
一方の八千代も、大勢に注目されることに慣れておらず、また、米兵との遭遇の興奮がまだ冷めていなかったことも相まって、ピリピリと殺気立っていた。
孝太郎は簡単に八千代のことを紹介した後、八千代に向かって言った。
「八千代や、お前からも一言挨拶しなさい」
こんなことは初めてだったので、八千代はとりあえず孝太郎の指示に従った。
「こんにちは」
緊張と興奮の中、ドスの利いた声になっていた。
一言言った後、なんとかみんなに笑顔を向けなければと、八千代は口元に笑みを浮かべながら全員を見回し、愛想を振りまいたつもりであった。
しかし、組員からは見ると、鋭い眼光で組員をにらみつけながら、「てめえら分かってんだろうな」とばかりに恐ろしい薄笑いを浮かべ、組長の指示にも一言だけで済ませた八千代に全員がビビっていた。
八千代が席をとった正面にはヤスたちが座っていた。彼らは、昼食をとりながら、カチカチに緊張していた。
八千代の強さは身に染みており、しかも組長の孫娘なのだ。昨日の無礼に対してどんな報復があるのかと、あの後ずっと悩み続けていたのだ。
少なくとも改めてきちんと謝罪しておかなければと考え、ヤスはおすおずと八千代に話しかけた。
「姐さん、きのうは大変申し訳ありませんでしたっ!」
ヤスがテーブルに頭をこすりつけるのを見て、周りの共犯者たちも一斉にそれに倣った。
一方の八千代は、ヤスたちの謝罪を理解していなかった。
「どういうことですか、皆さんやめてください」
ヤスは八千代の言葉に衝撃をうけた。
「そうっすか、姐さん・・。
わしらはやっぱりここの組員をやめないといけないっすか。
やっぱ、謝罪だけで済むわけないっすよね」
「あの・・、おっしゃっていることがよくわからないのですが、昨日のことでしたら悪いのは私の方ですから、私が謝らないといけませんのに」
「へっ?」
「ヤスさんたちが私を可愛がって下さるために好意でなさったことに対して、私ったら誤解して暴力をふるってしまったんですから。
本当にすみませんでした」
「あっ、えっ、あの・・」
わけの分からないヤスに顔を向けた八千代の目には涙が浮かんでいた。
「痛かったですよね。
あんなひどいことをしておいて申し訳ありませんが、どうぞ許してください」
「いえ、そんな・・。
許すも何も・・」
「そうですね、やっぱり許してはもらえませんよね」
「いやいや、許します。誰が何といっても許します」
ヤスの言葉を聞いた八千代は、ぱっと笑顔になった。
「ああっ、皆さん、なんてお心が広いのですか。
ふつつかものですが、これから仲良くしてくださいね」
ヤスをはじめ、意味がよくわかっていない者ばかりであったが、涙で目を潤わせた八千代の笑顔は、女神にしか見えなかった。
『姐さん、一生ついていきます』
多くの者が心の中でそう誓った。
昼食の後、八千代は孝太郎に呼ばれて、組長室に入っていった。
「八千代や、お前さんには徳島第一女子高等学校に入れるよう手配してきた」
「女子高ですか」
「ああ、まだお前さんは男に慣れていないからな」
男だらけの組事務所で生活するので、なにをいまさらという感じであるが、祖父としての孝太郎の配慮である。
「徳島市内では唯一の女子高なんで、かなり幅広い学力の生徒が学んでおるから、科目ごとに学力別のクラスになるようじゃ。ここならお前さんの学力に応じた授業が受けられるじゃろう」
「はい、お気遣いありがとうございます」
「でじゃが、形だけだと思うが、面接と、クラス分けの参考にする編入試験を、明日受けてきてもらわにゃならん」
「わかりました」
「特に面接では、これまで人とあまりに違う生活をしてきたことは出さん方がええ」
「おっしゃりたいことはわかりますが、私にとってはそれが普通の生活でしたから、何が違うのかはよくわからないのですが」
「そらそうじゃろうな。
まあ例えば、義務教育を受けていないことなどは内緒にしておかなければならん」
「小学校とかに行っていたことにするのですね」
「話が早くて助かる。
じゃ、例えば面接で、これまでの学歴を説明するよう言われたら、なんと答えるかな」
「はい、昭和91年に尋常小学校を卒業し、昭和96年に中学校を卒業しました、と答えればいいんですね」
「まてまて、まず、今年は何年だ」
「昭和97年ですが」
「うーん、まずはそこからか・・」
孝太郎は頭が痛くなった。
「それに、尋常小学校・・中学に5年・・」
「はい、尋常小学校の後は、中学に5年行くか、尋常高等小学校に2年もしくは3年行くのが普通だと、桔梗先生かおっしゃっていましたので」
「学制も違うし、今は昭和の時代が終わって、令和なんじゃが・・うーん、面倒なので、この際元号を使うのはやめよう」
「それなら、今年は皇紀2682年ですね」
・・かなり大変そうである。その日は遅くまで二人で面接の対策をすることになった。
翌日、八千代は孝太郎に連れられて徳島第一女子高校に向かった。
事務所を出る前、孝太郎は八千代に聞いた。
「八千代や、なんでモップを持っていくんじゃ」
「えっ、これのことですか。米兵に会った時、武器がないと困りますから」
「んんん・・、今日は米兵はおらん。元の場所に置いて来い」
「はい」
一旦戻ってモップを置き、改めて事務所を出る際、孝太郎は八千代に確認した。
「筆記用具は持ったかの」
「はい、ちゃんと村から持ってきましたので」
「鉛筆は何本入っておるかの」
「えっ?鉛筆なんて持っていませんわ。小枝を炭にして、和紙でくるんだものですが」
孝太郎はおおあわてで筆記用具を集めるはめになった。
もう大丈夫かと八千代の全身を見回すと、八千代が村から出てきたときのワラジを履いているのに気づいた。
「八千代や、そのワラジはまずいな。なんか真紀子さんの靴を探しておいで」
「でも真紀子さんの靴は、かかとが高くて歩きにくそうなのですが」
「しょうがない、ワラシよりはましだろう」
結局また部屋に戻って靴を探すハメになった。かかとだけが高いのはいかにも歩きにくそうなので、靴底全体が高い靴を見つけ、それを履くことになった。竹馬に乗ったつもりで歩けばなんとかなるだろう。
事務所を出るまでに手間取ったが、ようやく二人は高校の前にたどり着き、孝太郎が見送る中、八千代は校内に入っていった。
八千代が事務所に帰った時には、もう日も落ちていた。
八千代は、すぐに孝太郎のいる組長室を訪れた。
「じいさま、ただいま戻りました。」
「おお、八千代、おかえり。どうじゃった?」
「はい、まあまあかと思います」
「そうかそうか。面接で学歴は聞かれなんだか?」
「はい、その質問はありませんでした」
心配していた質問はなかったようだ。よかった。
「それで、どんな質問をされたんじゃ」
「練習したとおり、学校への志望動機を聞かれました」
「そうか、それはちゃんと答えられたんじゃろ」
「はい、『市内唯一の女子高にて、大和撫子として恥ずかしくない知識、所作を身に着けたい』と答えました」
「うむうむ」
「そうしたら、『あなたの考える大和撫子とは、どんな人ですか』と聞かれたんです」
「ほう、それで?」
「『きちんとした作法を身につけ、高い教養と優しい心を持つ女性です』と答えました」
「うむ、いいぞ」
「あっ、それから、『高い戦闘力を持つことも必要です』と付け加えました」
「むむっ」
「そうしたら、『なぜ戦闘力が必要なのですか』と聞かれたので、『自身を害しようとする者から身を守るためです』と説明しました」
「ううう、米兵とか鬼畜米英とかいう言葉は使わなんだじゃろうな」
「はい、それは練習の時にじいさまから使わないように言われましたので」
「うむ・・、まあぎりぎりセーフというところかの」
「他になんか、架空の状況を設定して、そのとき私がどう行動するかを聞く質問もありました」
「ほう?」
「例えば、もし私が町を歩いていて、道に迷ったアメリカ人に出会ったらどう行動しますか、と聞かれました」
いやな予感がしたが、孝太郎は尋ねた
「で、なんと答えんじゃ」
八千代は胸を張って答えた。
「はい、『もちろん、竹やりをつきつけて、この皇国からでていくよう警告します』と答えました」
「そっ・・そうか」
孝太郎はうろたえながらも続けた。
「それで・・、他にはどんな質問が?」
「続けて、『それなら、アメリカ人ではなく、傷ついてうずくまった動物がいた場合は、あなたならどうしますか』って聞かれました」
「で?」
「はい、『そんな幸運があれば、持って帰って、捌きます。お肉はとても貴重ですし、私は動物を捌くのは得意なのです。』って答え、せっかくですから、内臓の処理の方法などもきちんと説明しておきました」
自信満々で話す八千代を見ながら、孝太郎はくらくらする思いだった。
とにかく孝太郎は学校側にフォローする必要を感じ、八千代を下がらせて、電話をかけることにした。
電話の相手は、件の高校の校長である。孝太郎はこの校長が若いころからずいぶん面倒を見てやっていた。
「お、わしだ。今日は孫が世話になったな」
「あっ、孝太郎さん。こちらこそ、いつもお世話になっています」
「で、ワシの孫はどうじゃった」
「ははは」
「ははは、じゃ分からん」
「いや、いかにも孝太郎さんところのお孫さんらしい方でしたね」
「それで、入学はできそうかの」
「はあ、教師の中には反対する者もおりましたけど、大恩ある孝太郎さんのお孫さんですから、私がなんとか押し通しました」
と、校長は自分の手柄を強調した。
「それで、試験の方はどうじゃった」
「いやぁ、これは驚きましたね」
「というと」
「ものすごくよくできています。
うちの編入試験は、全学年共通でレベルを測れるようになっているのですが、理数科目は全部満点で、高校のレベルは終えてますね」
「そうじゃろ」
孝太郎はうれしくなった。
「国語も満点です。まあ、『蝶々』の読み仮名を『テフテフ』と書いたり、全体的に旧仮名遣いだったので、おまけの満点ですがね。ただ、古典などは、回答も古文で正しく書かれており、採点する国語の教師が、古語辞典を片手に汗をかきながら採点してました」
「そうじゃろ、そうじゃろ」
「ただ、英語が100点満点中、12点でした」
「えっ」
「記述部分は全て白紙で、4択の問題のところを4分の1正解して12点です」
「・・・」
「あと社会は、日本史は94点で、地理は34点です。日本史は現代史の部分だけができていません。地理については、資源や特産物などは比較的よくできているのですが、現在の産業はほぼ全滅です。中国の国名を書く欄にも志那国と書いてありました」
孝太郎はなるほどと思った。
「まあともかく、うちの学校では科目によっては能力別クラスになっているので、お孫さんの学力に合わせた教育ができますよ。英語の初等級クラスでは、アルファベットを繰り返し教えていますから、大丈夫です。明日から登校してください」
「そうか、それじゃよろしく頼む」
孝太郎は電話を切った。
「明日から八千代は高校生か。まあ八千代ならうまくやるじゃろう」
八千代には早く普通の女子高生になってもらいたい、と孝太郎は願っていた。
注1): ゲートル
日本帝国陸軍の兵隊さんが足首あたりに巻いている包帯のような布
注2): 宮城
皇居のこと
注3): 皇紀
神武天皇の即位を基準とした暦。ちなみに、ゼロ戦は皇紀2600年に作られたから、下2桁をとってゼロ戦という名前になった。