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7話 フェリカとの訓練

ウルフとの一件から数日、僕とフェリカは特訓に明け暮れる日々を送っていた。


「はぁぁぁ!!」


フェリカは僕に斬りかかる。


僕は簡単によけると反撃の姿勢をとり、


「ふっ!!」


彼女の腹部をめがけて横に剣を振る。


「くっ!!避けられない!!」


僕はギリギリのとこで剣を止める。


「まだまだ動きが大振りすぎる。だいぶましになったけど最短で避けられないと体力も奪われるし、カウンターにつなげられない。まぁ、この辺は経験を積むしかないんだけど」


「分かってるけど、怖いものはしょうがないでしょ、当たったら元もこうもないじゃない。それにあんたの言う『心眼』ってやつも分からないんだもん。」


心眼か。


ある程度場数を踏んだ冒険者や騎士は相手の動きを読めるようになる能力のことだ。


僕は爺さんとの訓練で1通り身に着けた。


「心眼自体は簡単に身につくもんじゃないし、あくまで目標だね。まずは相手の動きをよく見て動きを予想するんだ」


「もう一回お願いします!」


「うん、次は魔法も使っていいよ」


「分かりました!行きます!」


こういう時に敬語を使う辺りに育ちのよさが伺える。


フェリカは剣を抜くと自己強化魔法を使い突進してくる。


僕は剣を抜かずにフェリカの攻撃を左に避けて距離を取る。


しかしフェリカはそれを見越して、空いた片手から攻撃魔法を放つ


「ファイアランス!!」


火の槍は僕の顔すれすれの所を横切る。


「へぇ!!」


僕の高角が上がる。


ここ数日間で彼女は急成長した。


元々基礎が出来ていたからであろう。


実践(形式)のコツを掴むとその才能を開花させた。


「やぁぁぁぁぁ!!」


僕が火の槍に注目している間にフェリカは僕の死角に回り剣を振るう。


「っ!!」


僕は剣を抜きフェリカの攻撃を受ける。


「まだまだぁ!」


フェリカが再び自己強化魔法を使うと、すさまじい攻撃を繰り出す。


ガキン、ガキン!


僕は引きながら彼女の攻撃を受け流す。


「ファイアランス!」


フェリカは剣の攻撃の合間に攻撃魔法を加えることで僕の行動を制限させる作戦みたいだ。


剣での戦いが有利になればそれでよし、魔法が当たってくれればそれはそれでよし。


なかなか理にかなっている。


彼女の成長もさることながら、もっと気になる点が一つ。


「ふっ、やぁぁ!」


こうして剣を受けている間にも彼女のスカートが視界にちらつく。


今更ながらかなり際どいのではないだろうか。


これでは気にしない方が難しい。


僕も年頃の男子だから仕方ないよな。


そう自己解決する。


「今の流れはかなりいいんじゃないか。正直驚いたよ」


「ふふ~ん、そうでしょ♪昨日寝る前考えたの」


自信満々に答えるフェリカ。


それにしてもやっぱり気になる点が1つ。


「あの~言いづらいんだけど、」


「?もっと褒めてもいいのよ」


「いや、スカートが…」


「え?」


フェリカは目線を下に向ける。


しばし静かな時間が流れる。


「ぁ、ぁ、ぁ、きゃああああああああああああ!!!」


彼女は赤面しながらウルフの遠吠えにも負けない声で叫んだ。


_________________________________________


訓練を終えた俺たちは昼食をいただきにに宿に来ていた。


因みに先の出来事はなかったことにしようと向こうから言い出した。


別に見てないんだが。でもあんまり気にしないタイプでよかった。


テーブルに着く頃には機嫌を取り戻しており、今日の訓練の反省点を話し合う。


まもなくすると、


「あい、おまちどうさん」


この宿ソウラン亭の女将さん、ミラさんが料理を運んでくれる。


「今日はコウのフライ定食よ」


「わぁ、おいしそう!いっただっきまーす!」


フライにかぶりつく彼女。


僕とミラさんは引き気味にそれを眺める。


「貴族だっていうから口に合わなかったらどうしようかと思ったけどおいしそうに食べてくれてう嬉しいわ」


ミラさんはニコニコしている。


「ええ、僕もうれしい誤算でした。彼女がこの生活に慣れるまで時間がかかると思っていましたから」


「あいお、いうえいえ(なによ、失礼ね)」


「口に食べ物入れたまま喋るんじゃありません」


「ははは!あんたたちいいコンビじゃないか」


ミラさんは豪快に笑っている。


「ゴクッ、あんた食べないの?」


「いや、食べるけど、」


もちろん食べるんだが、気掛かりなことがあった。


「ねぇミラさん、向こうの人たちもここに泊まってる人たち?」


僕はフェリカを背にした角の人たちに手を向けて聞く。


「??あの2人組の兵士のことかい?あの人たちは食事に来ただけだと思うけど…。どうかしたのかい?」


「いえ、なんでもありません」


視線と言うか意識がこちらに向くのを感じられる。


サイアス伯爵からの監視かな?そんな心配なら最初から僕に頼まなければいいのに。


まぁ向こうの気持ちも分かるんだけど。


「ねえねえ、私だいぶ成長したと思うの」


少し警戒している僕とは反対に呑気に彼女が言う。


「自惚れるんじゃありません」


「そういうつもりじゃないんですけどー」


フェリカは頬を膨らましながら言う。


「討伐依頼が受けたいんでしょ?」


「え、なんでわかったの?」


ここ数日過ごしてきて分かったが彼女は見た目の凛々しさに合わず分かりやすいタイプだ。


「顔に書いてあるよ。確かに、実戦経験も大事だしやってみるか」


「!!じゃあ早く食べて協会に行きましょ」


フェリカの元気さには圧倒される。僕の方がこの生活に慣れるのが時間がかかりそうだった。

二人の仲が深まった!?


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次回もお楽しみに!

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