001:秋葉原
少年が一人、シンと静まり返ったイベントスペースを歩いている。
広大な屋内スペースには有名企業のロゴマークを掲げた大型ブースが立ち並び、洗練されたデザインの家電品や電子機器が整然と陳列されている。 どうやら春の新商品にちなんだ催し物が開催されていたようだ。
ただ残念なことに、どれもひどく埃にまみれ、とても売り物になるとは思えない。 カビと埃の匂いが蔓延し、閑散としていると言うよりも放逐されたと表現した方が適切な空間だ。 見る者が見れば、電気製品の墓場にでも喩えたことだろう。
そんな中を歩いているのは、まだあどけなさを多分に残す、愛らしい顔立ちの少年。 体も華奢で線が細く、男子用の学生服を着ていなければショートヘアの似合う美少女に見えたかもしれない。
庇護欲を刺激される容姿に反し、その姿は傷だらけだ。
学生服は泥や砂にまみれ、所々が獣の爪で引き裂かれたように破れている。 事実裂傷は多く、頬の医療テープから滲む赤色も痛々しい。
「これで最後か」
広いフロアの端まで到達し、少年は誰にともなく呟きを漏らした。
変声期に入ったばかりの細い声には疲労の色が濃い。
目的となる液晶モニター前に張り付き、手にしたテスター機をコネクタに差し込む。 このイベントスペースにあるモニターをすべてチェックしてきただけあってその所作には淀みがない。
最後の希望となるモニターだが、少年はあまり期待をかけてはいなかった。
それもそのはず、手前のモニターは彼の目から見てもかなりの型落ち品だ。 画面が不透過な上に縁の幅がなんと二ミリもある。 こんなものがディスプレイされていることが少年には不思議でならない。
……そういえば、父が「秋葉原は過去と未来が交差する町だ」などと熱く語っていなかったか。 あれはこういう意味だったのだろうか? そんなニュアンスでもなかった気がするが。
ゲームとアニメをこよなく愛していた父の言葉は、いつもその真意が深い場所にあって理解することが難しい。
しばし思い出に耽っていると、小さい電子音に現実へと引き戻された。
手元のテスター機に灯ったランプは予想に反して全てグリーン。
少年は目を見開いた。 最新型のモニターはどれも通電すらしなかったのに、こんな骨董品がまだ動くとは思ってもみないことだ。
左目を覆うARグラスをスリープから復帰させ、二本の指を揃えてモニターをダブルタップ。 モニター自体は電源が入っていないので無反応だが、ARグラスはビルのサーバーから機器情報を受信し、少年の眼前に投影させる。
三割引きが赤文字で揺れる特別価格は当然無視。 解像度やスペックなどは軽く流してスクロールを続けると、純日本製が売りのメーカー名に辿り着く。
今後、まだ動く機器を探す時には参考にすべき情報だ。 ページ情報を保存する。
叫び声のような音が聞こえたのはその時だった。
少年は素早く身を伏せた。 まるで訓練されたかのような無駄のない動き。
息を潜めつつすぐ手前、ガラス向こうの屋外の様子をうかがう。
ここから見える広い道路は相も変わらず静寂そのもの。
いくつかの白骨死体と視線がぶつかるが、いい加減驚きもしない。
気になることと言えば、そろそろ西日がきついくらいか。
屋外に動きがないことを確認してから振り返る。
広いイベントスペースにも、もちろん動く影はない。
別電源なのだろう、非常灯と監視カメラのランプだけが目に留まった。 あの手合いはもう三百年は正常稼働を続ける気がする。
少年は呼吸を止めて聴覚に意識を集中し、何も聞こえないことを確認してから静かに息を吐き出した。
テスター機を手早くバックパックへと戻し、緊張感を維持したまま立ち上がる。
ARグラスの通話機能を起動し、静かに発声。
「ウィル、動くモニターが見つかった。 そっちはどう?」
一拍置いて答えを返すのは、聞き慣れた流暢な電子音声だ。
『屋上のソーラーパネルは十全に稼働中で、電力は充分でした。 サーバーも生きています。 一階フロアの電源が落ちているのは誰かの故意のようですね』
「……想像はつくよ」
出入り口の自動ドア前、重なるように倒れ伏していた人骨の山を思い出して、苦い言葉が漏れる。
『では、電源を戻します』
「ちょっと待って。 同時に宣伝用の映像やら音楽やらが流れ出したりしないよね?」
少年は慌てて口を挟んだ。
上野のゲームショップで死にかけたのはつい三日前のことだ。
『今度は大丈夫、モニター類だけ通電します。 それとローカルクロックが乱れてデータの整合性はおかしくなると思いますから、タイトルはそちらで探してください』
少年が「わかった」と返す前に、骨董品たる8Kモニターはその画面を静かに点灯した。
『ようこそ【アキハバラ・ペンタゴン】へ。 ゆっくりしていってね!』の丸文字が躍り、次いでいくつものパネルが浮かび上がる。
ブース案内や商品の宣伝広告に続き、アクセスの多い人気ゲームが幅を利かせるごちゃごちゃした画面だ。 確かにサーバーにあるデータを片っ端から引っ張っているようで、内容にまとまりがない。
念のため、いくつかのアプリやゲームのパネルをタップしてみたが、どれも『サーバーへの接続に失敗しました』といった簡素なメッセージが流れるだけだった。 早々に見切りをつける。
無数あるパネルを繰り返しスライドし、ようやく目的のパネルを発見。
【オーバード・ノア】
『スタートダッシュキャンペーン開催中!』
「あった……!」
宝物を見つけたような声が漏れた。
スタートダッシュキャンペーン――遠い昔に終了しているはずのイベント表示は、日本橋のサーバーにあるVer.1.00のクライアントと正しく同期されているという証左だ。 同時に地域限定クエストも、リリーススケジュール通りに稼働していることが証明された。
少年は硬い唾を飲み込んでから【オーバード・ノア】のパネルをタップした。
一瞬だけ『ゲームサーバーからデータをロード中』というメッセージが表示された後、すぐにパネルが拡大、全画面表示になる。
美麗な装飾のタイトルがアニメーションしながら出現し、荘厳なBGMがプレイヤーを迎えた。
気に入っている音楽だが、ここでじっくりと鑑賞するのは自殺行為だ。 即座にモニター側のボリュームを落とし、サウンド出力はARグラスへ転送する。
続けて『期間限定 討伐イベント開催中!』の通知をタップ。 開催中イベントの概要テキストにしっかりと目を通す。
本来であれば多くのユーザーがこぞって攻略情報をSNSに投稿していたはずだが、今や彼以外にこのゲームをプレイする人間は地球上に存在しない。 公式の告知だけが頼りだ。
そこで再び、獣のような咆哮。
今度ははっきりと耳にした。
姿こそ見えないが、さっきよりも近い。 声に厚みがあるので恐らくは猿の方だろう。 聞き分けがつく程度には付き合いが長くなったらしい。
「急ごう」
自身に言い聞かせるように言ってから、モニター手前、雪のように積もった埃を払う。 キャンペーン残り時間はあとわずか。 ことここに至っては、隠れてやり過ごしている場合ではない。
空いたスペースに両手をかざすとARグラスがその動きをつぶさに検出、仮想キーボードを投影する。 今時古風なキーボード式のインターフェイスにも慣れたものだ。
少年は仮想のエンターキーを押下し、キャラクター選択画面へ進む。 生体認証は済ませているので手元でのログイン処理は必要ない。
『ようこそ、佐倉 歩結 さん。 使用するキャラクターを選んでください』
プライバシー保護のため、実名はARグラス側にのみ表示されている。
モニターには、ここ二週間必死になって育成した「剣士:sakura」の2Dキャラクターが自信ありげに剣を振り回す雄姿が映し出される。
そろそろ愛着の湧いてきたキャラクターだが、解像度だけが致命的なまでに低かった。 クオリティの高い3Dマップとは対照的だ。
これは『ドット絵』と呼ばれる特殊な演出であると、以前父から聞いていた。 もしこの話を聞いていなければ、ゲームの不具合と思っていたことだろう。
キャラクターを選択。 見慣れた首都の町に剣士が降り立つ。
広い中央通りは完全に無人だ。 チープな見下ろし視点にはすっかり慣れたが、この町の寒々しさにはなかなか慣れることが出来ずにいる。
イベント専用キャラが出現しているという南門へと進む最中、歩結はステータスを確認しておくことにした。
名前:sakura
種族:ヒューマン(男性)
職業:剣士
レベル:17
ステータスポイントはチュートリアルで推奨された通り、筋力と体力を中心に割り振ってある。 振り残しはない。
装備はある程度強化された初期装備の両手剣にブロンズアーマーセット。 全て修理済みだ。
回復ポーションは今のレベルで使用できる種類を限界まで積んでおり、万全の態勢であると言えた。
町の南端に到達すると、見慣れないNPCが看板を掲げて立っているのを発見。 接近して話しかける。
するとドット絵のキャラクターからは想像できないような、可愛らしいメイド風キャラクターが前面に表示され、テキスト表示と共に音声を発した。
『たたたっ、大変です冒険者さん! たった今、西のユニオン支部から連絡がありまして――』
あたふたした様子でLiveアニメーションするメイドさんは、ツインテールを振り乱しながら西支部の惨状を訴えてくる。
彼女が言うには、大量のゴブリンが突如として西支部の砦を襲撃。 被害は今も広がっていると言う。
繊細な表情の変化と感情の篭った声優の演技に、歩結はこんな状況にもかかわらずRPGの世界観に引き込まれそうになる。
涙ながらに支援を求めるメイドさんの依頼を即時に承諾。 受注したクエストの案内に従って西門へ向かう。
西門にはイベント専用であろうポータルが新たに出現していた。
手前には兵士らしきNPCが立っており、回復アイテムを破格で販売しているようだったが、これ以上は重量オーバーなので断念する。
ポータルに乗ってワープすると、そこは壁がボロボロに破壊された砦の内部だった。
BGMが緊張感のある曲調のものに変化する。
画面が切り替わり、ゴブリンのこん棒攻撃によって兵士が吹き飛ばされるカットシーンの再生が終わると、すぐに戦闘状態に入った。
この時点で歩結はすっかりゲームの世界に引き込まれ、ぐっと肩に力を入れて「剣士:sakura」を戦地へと突撃させた。
ゴブリンたちは「!」のマークを頭上に点灯させると、すぐに襲い掛かってきた。
歩結は手始めとばかりに最初のゴブリンに“強打”のスキルを叩き込む。
大上段からの一撃をまともに食らい、ゴブリンが大きくノックバック。 短い悲鳴を上げて消滅する。
獲得された経験値は通常の三倍。
その数値を確認して、歩結の鼓動が高鳴った。
父が時折使っていた「オイシイ」という言葉の意味を今になって理解する。
勢いのままに歩結は無双した。
HPとスキルのクールタイムに注意を払いながら、縦横無尽に暴れ回る。
やがて個別に撃破していたのでは効率が悪いことに気づき、アクティブになったゴブリンをある程度引き集め、範囲攻撃で一気に殲滅するテクニックも駆使し始めた。
順調そのものの一方的な狩りだったが、十分もしない内に歩結の表情に焦りの色が見え始める。
このイベントは時間内になるべく多くのゴブリンを倒すことが目標だが、イベントの真の目玉は別にある。
稀にポップするゴブリンキングの討伐だ。
彼の狙いも――正確には異なるが――もちろんゴブリンキングである。
歩結は躍起になってゴブリンキングを探した。
限定マップはそれほど広くない。 すでに形状は把握できている。
端から端まで確認したが、まだポップしていない。
レベルは既に19まで上がっているが、ステータス更新もそっちのけでひたすらゴブリンを狩り続ける。
発見。
ゴブリンキングはいつの間にかマップ西端に姿を現していた。
普通のゴブリンより一回り大きく、筋骨隆々で金色の王冠を被っている。
取り巻きゴブリンを大量に引き連れ、「ガァッガァッ!」と唸り声を上げて周囲を威嚇してる姿は、いかにもボスといった風情。
歩結はその威容に接近を躊躇った。
ゲーム内でボスキャラクターを見るのはこれが初めてのこと。
取り巻き自体の強さも普通のゴブリンと同程度なのか、不安がある。
逡巡している間に、ゴブリンキングが頭上に「!」を表示。
ターゲットされたと思った時には、取り巻きなど比較にならない速度でゴブリンキングが猛進。 すぐ目の前にまで迫っていた。
初手は巨大こん棒の大振り攻撃。
予備動作は大きかったが、予想外の速度に驚いたことで操作をしくじった。
ドガッと痛々しいSEと共に、画面全体が揺れる演出。
苛烈な攻撃をまともに受けて冷や汗をかいたが、減少したHPは1/4程度だ。
気絶に陥るも、連続で攻撃はしてこない。 十分に戦える。
歩結は油断を反省しつつ、まずはキングの攻撃を避けながら範囲攻撃で取り巻きを殲滅した。 取り巻きは通常のゴブリンよりもHPが低い。
孤立したキングをマップ端まで誘導し、一対一の状況を作り出して丁寧にダメージを与えていく。
キングはHP減少によって行動パターンを変え、攻撃速度まで上がった時は驚きもしたが、モーション自体に変化がなかったこともあって危なげなく対応することが出来た。
ゴブリンキングのHPバーはみるみる減少していく。
順調だ。
もう少し。
あと一撃。
歩結は手に汗を握る思いでキングの攻撃を避け、隙を突いて強打のスキルに手をかけた。
その時。
「ガァアアアァアアアアッ!!」
鼓膜をつんざくような咆哮に全身が竦み上がった。
画面の向こう。
巨人のような影が西日を遮っていることに、今の今まで気付かなかった。
頭が一瞬真っ白になる。
ゲームの中からゴブリンキングが現れたのだと、バカな妄想に捕らわれた。
事実、そいつは巨大なこん棒を悠然と構え、叩き付けるようなモーションまでがゲームとそっくりで――。
バァンッ!!
強化ガラスが爆発するように粉砕。
鋭い破片が雨のように降り注ぐ。
だが歩結は素早く横っ飛びに身を投げ出していた。
大振りのモーションを警戒していたお陰だ。
『歩結っ、逃げてください!』
ウィルの声がボリューム最大で鼓膜を揺らし、歩結はようやく我に返る。
よくよく見れば、振り下ろされたのはこん棒ではない。
錆びついた棒の先端には「止まれ」の標識文字が辛うじて読み取れた。
それを振るう巨体も、もちろんゴブリンキングであろうはずがない。
何度も目にして襲われた、猿の異形個体だ。
だが、こんな巨大な異形種を目にしたのは今回が初めてのこと。
成人男性を優に超える身の丈の猿は、獲物の発見に爛々と目を輝かせ、黄色い牙を剥き出しにして、再び吼えた。
歩結は転げるように逃走した。
悲鳴を上げる暇もない。
すぐに追いかけてくるかと思われた大猿は、しかしその場で標識棒を大きく振り上げ、横薙ぎに払う。
ガンッ、と腹に響く音を引き連れ、古びた8Kのモニターはテーブルもろとも吹き抜けの二階フロアへ姿を消した。 MVPのファンファーレがよほど耳に触ったのかもしれない。
「ウィルっ、ウィルっ!」
『四階フロアへ。 到着後は左に走ってください』
合成音声が冷静な声で逃走経路を指示する。
歩結は企業ブースの間を縫うようにして走った。
異形の猿は威嚇の咆哮を上げながら、春の新商品を無造作に蹴散らしながら追い縋る。
すばしっこい獲物に業を煮やしたのだろう、猿は手にした標識を投げつけてきた。
『伏せてください』
AIの声に盲目的に従い、ヘッドスライディングの要領で身を投げ出す。
「止まれ」の標識が頭を掠め、その先にあった100インチの展示モニターをあっさりと貫いた。
巨大モニターは破壊された恨みをぶちまけるかのように、派手なスパークを撒き散らした。
周囲に堆積した埃は良質な火種となり、一部の展示品が瞬く間に燃え上がる。 この事態には異形の猿も忌々しげな叫びと共に足を止めた。
この隙に歩結は非常階段まで到達。 素早く立ち上がって錆び付いたドアを閉ざした。
閉じたドアの向こうでけたたましい警報ベルを聞く。 世界から人が消え去っても、火災報知器は健気にその使命を果たすつもりらしい。
歩結は油断せずに塗装の禿げた階段を駆け上がった。 奴らのしつこさは身をもって知っている。
踊り場まで来た所でゴゥンッ! と強烈な打撃音。
一拍の後には更に大きい破壊音。 階段ドアは反対側まで吹っ飛んだ。
犠牲となったドアの勇士を見届けず、歩結は足腰に渾身の力を込めて非常階段を駆け上がる。
四階。
画廊展示フロア。
ARグラスが律儀に「閲覧有料」の警告を発するが無視して飛び込み、弾かれるように左へ曲がって真っ直ぐに走る。
ほとんど間を置かず、背後でドアの破壊音。
ビル全体を揺るがすような重厚な足音が迫る。
すぐに追いつかれる。
もう、すぐ後ろ。
息遣いまでが聞こえる距離。
殺される。
食われる。
『前方五メートル。 支払いを』
入場料を確認するのも忘れてポップアップされた「支払い確認」を、本指でタップ。
入場ゲートを通過。
ほぼ同時、背後で交通事故のような衝突音。
『警告。 パスを確認できません』
やや威圧的な電子音声は天井から聞こえた。
異形の猿は怯む様子も見せず画廊入口のセキュリティゲートに拳を振るう。
『警告無視、並びに器物損壊により通報します』
ゲート左右から銃器のような機器が出現し、猿へ向かって発砲した。
パシュッパシュッ、といった乾いた音は、防犯用の蛍光塗料だ。
ほとんど気化して僅かに飛沫が飛ぶ程度の塗料だったが、異形の猿には効果があった。
チーズが腐ったような強烈な悪臭は、鼻の利く動物にとってはよほど我慢ならなかったらしい。 ギャアギャアと激しく啼き喚き、猿は頭を振り乱しながら逃げ去って行った。
「……たす、かった」
歩結は、その場に崩れるように倒れ込んだ。
どっと汗が噴き出してくる。
「そうでもありませんよ」
すぐ傍らから聞こえた合成音声に目を向ける。
ウィルだ。
自立行動型のボディは大型のウサギほどのサイズ。 耳のように展開したマニピュレーターが本物のウサギ耳のようにピコピコ動いている。
ウィルは表情を表すデジタルディスプレイを歩結に向け、困ったような顔文字を表示した。
「この画廊、入場料だけで二千円です」
「……うそ……」
歩結は、茫然自失したように、がっくりと首を落とした。
二千円。
ゴブリンキングの撃破によって得られる『レコード』のポイントと同額だ。
――西暦二五七七年。
人類滅亡より三百年が過ぎた世界にあって、お金を稼ぐことは容易ではない。