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魔法が使えないのでギルド職員をクビになりそうです〜わたしの師匠は魔王様にゃ!〜  作者: 椎名咲良
1章 落ちこぼれ少女が魔王の弟子になる話
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5◆落ちこぼれ少女と聖剣なんとかカリバー




「ふにゃぁぁ〜……生き返るにゃぁぁ〜……」


「初めてしたけど朝風呂もいいね〜……」


 身体を綺麗に洗ってから仲良く湯船に浸かって気の抜けた声で朝一番のお風呂を楽しむ。


 今まで朝風呂って経験なかったけどこれからはたまには早起きして入るのもいいかも。うん、アリ。


「それにしてもサラ、あの変な道具はなんにゃ。浴槽についてる魔石に魔力込めたら水がすぐお湯になったにゃ! 凄いにゃ!」


「魔道具だけど……え、もしかして知らない?」


 こくり、と頷く。


 マジか。魔道具を知らないなんて今時珍しいにも程があるけど、魔王だから浮世離れしてるのかなあ。


「えっと魔道具っていうのはね、本体に刻まれた魔法を取り付けられた魔石の魔力で起動する物だよ。お風呂にお湯入れたり沸かしたりとか、食材が腐らないように冷やしたりとか生活に使う物だね」


「なるほどにゃー。私がそういうのやろうとしたらお湯じゃなくてマグマが出るし、冷やした物は永遠に凍ったままになるからそれは凄く便利にゃ!」


「ぜっっっっったいやらないでね!?」


 スケールが違い過ぎる! 大体お湯の代わりにマグマが出るって何! 冷やした物は永遠に凍ったままって何!?


 なんとしてもルーちゃんには可愛いマスコット枠でいて貰わないと……!


「やらないにゃ。そもそも私はサラと契約した身だし、サラの迷惑になる事はしないにゃ」


「そうしてね……そういえば、さっきよくわかんないうちにルーちゃんに付けられたこの魔法陣なんなの?」


 手の甲に刻まれた魔法陣を眺める。


 七芒星が中央に描かれており、その周りには複雑な文字? が刻まれているみたい。何で書いてあるんだろ?


「それは私の実家、セブンクルス家の紋章にゃ。別にその魔法陣に効果とかはなーんにもないただの契約の証にゃ。あ、ちなみにそれは契約関係にあるサラと私にしか見えないから安心するにゃ」


「あ、そうなんだ。てっきり願いの代わりに魔王の眷属にでもされるのかと……」


「魔王をなんだと思ってるのにゃ……そんな恩知らずな真似したらお母様にお尻ぺんぺん一万回の刑にされちゃうにゃ……」


 一万回て。私小さい頃お母さんに一回されただけで大泣きした覚えあるんだけど……あれめちゃくちゃ痛いんだよね。


「ルーちゃん家って厳しいんだね……」


「まあ、次期魔王候補だったしにゃあ。お母様が厳しいから言葉遣いとか作法とか色々勉強させられたにゃ」


「言葉遣い……?」


 厳しく躾けられてこれ……なの? めっちゃにゃあにゃあ言ってるけど……


「む、失礼な事考えてる目にゃ!」


「か、考えてないよ?」


「嘘にゃー!」


「わぷっ! ちょっとルーちゃん暴れないで!」


 飛びかかってきたルーちゃんとしばらくじゃれあう。可愛い。


 やっぱりルーちゃんが言葉遣いちゃんとしてるのとか全然イメージつかないなあ。


 あ、でも契約の時の雰囲気はなんか凛としててちょっとかっこよかったっけ。前に友達が言ってたギャップ萌えって奴かな?


「もー。ルーちゃん、お風呂で暴れるの禁止ね。ここペット禁止だからいるのバレたらまずいんだから」


「う、わかったにゃ……でもサラが悪いと思うんだけどにゃあ……」


 私は悪くない。責任転嫁は良くないよルーちゃん。


「そろそろ出よっか。あんまり長風呂したらのぼせちゃうし」


「だにゃあ。お風呂でゆっくりお喋りするのもいいけど、そろそろ始めるにゃ」


「何を?」


 ルーちゃんを抱き抱えて湯船から上がりながら尋ねる私にルーちゃんはニヤリと笑みを浮かべて言った。


「魔法のお勉強にゃ」







 お風呂から上がって着替えて髪を乾かしたりして身支度を整える。この髪自慢ではあるけど、色々時間かかっちゃうのはやっぱり大変だ。


「よし、じゃあ始めるにゃ!」


「え、どうしたのそれ」


 開始の宣言と共に机の上に踏ん反り返っていたルーちゃんはなんかいつの間にやら黒縁の眼鏡をかけていた。いやいや、どっから出したのそれ。


「私は先生だからにゃ! とりあえず【次元収納】に伊達眼鏡があったから形から入ってみたけどどうかにゃ?」

「【次元収納】!?!?」


「そうにゃ。こうやって自分専用の空間を作って物置に出来る便利な魔法にゃ。手を突っ込んで中に入れた欲しい物を思い浮かべたら……はい、聖剣なんとかカリバーにゃ!」


「何で魔王が持ってるのそれ! それにすっごい眩しいから早くしまって!」


 ……なんかもう始まる前から疲労感が半端ない。


 【次元収納】と言えば使える人が国に一人いるかいないかの超レア魔法だ。


 その魔法が使えるだけで国に仕えれば一代限りの貴族位も貰えるらしいし、仕事もどこからも引っ張りだこで凄い待遇で扱って貰えるとか。


 そんな魔法をさも当たり前みたいに使うの心臓に悪いからやめて欲しいし、そこからいきなり軽いノリで勇者が魔王を倒すのに使う聖剣エクスカリバーを出すのもやめて欲しい。


 なんかめちゃくちゃ光ってて眩しいし、私の中の何かが浄化されそう。


 なんなら聖なる力でビームとか出て私の存在が消されそうだよ。


 ルーちゃんがエクスカリバーを収納の空間にぽーんと無造作に放り投げると、さっきから何もない所に開いていた穴が塞がり元通りの見知った我が家の光景が帰ってきた。


 ……エクスカリバーって絶対そんな適当に扱っていい物じゃ無いと思う。


 それ、物語とかだと伝説の剣なはずなんだけどなあ……

お読み頂きありがとうございます!


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それでは、次回の更新でまたお会いしましょう!

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