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魔法が使えないのでギルド職員をクビになりそうです〜わたしの師匠は魔王様にゃ!〜  作者: 椎名咲良
1章 落ちこぼれ少女が魔王の弟子になる話
21/52

21◆落ちこぼれ少女と帰還

本日2本目です!




「オマエ、ナンダ。シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」


 目の前に突如現れたルーちゃんーーいや魔王ルシファーの威圧感を振り切る様に再生し完全に知性を失い、まごう事なき化け物に堕ちた彼らは魔王の作り出した見えない壁を砕こうと腕に更に力を込める。


 しかし、その刃がこちらへ進む事は一ミリたりともなく壁に阻まれ続けていた。


 やがて突破出来ないと悟った化け物は後退り距離を取ったがそれを見て魔王は告げる。


「そこの娘がサラを、私の契約者を守ると言うから大人しくしていただけで本来ならお前如き三下、私の足元の塵にも及ばない。喜べ三下。今から私が直々に引導を渡してやる」


 周囲に満ちる肌をひりつかせる凄まじい威圧感。普段の柔らかな面影は見る影も無くそこにはただ、人知を超えた最強の存在ーー魔王がいた。


「【虚無】」


 そう一言告げると、目の前の何もない空間が開いて行き裂け目が出来る。


 【次元収納】とやっている事は同じだが、裂け目のサイズが違い過ぎる。次元収納が手を入れられるくらいのサイズなら此方はその数倍は大きい。


「私の契約者を殺そうとした罪は重い。貴様は何もない次元の狭間で永久に彷徨うがいい。さらばだ」


「グ、ガァァァァァァァァァァァァァ!!!」


 空間が開き切った次の瞬間、裂け目が意思を持ったかの様に化け物を喰らって行く。


 みるみるうちに裂け目は化け物を中に引きずり込んで行き、やがてその巨大な体躯全てを飲み尽くすとその裂け目は綺麗に消えて無くなった。


 ーー圧倒的。その一言に尽きる。これが魔王の、万能属性魔法の到達点……


「……サラさん。これは、どういう……それにこの猫ちゃんは一体……」


「えっと、えっとねロッテ……」


 目の前に突如現れ一撃で化け物を消し去った白猫に警戒し、困惑するロッテに何か言おうとするが言葉が出ない。


「サラ。今は脱出が先にゃ。騒ぎに気付いたのか、誰かこっちに向かって来てるにゃ。ちょっと我慢するにゃ」


「え……?」


「ーー【空間転移】」


 ルーちゃんがそう言った途端、辺りの景色がぐにゃりとねじ曲がり混ざり合っていく。何これ気持ち悪い……


 しばらくこの気持ち悪さに耐えていると辺りの景色が元に戻って行き収まった先はーー


「え……? わ、私の家……だよね? ここ」


 見知った空間。私の家のリビングだった。


「そうにゃ。【空間転移】で転移して来たにゃ」


「く、【空間転移】……!? 人類未達の魔法じゃありませんか……一体貴女、何者なんですの……?」


 警戒しながらルーちゃんに問いかけるロッテにルーちゃんは机に飛び乗ると、ふんっと顔を背けた。


「ーーサラを必ず守る。その約束を破ったお前に名乗る名はないにゃ。本来ならあの場に置き去りにしても良かった所を連れて来てやっただけ感謝するにゃ」


「っ……! それ、は……」


「ちょっとルーちゃん! そんな言い方ーー」


「サラは黙ってるにゃ」


 諫めようとした私にルーちゃんは聞く耳持たずにぴしゃりと言って続けた。


「娘。確かに人間にしては結構強いにゃ。創作魔法(オリジナルスペル)のアイデアもいい。光の屈折を使って攻撃の位置を誤認させたり最後に使った【固有結界】もいい出来にゃ。でも、それは所詮結構止まり。必ず守るなんて約束出来る力も無い癖に大言吐くんじゃないにゃ」


「……っ!」


 ルーちゃんの容赦ない言葉にロッテは悔しそうに唇を噛む。


 いくらなんでも言い過ぎだよルーちゃん! 私も黙ってられない!


「ちょっとルーちゃん! いい加減にーー」


「サラ。黙っていろと言ったはずにゃ」


「で、でもっ……!」


「いえ。いいんですサラさん」


 ルーちゃんに静止されてもまだ何か言おうとする私をロッテは止めると、深々と頭を下げた。


「ちょ、ちょっとロッテやめてよ! 早く頭上げて!」


「上げられません。サラさん、必ず守ると約束したのに危険な目に合わせてしまい本当に申し訳ありません」


「……娘。一つ宿題を出すにゃ」


 深々と私に頭を下げて謝罪してくるロッテを見て、ルーちゃんは何を思ったかいきなりそんな事を言い出した。


「宿題……?」


「お前はとある任務の最中、お前一人で勝てるかわからない強大な敵に遭遇したにゃ。一緒にいるのはお前に数段劣る人間が一人。この状況で二人が生き残る為の最適解は何か。明日までに答えを持ってくるにゃ。私の求める解答が出せたなら、お前を認めてやるにゃ」


「……わかりました。サラさんは本日はもうお休み下さい。私は支部長に報告と証拠を渡してから帰宅しますわ。今日は本当にごめんなさい。失礼しますわ」


「ロッテ……」


 私にもう一度頭を深々と下げるとロッテは私の家を後にした。


 扉が閉まったのを見届けてから私はルーちゃんに食ってかかる。


「ちょっとルーちゃん! どういうつもり!? あんな事言って宿題とか訳のわかんない事までなんなの!?」


「事実にゃ。ほらサラ、今日はもうお休みになったんだから魔法の勉強をするにゃ」


「魔法の勉強って……今そんな気分じゃ……」


「いいからやるにゃ。ほらさっさと行くにゃ! 【空間転移】」


「えっちょ、またあれ!?」


 先程体験した様にぐにゃりと周りの景色が歪んでいく。


 またあの気持ち悪いの我慢しなきゃならないの!? あれ本当に嫌いなんだけど!


 そうして私の姿は家から消えた。残ったのは魔王だけ。



「あの娘ならきっと答えを持ってくるにゃ。私に出来るのは()()()()()()()()()サラを鍛える事だけにゃ。あーあ。いい師匠も疲れるにゃあ。【空間転移】」


 その呟きは誰にも届かないまま家には静寂が戻った。

ここで一章は折り返し地点です。ここから盛り上がって行きます!次回はリーゼロッテ視点になります。


お読み頂きありがとうございます!


面白かったり、続きを読みたい!となったら画面下の☆から評価やブックマークして頂けると執筆のモチベーションになります!


それでは、次回の更新でまたお会いしましょう!

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