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1話 出発の時

神殿廃墟深奥


「よっ!準備は出来たかい?」


「はい!いつでも行けます!」


石柱が倒れ、壁や天井の欠けたボロボロの建造物に()らしき影が2つ。


僕は神様見習い。神様の交代儀式の最中だ。


「うーん、名残り惜しいねぇ」


そう言う彼女は女神ネメシス様。この場に似合わぬ綺麗な服と銀色の髪が特徴的な神様だ。


「でも、僕は下界での生活は必要な過程なんですよね?」


「そうなんだよ!こんなルールも壊したいくらいなんだけどなー」


「それはどうかと…」


「だってだって、君と離れたくないもん!」


ネメシス様は見た目に沿わずかわいいキャラだ。そう言ってもらえるのは嬉しんだけど。


「そうだ!最後に1つ私と手合わせなんてどうかな?うん、いいよね!いいと思う!」


「え?」


即決即行動。どんな神様かと聞かれればパワフルの一言に尽きる。


「ほらほら剣を取りなさい!行くわよ!」


ネメシス様は神気≪オーバーサンクチュアリ≫を使い全能力を上げるととこちらに突撃してくる。


「ちょ、ちょっと!」


僕は慌てて剣を持ち対抗する。ネメシス様はまさに神速と言える速さで四方から攻撃を加える。


「ここで私に届かないなら、もう1度最初からやり直そうかしら♪」


「それは困りますよ!」


「だったらやってみなさいな!」


ここまで言われたらやるしかない。僕は神気を強めるとネメシス様の速度に合わせて剣を交わす。僕たちの衝突で神殿は悲鳴を上げている。


「流石、私が鍛えただけはあるわね、だけど!」


ネメシス様は少し離れた位置から手を挙げると、割れた地面や欠けた天井、ありとあらゆる隙間から光線が僕めがけて飛んでくる。


「それ!ずるくないですか!?」


「何よ、神様なんだから当然でしょ」


「えぇ~」


僕は追尾する光線を石柱や段差を使って巧みに避ける。避けきれないのは剣で弾き少しづつ距離を縮める。


これが神ネメシス様の神能《光の帯》だ。神能は神様の唯一の個性と言われる技であり、ネメシス様のはかなり攻撃的だ。閉鎖的空間であればあるほど強くなる。


「ほらほら、もっときびきび動かないと当たっちゃうよ~」


距離を詰めても簡単に引き剥がされる。光の帯はますます鋭く僕を狙い、避けきれず掠り傷を受けてしまう。


「そちらがその気なら、僕も!」


僕も神能を使う。僕の能力は《光の衣》だ。使うと身体全体が光に包まれダメージを軽減してくれる。


「ほぉ。だが、それで防ぎきれるかな!」


僕は光の帯を避けることなく最短で距離を縮めるが、痛い。光の帯は四方八方から僕にめがけて直撃する。長期戦は不利でしかなく衣を貫かれる前に決着したい。


「はぁぁぁ!」


40m


30m


20m


10m


近くなればなるほど、攻撃が激しくなる。しかしネメシス様に剣が届く距離。ここなら外さない。僕の剣は確実に首元を捉えていた。


ーが、


ネメシス様は剣が当たる直前でうっすらと消える。


「まだまだね」


咄嗟に振り向くと、ネメシス様と後ろに控えた無数の光の剣浮かびが僕を捉えている。


「いえ、僕の勝ちです」


「っ!!」


僕もうっすらと消えるとネメシス様のすぐ後ろに現れ肩に剣をのせる。


「僕の勝ちです」


「はぁ、そうみたいね。私も歳かしら」


10m直前で僕は衣を脱ぎ捨てていた。見えているのはフェイクだと分かったからだ。


光の帯も万能ではない。特性の1つに使用者が近ければ近いほど攻撃が緩やかになる。そのため距離を詰めても攻撃が鋭くなるのは本来の特性と矛盾している。


「本当ですよ、あまり無理しないでください」


僕は剣をしまうと神殿の祭壇の前まで移動する。


「ほら、時間が来ちゃいます。ネメシス様が変なこと言うから別れの挨拶も十分できないじゃないですか~」


「何言ってんだか、これが私流の挨拶でしょうが」


ホントに脳筋だなぁ。


「ゴホン、では神権交代最後の儀式を始める。一人の人間として下界のことを学んできなさい」


声色を整えて神様らしいことを言う。いや、神様なんだけど。


「はい!」


「それと下界に降りたら一通りの記憶がなくなるからね、秘密保持のためよ」


なるほどそれもそうか。


「あとちょっとした試練(イタズラ)も用意しといたから♪」


「え〃。」


なにかわいくウインクしちゃってるのさこの神様。


「普通の人生じゃつまらないでしょ、だからすこ~しスパイスを加えるのよ♪」


少し楽しみだったのに、一気に不安になった。


「ま、ほんとに大したことじゃないからね」


この神様のこういった発言はあてにならない。今の今まで激務続きだったからのびのびとしようと思ったのに~(泣)


「おっと、忘れてたわ」


「え?何がですか?」


「下界に降りたら名前が必要なの。あなたはネシア。ネシア・アドラステイアと名乗りなさい。」


「!分かりました!!」


ネシアかぁ、仮だけど僕に名前が付いたことに嬉しく思う。


「それでは良き旅を、またね、ネシア。」


柔らかい笑みを浮かべる神様をよそに僕の意識は消えていった。

はじめまして!

LU:KUSるーかすと申します。本作がデビュー作品となります。拝見いただきありがとうございます!


まだまだ未熟なところばかりですが皆様のお意見等で少しづつ改善していきます!


よろしければブックマーク・感想をお願いします!!


気になる点や疑問点等ありましたらコメント下さい!


次回は冒険者ネシアの人生です!


次回もお楽しみに!

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