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ハンバーグ

作者: 黒福雲母

私は、4年間老舗イタリアンでバイトしていた。

今思えば本当に飲食店に向いてないと思う。

色々あったけど続けられたのには理由があった。


それは、賄いだ。


シェフは、洋食だけではい。和食、中華と沢山の賄を作っては食べさせてくれた。


その中で、印象的だったのは「ハンバーグ」だった。

1番最初の賄いもこれだったからだ。


家で出されるハンバーグとは全然違かった。

焼いた後、しっかりオーブンで焼くことで中はしっとりしていた。

そのため、ナイフを入れると肉汁が溢れる。

しかもでかい。

1人暮らしでこんなに大きいハンバーグ頼んだら1500円はするだろうというくらいの大きさだった。

時には、チーズや目玉焼きが2つ。

まるで、アニメで出て来そうな賄いが現実で食べられとは思うくらいだった。


玉ねぎをみじん切りにし、こんがり焼いた後、冷蔵庫でしっかり冷やす。

そのあとは、大量のひき肉と赤ワイン、牛乳、パン粉、卵を入れて混ぜ合わす。


しっかり混ぜ合わせたあとは、丸く形を作る。そしてパンパンと音を出しながら空気を抜いている音を聞くだけでワクワクした。

バイトの同期内で今日は「ハンバーグだ」と分かると、子供に戻ったようにウキウキ気分を抑えることはできなかった。



バイト卒業後、老舗のイタリアンは幕を閉じた。

常連さんはいきなりの閉店に、驚いていた。

どうして閉店するのかあんなに繁盛していたのにとみんなで口を揃える。


シェフは、不景気だから仕方ないと口をこぼしていた。


今では多忙の生活に一変して、1人夜道を歩く。

今日のご飯の献立を考える。すると、シェフのご飯を食べたいという欲に、急に襲われる。

バイト先に行くと、「おかえり」と言ってくるあの言葉が妙に懐かしい。

今は家に帰っても、飲食店に行っても「おかえり」という言葉は何もないのだから。





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