今さら、魔王?エルフ?
こんばんは
だが、目の前にはそれらしい獣風の人は見当たら……イタ。
私は見つけたとは言って無いが、目で合図を取ると意外な程にイウヤは叫びはじめた。
「違う!この娘が獣人だよ。」
丁寧にも、指で差さずに両手の掌で相手を招き入れるホストのように『いらっしゃいませ御嬢様』と深々と無駄の無い動きをする。
それは、今までに見たことの無いくらいに洗礼され尽くした動きといえよう。
「そうなのか?私は獣人というのがあまり知らないが、名前からして動物の名前なんだろ。
……だったら、この角が曲がってクルンと一回転してモフモフな方は獣人だと思うのだが。」
「ハイその通りですスゴウ様。私は、羊のゴリモリと申します。」
羊だからゴリモリとは!?まぁ、マッチョだかはゴリでモリだよね。
「私で御決めになるのですね?では、簡単にゴリと呼んで下さい。」
結局、羊から遠ざかってんじゃん!
というか、なんかもうゴリモリさんが決定しているッポイ感半端ないのだがソコヘ待った!の声が鳴り響いた。
「スゴウ……お前は力が半端無いほど強いと言って無かったけ?だったら、力系をダブル必要は無いと思うのだ。
考えてもみてくれ、俺が相手を翻弄し引き付ける役目!セロは後方で援助と攻撃を少々だろ。」
『ホラ、今足りない箇所で言えばドコだろうか?』とイウヤは私を悟らせる。
「回復系の強化が必要かと。」
「それはユグさんでしょ??」
なんだろうか?真に的を得たユグの発言だと言うのに、何故かユグの発言は無かった事になった感じがした。
皆さん考えようよと促されるが誰も思い付かないことに痺れを切らしたのか、考えようと言い出しっぺが発言する。
「敵の引き付け役でしょ!?」
あー……成る程ね。という皆の反応を汲み取るに、未だこのメンバーで本格的に魔物退治をして無いので『そうだっけ?』という感じが蔓延しているッポイ。
「考えてみて!!」
お前はどっかの女子か劇団の人か?
「私はイウヤのことに賛同するよ。それに、未だ魔物の戦った経験が無いからね。」
(森を氷漬けにはしたけどね……これは、魔物と戦ったウチには入らないだろう。)
『よくぞ言った!誉めて使わすぞ後輩よ』と先輩が言うんだもん……頷くしかないよね。
そんな感じで、付き人を選択し終えると同時に食事が終わっていた。
私は直ぐに食べ終える事が出来たのだが、ユグは食べるのが遅く『一口三百回!』と言ってモグモグしている頃には、皆はもう各部屋へと散らばっていた。
「ハァ、お腹いっぱいです」
「残したら良いのでは?」
「ダメです!残したら天空様に怒られます!」
「誰それ?」
「御母様に教えてもらったんです!『食べ物を粗末にすると天空様から怖い雷が振るよ!』と言われてます!」
成る程。子供の時に使うアレか?と思い、可愛いユグを待つ。そして、朝を迎えた。
「おはようユグ」
隣には、勿論ユグが添い寝してくれている。
というか私も随分出世したものよ!女性と付き合った事が無いのに、こんな若く綺麗な方と添い寝なんてできようとは!
(まだ寝ているのかな?)
スッと腕を伸ばしユグの腰へと……
(?……ユグ、こんなに腰が小さかったかな?)
少なくとも胸はサラサラなのは知っているが、腰は大人の女性らしい形をしていたハズなのに!何故か今、スルスルゥと撫で回している腰は一回り小さい。
(!?)
突然!俺の手を掴み取る輩が出て来たかと思ったら
「スゴウさん!違う子のお尻ばっかり触らないでください!!」
そうだった!スーゲーマンは目を閉じてても、空気の振動と声の振動で目を閉じていようが相手の動きが分かるハズだったんだ……しまったぜ。
目を見開いた先には、いつぞやの俺のスーゲーマン超能力バリアに突進してきた海神のオソラだった。
「いや!ち、違うよ。」
心の中では、ユグのお尻を探してたなんて言えない。
「だって、今までこの子の腰を両手でコネくり回してたじゃないですか!」
「本当に違うんだ!信じて欲しい。」
『フン!御幸せに』とスタスタと歩いて行く後ろ姿を見せられては、私の女の知恵という知識は知らないのは当たり前のこと。
それでもユグに待って欲しいが為に、男心の恥ずかしさやエロさなんて脱ぎ捨てた俺が声を発していた。
そう!『ユグのお尻と違うかったから!』と伝えた。
「ふーん。私のお尻と違うと思ったから、あんなにも触ってたんだね。」
俺には聞こえる!『なっとくした』という聞こえない様な小声が。
「まあ、お隣さんも昨日は凄く喧しかったしね。」
うんそうだ。昨夜は『何が!母はエルフで父はジャガーの獣人のカナリアに決めたよ!?』とか『何が!君の美しい声が聞いて見たいよ!?』とか『エルフなのに、その目はチャームポイントだね……よ!?』とか『逃げるなぁ!!』とか。
あとは、地鳴りも聞こえてたな。
(イウヤ……心音確認っと。)
寝付けないから、寝起きもミスはあるとユグは言ってくれた。
ユグが食べ終える時間を待っている最中は、これからの当面の行き方を決める事にした。
因みにフード衆の半数以上が、獣人の血が入っているものだというから驚きだ。
というか、イウヤが選んだカナリアという人は見た目がほぼエルフだと言うのに、瞳の形は獲物を刈るかのような目をしていた。
それをイウヤは、いとも簡単に!一目で理解に至ったというのは、やはりイウヤは獣人大好きで一個の猛き武士なのだろう。
「だけど、荷物持ちが必要無いとは凄いよなアキトとアキラは。」
アキラの能力で、アイテムボックスという見えないボックスがあり、それはボックスには袋を詰められ、どんな大きさでも一つとして収集出来るそうな。
ただ、本人いわく『私!整理整頓とか無理なの』と言っていたからか知らないがアイテムボックスというのが五つしか無きみたいだ。
「特にアキトが凄いです。流石錬金術師です!全てのナイフなどの小道具とアイテムと素材を無限に収納出来るなんて!?」
『う、うん』と返事するのは、スゴウにとって本当に魔王とか素材とか……こういう異世界の必需品というのが全くもって理解してないのだ。
流石!普通で消極的なシニアだろう。
明日もよろしく




