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魔法が使えないのでギルド職員をクビになりそうです〜わたしの師匠は魔王様にゃ!〜  作者: 椎名咲良
1章 落ちこぼれ少女が魔王の弟子になる話
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33◆落ちこぼれ少女と新しい力

毎日閲覧、ブックマークありがとうございます。

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「ようこそ。歓迎しようじゃないか、魔導ギルドと裏切り者よ」


 そう言って不敵な笑みを浮かべる騎士団長に聞きたい事は山程ある。だけど、何よりも先にヴェインさんが口を開いた。


「テメェは何者だ」


「何者? 私は貴方の上司、このルフユマーレ支部の騎士団長に決まっているでしょう」


「嘘をつくんじゃねえ偽物。下水道で死後一ヶ月程経過した本物の騎士団長の死体を見つけた。言い逃れは出来ねえぞ」


「……ほう。まさかあの傷で私の放った騎士達から逃げ延びたのですか。まあ、結局死んだようですがね」


「テメェ!!」


 激昂し、今にも剣を抜いて斬りかかりそうなヴェインさんを見て騎士団長はそれを嘲笑う様に吐き捨てる。


「ふんっ! どいつもこいつもあの腑抜けの何がいいというのだ! 騎士道だ正義だと抜かして戦いを恐れるただの腰抜けではないか! そんな者は騎士団の強さの象徴たる騎士団長に相応しくない!」


「それの何処が腑抜けですか。正義を重んじ、騎士道精神に則り弱き者を守るのが騎士のあるべき姿です。大体【アーリアル商会】に騎士団が逮捕した人間を人体実験に使う被験者にする為に流し、更にはどんな手を使ったのか知りませんが、殺した自分が騎士団長になり変わって騎士達を洗脳して自分を崇めさせてなんでも言う事を聞く様にしなければ、騎士達を従わせられなかった貴方に騎士団長を馬鹿にする資格はありませんわ」


 その言葉に騎士団長は顔を真っ赤にして叫ぶ。


「黙れ魔導ギルド! 貴様らは邪魔なのだ! 騎士団の敵だ! 貴様らがいなければこの街は私が支配出来ていたはずなのだ! あの商会を使い、何でも言う事を聞く屈強な騎士を量産して最強の騎士団を作り街を支配し、この街の支配者となる! その崇高な計画も貴様ら魔導ギルドに邪魔された! 何処まで邪魔をすれば気が済むのだ、魔導ギルド!」


「いい加減にして下さい!」


 次々と口にされる自分勝手な言い分に、私は思わず叫ぶ。ふざけるな、ふざけるな!


「私達一般人は皆、騎士の人達に感謝してるんです! 普段の生活が安心して出来てるのも、騎士の人達が毎日治安維持の為に頑張ってくれてるからだって知ってるから!」


 騎士の人達の毎日の頑張りを、私達は知ってる。この街の誰もが小さい頃から毎日見て来たんだ。


 雨の日でも嵐の日でも、私達の暮らしを守る為に頑張って来た騎士の人達の姿を知ってる。


 魔導ギルドに入って、二つの組織の仲が悪いのを知ってそりゃちょっと嫌な気持ちにもなったけど……先輩達は文句は言うけど最後には皆揃ってこう言うんだ。「でも、私達が街で困ってるのを見たらなんだかんだで助けてくれるから、何か嫌いになれないんだよ」って。


 そんな騎士の人達の仕事へのプライドを傷付けたのは他でもないこの人だ。絶対に許せない!


「騎士の人達は貴方の言う事を何でも聞く操り人形じゃない! この街に邪魔なのは魔導ギルドじゃなくて貴方の方だよ、偽物!」


「……魔導ギルドの娘、貴様死ぬ覚悟は出来てるんだろうな。支配者たるこの私に対するその暴言、到底許せるものではない!」


 顔に青筋を浮かべ叫んだ途端、騎士団長の姿が消えた。


「苦しんで死ねーー【死病】」


「っ!? サラさん! 避けて下さい!」


 次の瞬間、騎士団長は私の背後に現れて聞いた事もない魔法を発動させる。多分、これを食らえば私は死ぬんだと思う。けど、そうはならない。


 私には【索敵】で敵の位置がわかっても、それを防ぐ為の防御手段も反撃する為の攻撃手段もない。()()()()()


 昨日、家に帰ってからルーちゃんと沢山練習して攻撃も防御も出来ない私が覚えた()()()()()()()()()()()。私の新しい力!


「ーー【反射】!」


「なっ!?」


 私がそう唱えると、私の周りに透明なドーム状の膜が張られる。


 騎士団長が放った魔法は、その膜に触れた途端に()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 そう、私が新しく覚えた【反射】は敵の攻撃を物理、魔法問わずに威力を増して跳ね返す魔法。


 攻撃も防御も出来なかった私が、化け物が剣を振り下ろそうとしたあの時。ただ死を覚悟するしかなかった無力な私から卒業する為に覚えた、攻撃と防御を両立した新しい力だ。


「ぎゃぁぁぁァァァァ!!!!」


 自分の放った魔法を至近距離で反射され、直撃した騎士団長がその身に黒いオーラを纏わせ苦しそうに叫びながら床を転がる。


 ……もし当たってたら、ああなってたんだ。正直、失敗する可能性もゼロじゃなかった。


 けど、私には最高の師匠で最強の魔王様が付いてるからね。失敗したってフォローしてくれる、そう信じてるから失敗を恐れずにやれたんだ。


「し、死ぬ……苦しい……た、助け……ゴホッ助けてくれ….…助けてくれたら金でも権力でも、ゴホッ何でも欲しい物をやる……だから助け……」


 苦しみながら地面を這いつくばり、私達に縋るように息絶え絶えの声で助けを求めて来る騎士団長に、ロッテは哀れみの視線を向けて呟く様に一言。


「….…何と醜い。これが自分を支配者と勘違いした愚者の末路ですか….…」


「全くにゃ。これだけの事をしてあんな自分勝手な事言っといて命乞いってプライドはないのかにゃあ」


「こんな、こんな奴に騎士団長は殺されたってのかよ……サラちゃん、ロッテ悪いがちょっと部屋から出てくれ」


 三者三様、今にも死にそうな騎士団長を哀れみ、ヴェインさんは静かに剣を抜くと助けを求める騎士団長に歩み寄る。


「……わかりました。サラさん、行きましょう」


「……ううん。ヴェインさん一人に任せたらダメだよ。……私がやったんだから、私が逃げちゃダメだと思う」


「……わかりました。ならば私も一緒に」


「うん。ありがとう」


 二人でヴェインさんに目配せすると、ヴェインさんは頷いて剣先を突き付ける。


「お、おい……何をする気だ……ゴホッゴホッ……私は騎士団長だぞ……私にそんな事をして許される訳がーー」


「これは敵討ちでもなんでもねえ。騎士道に則ってこのまま苦しんでではなく、せめて苦しまずに眠らせてやる。許しを乞うなら地獄でやれ」


「ま、待ーー」


 言葉を待たずヴェインさんは剣を振るい、その首を切断して命を絶った。


 実際に命を絶ったのはヴェインさんかもしれないけど、実質やったのは私だ。でも、やらなきゃ私が殺されてたから仕方ないよね……これに慣れたらダメだけど、やらなきゃ私や周りの人が危ないかもしれないんだから、やる時はやる覚悟をしないといけないんだ……


 亡骸となった騎士団長を見下ろしロッテはふぅ、と息を吐いて静かに言った。


「……終わりましたね。結局、どうやって【真実の瞳】を掻い潜ったのかはわかりませんでしたが」


「だが、もうこいつは死んだ。もうわからねえよ」


「……そうですね。これで騎士の方々もじきに元に戻るでしょうし私達も戻ーー」


「……っ!? 三人共、そいつから離れるにゃ! ーー【拒絶】!」


 踵を返したその時突如叫び、私達を守る様に魔法を発動させるルーちゃんの言葉から一秒にも満たない僅かな時間の後、私達を何処からか鋭い斬撃が襲った。……もしルーちゃんが防御魔法を発動しなかったら、私達は多分死んでたと思う。


「……っ!? 一体何処から!?」


「わからん! だが、とにかくそいつから離れろ!」


 私達がその事実を認識してすぐに窓際に移動すると、突如死んだはずの偽物の死体から黒い煙が噴き上がり、それは集まると人の形を形作って行く。


 だが、そこから出て来たのは人の形をしているが人ではない別の何かだった。肌は真っ黒で、頭には角が生えており背中には翼が生えている。これはまるでーー


「悪……魔……?」


 伝承に存在する世界に仇為す魔族として最も有名な存在。それが今、私達の前に姿を現した。

サラの手にした新しい力と真の敵の出現!

これから一章はクライマックスに向けて更に盛り上がって行きます!最高に熱い展開をお約束しますのでお楽しみに!


お読み頂きありがとうございます!


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それでは、次回の更新でまたお会いしましょう!

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