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第二十二話 ゆっくりぬくぬく

ただのいちゃいちゃ話になってしまった。短い。


 雨に濡れてしまった私とグランは、私が粘り強く交渉した結果、一緒にお風呂に入ることになった。

 体の汚れを流し、シャローテから貰った入浴剤を入れ、ようやくお湯の中へ浸かる。


「はふぅ……気持ちいいねー」

「……そうだな」


 私のお腹に腕を回して、ぎゅっと抱きしめるグラン。

 初めこそ戸惑ってぎこちなかった彼だが、浴槽に浸かる頃には受け入れたらしく、私を後ろから抱きしめるようにしてお湯に体を沈めている。まあ、体が大きいので、完全に沈んではいないけど。


「そういえばね、この入浴剤シャローテから貰ったんだけどどう?」

「ん、ああ。いい香りだと思うが、私はいつもの君の匂いの方が好きだ」

「私の匂いって……ひゃっ!」


 急に首筋に顔を埋められて、変な声が出てしまった。でも彼は気にせず、すんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅いでいる。


「……ここが一番、君の匂いがする」

「えぇ……。私の匂いって、どんな匂いがするの……?」

「そうだな……とても落ち着く匂いがする。うまく言えないが、ほのかに甘くて爽やかな風のような……」


 グランの説明する匂い自体はよく分からないが、彼にとって落ち着く匂いであるらしい。そう言われて嬉しいが、ちょっと恥ずかしいような気もする。


「落ち着くって言われるのは嬉しいけど、匂いを嗅がれるのはちょっと恥ずかしい……」

「いつもいい匂いだから恥ずかしがらなくていい」

「そういう問題じゃないんだけど……うん、まあいいや」


 グランがいい匂いだって言うから、まあそんなに気にしなくてもいいかな、と思うことにする。

 十分に匂いを嗅いで満足したのか、グランは私の首筋から顔を上げた。


「ふう……ミーフェ、そろそろ出ないか?長湯はのぼせるだろう」

「あ、そうだね。体も温まったし、出ようか」


 グランの提案にうなずき、お風呂から出ることにした。水気を拭き取って服を着て、お互いの髪を乾かして……。

 完全に乾いたのを確認して、彼の髪をゆるく結ぶ。


「ん、これでいいかな……」

「ふむ……いつもは自分でしているが、君にしてもらうのもいいな」


 グランは少し嬉しそうに私が結んだ髪を触っている。そういえばこうやって結んであげたこと、あんまりなかったかも。


「グランが良いなら、今度から私が結ぶよ?」

「……そうだな。では、君の髪は私が結いたいのだが……」

「うん、お願いするね。じゃあ、明日から」


 髪を互いに結び合う約束したからか、グランはとても嬉しそうだ。いつもよりも雰囲気が柔らかくなって、にこにことしている気がする。

 そんな時、くう、と小さくお腹が鳴った。


「少し早いが夕食にしようか。今日は私が作るよ」

「いいの?じゃあお願いしようかな」


 私が頷くとグランは私の頭を撫でて、座って待っていてくれ、と。その言葉に従って、私は座って待っていることにした。

 グランの料理の腕はかなりいい方だと思う。私が人間の料理に興味を示し始めてから練習を重ねたとのこと。あの時は嬉しい以上の感情はなかったけど、こうして考えるとすごく愛されていたのだなぁと思う。


 そして、グランの作った夕食を食べ、片付けを手伝った後はそのまま眠ることになった。意外と疲れていたのか、彼の温かい腕の中で私はすぐに眠りに落ちていった。


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