路地裏の12月⑥
目が覚めた時には
そこは暗い檻の中だった。
少年は立ち上がり、檻に手をかけようと
歩き出すが足首を何かに引っ張られ転倒した。
見ると、黒い鉄の塊が足に括り付けられている。
力を入れてみても動く気配すらない。
少年は絶望し抗うのをやめ、
その場に座り込んでしまった。
静かに目を閉じる。
「おい囚人。飯、ここに置いておくからな」
檻の外から聞こえてくる男の声で目を覚ました。
少年は叫ぶ。
「おい、お前!なんで俺が捕まらなきゃいけないんだよ!何したっていうんだよ!」
男はゴミを見るような目で
少年を一瞥し、告げる。
「お前もどうせすぐに死ぬんだ。静かにしてろ」
彼は去っていった。
少年は男の置いていった皿を見て顔をしかめた。
少量で、嫌な臭いがする。
恐る恐る口にしてみるが、
腐ったような食感と不快な酸味があった。
彼は皿を檻の外へやり、
再び座り込み目を閉じる。
親に捨てられて、俺も死んで、
たった1人で妹は生きていけるだろうか。
少年は不安でいっぱいになる。
そして、彼の目は涙で溢れていく。
「死にたく、ない」
「ねえ、お兄さん。サボり?」
「ん、なんだ?誰だよ、こんなガキ連れてきたの」
「サボりはよくないよ?」
「うるせえな。お前、誰のガキだよ」
「話くらい聞いてよ。そんなんだから」
少女は飛び上がり、
男の首目掛けて右手を振り抜いた。
「こうなるんだよ?」
血飛沫が辺りを赤色に彩り、
男の首が落ちていく。
彼女の右手には隠し持っていたナイフ。
少女は彼の首からピアスやネックレスを盗り、
残りはそこにあったゴミ箱へ投げ入れた。
頭の無くなった男の身体を
お姫様抱っこの要領で抱え、物陰に隠し、
少女は薄暗い牢獄の奥へ消えていった。
「なんだ、今の音?」
「分からない。だが、侵入者の可能性もある。
一応警戒しろ。銃くらい構えとけ」
「へいへい」
何か重い物が落ちたような鈍い音が聞こえ、
男達は拳銃を持ち身構えた。
が、いくら待っても物音一つしない。
段々と男達の警戒心は緩んでいった。
「聞き違いっすかね?」
「かもな」
「ちょっと見てきます!」
「気をつけろよ」
男達のうちの1人が物音のした方へ確認へ向かう。
すると彼が部屋から出た瞬間、
首だけになって部屋へ戻ってきた。
男は驚き銃を急ぎ構えるも、
次の瞬間、爆発音と共に彼の首は弾け飛んだ。
「おお、すごい威力」
銀色の大型拳銃の破壊力に少女は感心する。