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金の力で異世界最強になった俺は邪道と思う

作者: セロリア

近藤たかし20歳「う・・ここは?」


夜、街中、路地裏のホームレスらが怯えた表情で見ている。


季節は夏のようだ。


たかし「ああ、思い出した、俺一回死んで・・神様に異世界召喚?されたんだっけ」


嫌な匂いが。


たかし「・・」


ホームレスの爺1「あ、あんた、今どうやって来た?」


たかし「!あ、ああ、えーと?ここは何処ですかね?」


ホームレスの爺2「ここはミヨンバハードという大都会じゃ、お主、まさか勇者と同じ渡り人か?」


ホームレスらが騒ぐ。


たかし「・・勇者は・・魔王を倒したのですか?」


ホームレス爺3「いや、殺さず和平を結んだよ、60年前にな」


たかし「・・やはりそうですか・・平和になったのに・・」


たかしは見渡す。


たかし「皆さんの生活はよくなってない」


ホームレスら『・・』


ホームレス爺3「あんたは・・何しに来た?神様に何を頼まれたのだ?魔王はもうおらんも同然じゃ、なのに、何故あんたはこの世界へ来なすった?」


たかし「・・はい、私は神様にこう言われました」







異世界に来る前の白い世界。


神様「国の名前はエルムバント、最早魔族と人間と和平は結ばれました、しかし、勇者は人間です、異世界で生き、老人となり、異教徒裁判にかけられ財産は没収、最後はホームレスになり、自害します」


まだアクセス前たかし「・・うわあ」


神様「貴方には力ではなく、経済で世界を建て直しを図って欲しい、人間同士の戦争を止め、明るい楽園を築いて欲しいのです」


たかし「・・えーっと・・では、あの、能力って力では駄目だと思うんですが・・」


神様「私は望む力を与えるのみ、力はあなたが決めなければなりませんそれを含めて波紋なのですから」


たかし「・・少し時間をください、考えます」


神様「人間時間で30分しかあげられませんお早く」


たかし「・・」



25分後。



たかし「異世界にはお金がありますか?」


神様「あります」


たかし「ホームレスが貴族になれますか?」


神様「なれます」


たかし「お金で国を買えますか?」


神様「買えます」


たかし「解りました、では、俺は、知恵を所望します、出来れば最高位の知恵が欲しいのですが」


神様「不老不死ではない?知恵?」


たかし「はい、知恵を」


神様「不老不死でもなく、チート級能力でもなく、知恵、ふふ、変わった人間ですね」


たかし「・・」


神様「時間です、宇宙の知恵の図書館へのアクセス資格をあなたに与えます、最高位の知恵を所望されたのですからね、では、資格を与える」


たかし「あの、勇者は何を所望したんですか?」


神様「経験値5000倍と、全ての8式魔法への適性」


《シュオオオオオオー・・》


たかしの体が光る。


たかし「う、う、うおがあああ!?」


脳へ膨大な知識が、知恵が、一片だけでこの容量。


神様「さあ、出発地点は何処ですか?」


リンクした後のたかし「・・仲良いホームレス集団の子供らが居る場所」


神様「それでは、善き旅を」









現在。


たかし「金で異世界を買い取れと」


ホームレス爺3「そ、そんじゃあ、あんたは何かい?勇者は、魔王との戦争を止める為、あんたは・・その、人間らしい生活の基礎を作りに来たんかい?」


たかし「色々違いますね、私は、人間同士の醜い争いを絶つ為に使わされました」


ホームレス爺1「言っとる意味が解らんが、それと金とどう結び付く?」


たかし「噛み砕いて言うと、手始めに、孤児院を建てます、そこから、世界に優秀な子供達が飛び立ちます、ここまで言えば解るでしょう?」


ホームレス爺4「ふぉ」


ホームレス爺ら『長さん!長さん』


長老「やあやあ、長いこと生きてみるもんじゃなあ・・」


子供らに支えられよたよた歩いて来る。


長老「世界を買うじゃと?」


たかし「そうです、あなた方にも協力願います」


皆、40人くらい『ざわざわ』


長老「貴族、王族が黙っとらんよ」


たかし「あなたは勘違いをしている」


長老「はて?」


たかし「この世界で最も力を持つ人種、それは貴族でも、王族でもない」


長老「ほう?」


たかし「魔王、勇者でもない」


長老「では何かな?」


たかし「 平 民 で す 」


長老「!」


たかし「銀行、情報、不動産、ギルド、これさえ握れば任務は終わりです」


長老「何人死ぬか解らん」


たかし「魔法、魔術、ドワーフの爆弾技術」


長老「!」


たかし「戦争が起きるよりは少ないと思います」


長老「・・儂らの大切な子供達をスパイにはできん」


たかし「戦争の兵隊には出来ると?」


長老「・・せ、戦争が起きるとは限らん」


たかし「魔王は勇者が殺されれば、間違いなく、世界侵略へ乗り出します、人間等やはり信用ならんと言ってね」


長老「人間が勇者を殺す等、あり得ん!恩人じゃぞ!?」


たかし「戦争の武器はよく売れます、戦争がなければ困る方々が沢山居る、僕の世界もそうでした、それに、魔王も殺されるでしょう」


長老「どうやって?」


たかし「勇者を人質に取る、勇者はもう年寄りなのだから」


長老「・・ふう」


またよたよた歩き、戻っていく。


長老「・・戦争がない世界を造り、その後はどうする?魔族の居場所まで進行するのが人間じゃ・・あ、ああよっこいせ」


シーツが敷かれた空き木箱の上へ座る。


たかし「人口調整も金で行います、わざと景気を悪くするのです」


長老は寝転がる。


長老「・・・・全部正解じゃろう、好きにせい」


たかし「では、長老と、私の考えに賛同して頂ける人は、洗濯屋さんへ来てください、私はそこでオーナーをやりますから、そこで皆さんを雇い、教育をし、世界を変える手伝いをして貰います、私を貴族や、王族へ売りたいなら売れば良い、ただしその場合、ホームレスはずっとホームレス、奴隷はずっと奴隷、そして戦争になり、あなた方は死にますがね、それに事件にならなかった場合は、私は釈放された後、別の何処かの村にでも商談を持ち掛け、そこの人らと駆け上がるだけです、では失礼」



現在朝方。



たかしは宿町で靴磨きを始めた。


軽快な口調で会話をしながら次々と平民らと仲良くなっていく。


町に溶け込み、愉快に平民らと飲み歩く。


噂を聞いた貴族の男性が靴磨きにやってくるようになった。


ピカピカの靴に大変満足し、皆出掛けていく。


資金が貯まり、乾かす為の庭がある、古い教会を低賃で役所が貸してくれる事に。


町から少し遠いが、まあ良しとした。


日光が透ける屋根で屋内干場を作った。


洗濯が得意な明るい女性募集、洗濯やさんを始めます、給料は月に30万、年齢は25まで、面接は夜19時からという張り紙をした板を横に置いて靴磨き。


張り紙を見た女性らから声を掛けられる毎日。


しかし、高い給料に警戒されたのかなかなか応募がない。


が、たかしはこれで良いと思っていた。


駆け上がる人物は、肉体労働の洗濯やさんに妥当な金額だと気づく筈だからである。


募集をして、2週間後。


みすぼらしい格好のホームレスの少女と男の子が応募に来た。


二人共に読み書きが出来なかった。


雇うのは後、まずはお手伝いという事で、役所へ提出、その際、引き取る手続きもした。


二人で洗濯の練習をさせた。


練習とは言え、本番のようにさせた。


あらゆる調味料、ソース、油、機械油に対応する洗剤は既に開発していた。


その特許は既に申請済み。


魔法を使わなくても洗える、ここがミソだった。


特許審査委員会は大慌てだった。


開発済みの洗剤、水の温度、放っておく時間を教える。


メモを細かくつけさせた。







2ヵ月後。


二人共にお客様に出せるプロになった。


役所に雇うと申請。


二人はせっせと働く働く。


完全予約制の洗濯やさんは大繁盛。


教会へ続く道は草が生えない道となり、馬車の轍が残る道となった。


3ヵ月後。


今や洗剤の売れ行きも絶好調、入浴剤、芳香剤、食器洗剤、機械洗剤、馬用洗剤、どれも植物由来で3日もすれば中和される。


硝子職人にも発注量を少し抑えるように言われた。


教会の横の空き地を買い取り、工場を建て、沢山の人を雇い、稼働させていた。


ほぼ洗うのは蒸気機械だが、人々は監視、洗剤投入、水温管理、すすぎ機械への搬入、乾かす高温鉄パイプ部屋への搬入、たたむ作業は人々がやる。


人々の管理は成長した男の子、女の子だった。


たかしは暇になったから、テスラ電力を開発中だった、磁石開発と、太い銅線開発。


鉄工場を新しく建て、会社を設立。


給料を弾んで能力のある者らをヘッドハンティングした。


蓄電池も開発に着手。


個体電池の開発に成功。


次にテスラ電力の開発に成功。


個体電池、テスラ電力の実験は全て一人で行った。



星から電力を貰い、何度も繰り返し使える蓄電池に溜める。


まずはデモンストレーション。


工場、仲の良い友人らの家に明かりが灯った。


蝋燭の火にしては大きいと、噂になる。


そして特許申請。


一発合格。


国から呼び出された。


国王謁見。


国に技術全てを無償提供せよ、とのお達しである。


王様「代わりに何でも望むモノを言え、何が欲しい?」


たかし「お金を発行する権利を国から私へ下さい、それから私に銀行の設立許可と、買収許可を、それから利子、貸し付けを行う許可を下さい」


王様「・・直ぐには返事は出来ない、一週間後、また来るが良い」


たかし「はは」


そして、一週間後。


たかしは魔王と共にお城へ赴いた。


王様「・・やあやあ、お元気かな?」


魔王は50くらいの角の生えたおっさんだ。


魔王「・・ふん、相変わらず辛気くさい場所だのう」


王様「してな・・返事じゃが、書面にした、おい」


近衛兵「はは!」



渡された王印が入った書簡には、きちんと盟約として、びっしり書かれていた。


王様「会議部屋が空いておる、手直しが必要ならこの者に言え、ではな」


謁見終わり。


会議室。


盟約には、全て渡せ、利子は10%まで、お金の発行権利は渡せないと記されていた。


発行権利が全てだと近衛兵に告げ、近衛兵はお待ちくださいと言って出て行った。


魔王「・・上手くいくかな?」


たかし「問題ない、この内容はお前と俺の仲を知らない間に書かれたモノだからな」


魔王「ふ、お前が勇者の召喚術と共に城に現れた時はどうなるかと思ったがな」


たかし「勇者も薄々気づいてたんだそうだ、そろそろ勇者という立場を剥奪されそうだと」


魔王「本当に愚かだよ、勇者を殺せば我は必ずや人間界へ復讐しただろう、勇者が居ない世界等赤子を殺すより躊躇いはないであろうよ」


たかし「それを変える為、俺達はここに居る」


魔王「勇者が魔界へ来れれば良いのだがな、あやつは人間ゆえ年老いる、魔界では長くはもたん」


たかし「ああ、そうだな」



〈ガチャン〉


近衛兵「お待たせしました、王がお待ちです、再び謁見の間へお越し頂けますか?」






魔王は立ったまま、たかしは片膝を着く。


王様が座ったいる。


王様「・・解った認めよう、ただし条件がある」


魔王「ち、おいこらあんまり調子に乗るなよ、俺が和平をしたのは勇者が良い奴だったからだ、お前らみたいなゴミ、消すのに2秒もかからんのだぞ?」


隠れている大規模魔法使いらが息を飲む禍々しさ。


たかし「まあ落ち着け、聞くだけ聞こう、王様続きを」


王様「う、うむ、ごほん!えー、我が国へ不利益な行為、または宣伝をしないこと、それをした場合は速やかに貨幣発行権利を剥奪し、国へ返還するモノとする、以上である、依存はあるか?」


たかし「ありません」


王様「では、この旨を書簡にし、渡す、また会議室で待たれよ、以上である、下がって良いぞ」


たかし「はは!」


魔王「ふん」





帰り馬車の中。


魔王「それで、勇者は何処へ匿うのだ?」


たかし「勇者パーティーの中に、エルフが居るんだ、その人に先月旅立って貰った、そろそろ手紙が届く筈だ」


魔王「あそこは毒の森だぞ?水も食べ物も見た目は綺麗だが、魔素の塊だ」


たかし「その魔素を取り除くのに成功し、エルフらは森で迷った人間相手に施しをしていた」


魔王「それは本当か?」


たかし「ああ、勇者は魔族と和平を結んだ英雄だ、エルフの森は彼を受け入れてくれるさ」


魔王「・・期待するとしよう」


たかしはその後、銀行業を始めた。


ソロモン銀行。


金貨を預り、紙を刷るようになった。


金貨を預けると、紙が貰え、紙を返すと金貨が増えて戻って来る。


噂が広まり、やがて持ち運びに便利な紙幣を使うという店を増やす。


紙幣しか要らない店を増やしたのだ。


その結果、金貨を預けたまま、紙幣が流通しだした。


既存の銀行は、金貨のみしか国から支給されない為、真似は出来なかった。


ソロモン銀行という看板は、国中に広がり、国の紙幣が大体行き渡る頃、テレポートを使える魔法使いをソロモン銀行同士の送出金係として雇った。


これにより大量の紙幣の行き来が国中で可能になった。


エルムバント国はソロモン銀行出資による公共事業が拡大し、コンクリートの道路が次々でき、病院、老人介護施設、学校、工場、ゴミ捨て工場、水道工事、下水工事、大規模スーパーマーケット、が区画整備され建てられ続けた。


冒険者達は言葉が理解出来ない野生魔物らから国民を護る為の警備隊という仕事に次々就職。


冒険をしなくとも金が手に入るのだから、当然の流れだった。


足元が強固になったエルムバント国は、軍備増強路線に舵を切る。


人口爆発したエルムバント国は新たなる農作物プラントビルを造る土地を欲した。


南へ進行を開始。


海上、海中都市の夢を語る国王に率いられ、エルムバント国、サナターシャ国へ宣戦布告。


全面戦争へ。


大型個体電池戦車、戦闘機を前に、サタナーシャ僅か2日で敗北。


魔力切れを起こさない電動ガトリング銃が大活躍した。


敵も大規模魔法使いは居たが、数人、しかも、乱発は出来なかった。


対してこちらは。


焼夷弾を空から散布、5キロスナイパーを数千人育成、戦車大砲撃ちまくり、ただのロケット台座から適当に撃ちまくり。


ただの虐殺だった。


他国は歴戦で強国であったサタナーシャ国がたった2日で惨敗した結果に膝を着いた。


たかしがエルムバント国へ赴任してから僅か10年だった。


エルムバント国が発表した組織、国連。


基軸通貨はエルムバント国のエルが主流に。


そして、全ての国にエルが流れるようになった頃。


実質、世界支配者は、35歳の男、近藤たかし一人になった。


たかしは自分の住まう地下深くのAIが管理する巨大施設に可愛いメイドロボット達と住んでいた。


たかしが出す糞尿、ゴミは全てマグマ圧力調整所へ一旦送られ、此方からの圧力を高くして排出され、マグマに送られる。


AI技術はたかしが独占していた。


たかし「・・暇だ・・子供が欲しいなあ・・」


そう思ったたかしは、善は急げという事で貴族達にお触れを出した。


次々面接に来る可愛い令嬢達。


しかし。


たかし「・・つまらん」


頭脳レベルを自分用に設定したAIとの会話にしていた為に、冗談、皮肉が飛び交う会話に慣れきってしまっていたのだ。


令嬢達はたかしとの会話についていけない。


たかし「貴族じゃ駄目か・・」


たかしは護衛のAI見た目は人間型ロボット、名前はサロを引き連れ、穴を出る事にした。


特殊スーツに着替え、異空間魔法装置を確認、大量のメカメカしいモノがある。


特殊見た目普通眼鏡を装着。


脳波、手首から黒い流動体スーツが変形した短剣が飛び出す。



たかし「さあって・・行きますかね、世界も平和になったし、跡継ぎはAIだし、もういつ引退しても良いし、それでは~?」


サロ「私らは引き継ぎたいとは言っておりません」


たかし「お嫁さん探しに~?」


時計型テレポート装置をON、眼鏡スクリーンに3D表示、行き先検索。


サロ「はあ~」


たかし「〈ピピピ〉出っ~ぱ~っつ!!」


サロ「お一人で行ってくださいよもう」


《ビシュ!》




END



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