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No.2 スフィスト大迷宮

 王都の郊外にはスフィスト大迷宮と呼ばれる巨大空洞があった。

 そこには王都創設者の秘宝が眠ると言われており、たびたび冒険者たちはレベルを上げては腕試しとしてそこに潜っていた。


「よし!謎のボーナスステージ攻略だ!」

「そうですね。気合を入れていきましょう」

「ボーナスステージは第20層の外れだ」

「道を間違えずにいきましょう」


 それぞれが自由に話す会話の輪に俺はいない。

 なぜなら、


「おい、シュウ。お前の仕事は荷物を持ちつつ、俺たちについて来ることだ。それができねぇなら、お前はいらない」

「残念ながら、仕事をしない者に報酬はあげられませんので」

「シュウ、お前の速度ではパーティー自体の危険度が上昇する」


 人に荷物を感謝もなく押し付けておいて好き勝手言ってくれる。

 まあいい。収納スキルで俺は何一つ持っていないからな。


「では……出発しましょう」

「くれぐれも……(遅れるな)」


 息を切らしながらも何とかついていく。

 魔のボーナスステージ。先代のNo.1パーティーが命を落とした謎のダンジョンだ。

 20層時点で最強と謳われる、対敵最強のフロアボス、ミノタウルスがボーナスステージの門番として立っているという噂もあり、その先は不明。

 ここにいる四人でさえ、ギリギリの戦いになるだろう。


 その予想は的中した。

 突如出没する雑魚たちも雑魚ではなく、上層部であればフロアボス級の魔物が山のように出現した。

 空中を蹴り、飛び回るクモ。

 対象との距離が50センチを切ったとき、重力が変動するゴブリン。

 身体の大きさを変動させて間合いを掴めなくする蛇。


「くそっ!何だってこんなイレギュラーな魔物が……!?」


 索敵を得意とするアッシュの感知魔法も今や機能していなかった。


「アッシュ!感知魔法はどうした!」

「やってますよ!ですが、反応がなかったところに突如反応が出るんです!」

「二人とも落ち着いてください!」


 それぞれが攻撃を繰り出す中、また思念が送られて来る。


『シュウ……倒せとは言わない。が、せめて攻撃する素振りくらいは見せてくれ。それに……」

「スキルを使わなくて結構。悪かったよ」


 それだけ言って俺もスキルを発動する。

 無論サボっていたわけではない。それに異常事態でワラにもすがりたいのはわかる。

 要するにこのダンジョンは規則性のないトラップが仕掛けられたような場所であるらしいが、無力な俺に溜まったストレスでそんなことを考える余裕がアーサーにはないらしい。

 なら、全員にそう見えないように規模だけ大きめの攻撃をしておくべきだろう。


「くそっ……!!シュウは一体何してるんだ!」

「そうですよ!ピンチのところで全て仲間任せですか!?」


 もう遅かった。だが、持ち込んでいた爆薬を投げつけて幾らかのHPは減らす。


 パーティーの隊列の中で魔物が湧くこともあったが、先んじて爆薬を投げ込み、出来る限り危機をいち早く伝えるようにした。

 ……どうやらこの機転も気付いてはもらえていないのだろうが。


「これは追放しかないか⁉︎」

「まあまあ……まだ、ダンジョンは終わったわけではありませんよ……」


 パーティーで俺の生存の要であったカルラでさえこの調子だった。

 気にしない気にしない。

 さぁ、この扉を開けば魔のダンジョンの始まりだ。


「よし、いつも通り行くぞ。グレゴリーが前衛、アッシュとカルラが後衛、俺はその場に合わせる」

「おう!」

「分かりました」

「了解です」


 あからさまに俺の存在が必要ないことを示そうとしているようだ。


「俺の遊撃にはアッシュ、グレゴリーの回復はカルラが頼む。では行くぞ!」

「「「おう!」」」


 俺には見向きもせず、四人はフロアボスの間に立ち入った。

 俺も一応ついていく。一応だが。

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