奇跡は何度だって
こんにちは
「とっ。オソラさん大丈夫かい?」
声小さく、叫びながら落ちて行くオソラの意思を聞いてしまった以上助けなくてはいけないと心が揺れ行動と出た。
少し驚いたオソラは、目を輝かせ期待を込めた表情で訴える。
「ベッドは?」
別に誰の物でもないが、そんなにもオソラに気持ち良くしたシュバビエ産のベッドが心地良かったのだろう。
彼女から期待や尊敬などの眼差しを受け取った。
私はそんな純粋無垢なオソラを放ったらかしにする男でもないし、スーゲーマンは白状でもない。
あらゆる苦難に立ち向かうのは、ヒーローとしての役目でもある。
この時!私に、のらりくらりと昇進もせずされど減給もせずに生きてきた生活の知恵の神が舞い降りて来た!
ただの思いつきと言って良いと思う。
「オソラさん聞いて欲しい!これから私達は魔王城へ行く。そう!城だ。
城には、色々な物が沢山あるだろう。これはチャンスだと私は思うのだよ。今こそ!魔王城へ素材採取に行こうぜ!」
「素材採取は好き。」
オソラを魔王城に行かせるという気持ちを高めただけで無く、俺達と一緒に手分けして探す事で効率も上がる事を考えればオソラとって申し分無いのは明白。
それと付け加えて、敵対していたユグも私とオソラが仲良しになれば必然的に仲良くなるのも私の脳内には計算の内だ。
「スゴウ様がそこまで言うなら私もそうします」
ほらね。
色々と何かあったけど、魔海はオソラの特殊スキル【みんな下僕】のお陰で難無く海はスルー出来た。
オソラ曰く、このスキルはオソラ自身が海に入る事で海洋生物(魔物を含む)をコントロールが出来るそうな。
……
「もうすぐで魔王城に付くぞ。
……ああ、もうアキラ達は着いているようだ。」
だが、あろうことか城の前にアキラとその他の御一向が私に背を向けて門前に目を向けて何やら緊迫した雰囲気である。
「ユグ!オソラ!飛ばすから手に捕まれ!!」
何か悪い雰囲気が漂っていると感じられた。
それはヒーローの直感ともいえよう。
各自で移動をしていたが、悠長な事は言ってられないので横を優雅に飛んでいたユグと海の魔物を使って、バケツ運びリレーのように海上を高速で移動させていたオソラの手を握る。
バヒュン!と音がなったと思ったら『あ。ちょっと』というオソラの棒読みな返事は、スーパー置き去りにしてしまい無かったことになる。
(急げ!……アキラさんのあの顔には絶対何かある!)
門前のアキラの表情には焦りな物を感じ、私はまあまあマジで飛ばす。
数十秒時間を戻して
「やっぱり陸地だと魔物はチョロイわね。」
「魔海に抜い比べるとね。」
「何よ!何か言いたそうじゃないの。」
アキラ以外は、戦闘でクタクタなのか所々に汚れが目立つ。それは戦いがあった証拠。
赤い竜のアキラが縦横無尽に動き回り、多数の魔物に喧嘩を売っては討伐するといった光景が残っているのであろう。
「別に……何も。」
「当然じゃない。誰も大きなケガも見当たらないしね。」
さも当然と言わんばかりに見渡すと、約一名重傷者が手をあげていた。
「私!私は、頬が腫れてます。」
誰かと思えばイウヤだった。
イウヤは、生まれたての仔ジカの様に立って生きているかのようだ。
「え!?危ない魔物は私が倒したのに!?」
「そうなのですが!イタタタ!!」
素直に驚くアキラの反応に反応したのは、隣にいたセロである。
セロはアキラに見せるように、イウヤの頬を捩って見せた。
「すいませんねウチの旦那が!アキラさんに使えるカナリアさんに『危ない!下がってて』とか言って四度も胸を押さえるとか……そういう奇跡は私が滅殺したくなるんです。
ただ、夫婦の殺しは重罪ですから頬をね……」
アキラは一呼吸し『そうか』と一声と話しを終わらした。
何気無いチームの会話をしていた時だった。
アキラは竜になっていた。竜は人以上に耳や気配には敏感な生物と言える。
そんなアキラが、オホホホと笑うセロを止めさせ前を向くように指示したのは初めてだ。
これは、ここまでの戦闘で各自各個撃破だったのに対して“アキラの指示”は皆に緊張の糸を張り巡らす。
「あれぇー?戦神のアキラさんとアキトさんではありませんか?」
魔王城の門から出て来たのは軍神のジンと参謀のアオシの二人だった。
今晩もよろしく




