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魔法が使えないのでギルド職員をクビになりそうです〜わたしの師匠は魔王様にゃ!〜  作者: 椎名咲良
1章 落ちこぼれ少女が魔王の弟子になる話
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39◆落ちこぼれ少女と魔界の門③

後半部分は視点変更で三人称になります。

一人称はサラとロッテのみです。





 そう。画面に映し出された光点の一つが示しているのは住民区にある運動場。


 本来こういった施設は中央区にあるものだが、この運動場は住民間でのイベント事を催す際に使う為に私が子供の時に作られたものだ。住民区で唯一まとまった広さが取れている場所なのは間違いない。


 だからそこにエネルギー源を持ったモンスターがいる事がわかった時は周りに被害が出にくいから安心したけどこうなると状況としては最悪だ。せっかく避難させた人達が一網打尽にされかねない。


『クソッ! 今すぐ向かう! 通信切るぞ!』


 ヴェインさんはそう言い残して通信を切断する。あそこにいるモンスターは絶対に強い、だったら私達も……


「サラ、ダメにゃ」


 そんな私の考えを見通す様にルーちゃんは私に釘を刺す。


「ダメって……あそこにいるモンスターは強いんでしょ? だったら皆でーー」


「それじゃダメなのにゃ。各個撃破しても次に行くまでにあいつは絶対その穴を修正するに決まってるにゃ。それをさせない為にもエネルギー源の排除を同時進行で行ってエネルギー源の排除が完了次第、急いでエネルギーの供給がなくなって弱った【魔界の門(ヘルゲート)】を破壊する必要があるにゃ」


「……なるほど。つまり、住民区をヴェインに任せるなら商業区には私が行く必要があるという事ですわね。私にあれを破壊するのは無理ですし、そちらはルーちゃんとサラさんに任せますわ」


「話が早くて助かるにゃ」


 ルーちゃんはそう言って頷くと、上面図を閉じてロッテを見据える。


「ロッテはこれからもう一つのエネルギー源を持ったモンスターを倒しにいって欲しいにゃ。ただ、相手はあれだけの大魔法のエネルギー源の半分を持ったモンスターにゃ。ぶっちゃけ確実に勝てる確信までは持てない。そうにゃ?」


「……悔しいですがその通りです。私の魔法は万能性に重きを置いていて、ヴェイン程敵の殲滅には特化していませんから。もちろん、最善は尽くしますが……」


「ふふん。ロッテ、安心するにゃ! 私が秘策(とっておき)を授けてやるにゃ! じゃーん、にゃ!」


「こ、これは……!?」


 ドヤ顔でルーちゃんが【次元収納】から取り出した秘策(とっておき)。それを見てロッテは息を飲んだ。その後ルーちゃんから説明があったけど、確かにこれがあればロッテならきっと大丈夫だと思う。……説明が進むにつれてロッテの顔がどんどん困惑して行ったけど。


 作戦を成功させる為のルーちゃんの秘策(とっておき)。それを持って私達は作戦を開始したーー。







 ーー所変わって住民区。騎士にして王国四大貴族アクセルクロイツ家の次男であるヴェイン・アクセルクロイツは住民区を凄まじい速度で駆け抜ける。


 この凄まじい速度は彼の高い身体能力による所もあるが、彼が風属性に属性適性を持っている為に風魔法【風精霊の風衣(シルフウィンド)】という速度強化魔法を持って実現している。


 その目にも止まらぬ速度で彼が一直線に目指すのは住民区の運動場。先程連絡を受けて急いで向かっているもののこの速度を持ってしても後一分弱はかかってしまうだろう。


 たかが一分弱と思うかもしれない。だが、先程腐れ縁の幼馴染は今から向かう先に待ち構えるモンスターはかなりの強さであると語っていた。ならば、この一分弱で避難している住民と僅かな護衛を皆殺しにする等造作もないはずだ。


「クソッ! 頼むから間に合ってくれよ……!」


 ヴェインは希望を口にしながら更にスピードを上げて街を駆ける。走り続けて一分、運動場近くに到着するとモンスターの怒号が聞こえるのがわかった。


 急いで駆け込むと、入ってすぐそこにいたのはーー


「ワォォォォォォォォォォォン!!」


 ーーまるで全身を血に濡らしたかの様な真紅の体を持った大きな狼だった。


「馬鹿な、ブラッディウルフだと!? 何であんな奴がここに!?」


 そこにいたのは冒険者ギルドによって危険度Aランクに指定された災厄指定(ネームド)モンスター【ブラッディウルフ】だ。


 本来なら災厄指定(ネームド)モンスターは人里離れた場所の奥深くに生息していて到底こんな所にいるモンスターではない。もし村や小さな街を襲う事があればそこは一晩で滅ぶ、そんな厄災とも呼べる存在が今、目の前にいるという事実にヴェインは戦慄した。


「ハァハァ……ッ! なんだこいつは……強過ぎる……! こんな奴に勝てる訳が……」


「騎士の癖に諦めんじゃねえ! 俺達が諦めたら後ろの奴らは死ぬんだぞ!」


 護衛に着いていた騎士と冒険者らしき二人は全身傷だらけで地面に膝を付き、満身創痍だ。そんな状態でも逃げ出さずに後ろで怯えている住民達を背に弱気になっている騎士に冒険者が喝を入れるが、それを見てブラッディウルフは舌舐めずりをして一歩、また一歩と距離を詰めていく。


 その様子を見てヴェインが我に返り駆け出すと同時、ブラッディウルフは二人の命を奪うべく飛び掛かるもーー


「っらぁ!」


 タッチの差でヴェインが割り込む事に成功し、力任せに剣を振ってブラッディウルフを弾き飛ばし距離を取る。


「っぶねえギリギリセーフ! すまん、ちょっと呑まれちまった! ここからは俺に任せて退け!」


「す、すまんヴェイン助かった! 頼む!」


「気をつけろよあんちゃん!」


「おう、任せろ」


 お互いに肩を貸しあいながら住民達と共に下がっていくのを見届けるとヴェインは深呼吸をしてブラッディウルフと向き合う。


 厳しい戦いなのは間違いない。だが、後ろには騎士として守るべき人達がいる。負ける訳にはいかない。


「グルル……」


「そう睨むんじゃねえよ犬ッコロ。さっきはつい呑まれちまったがもうそうはいかねえ。お前を倒さないと街を救えねえみたいだしな、ここで俺が引導を渡してやるよ」


「ワォォォォォォォォォォォォォォォン!!」


 ヴェインが剣先を突き付けてそう宣言すると、ブラッディウルフは咆哮する。やってみろ人間、とヴェインは言われた気がした。ならば、ここは少々カッコつけてやる所だと思い剣を構えながら名乗りを上げる。




「俺はヴェイン! ヴェイン・アクセルクロイツ! 誇り高きセイレス王国騎士団にして、王国の守護者アクセルクロイツの騎士! いざ、参る!」

少し短いですがキリがいいので一旦切ります。

お読み頂きありがとうございます!


面白かったり、続きを読みたい!となったら画面下の☆から評価やブックマークして頂けると執筆のモチベーションになります!切に!切にお願いします!


それでは、次回の更新でまたお会いしましょう!

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