寂しかった道化
その少年は、街の大通りの真ん中を歩いていた。
「はぁ、今日もまた学校から家に帰るのか……」
と少年は、小声で呟いた。
(誕生日だけど、両親は家に居ないんだろうな……)
この少年は、裕福な家庭に育ったが。両親は、ほとんど家に居ることがなく、少年はメイド達に、育てられた。
(両親に、会いたいが仕事の邪魔を、したくないから会うことも出来ない……)
そんなことを、考えていると……。
「もう、家の前まで着いたか……」
少年が、悲しそうに呟き家に入ると……。
「「「お帰りなさいませ、坊ちゃん」」」
とメイド達が言った……。
そして、仕事で忙しい両親が…。
「「お帰りなさい、そして誕生日おめでとう」」
と言った後に、少年に抱きついた。
「お父様、お母様、どうして家に?」
と言うと。
「最初に言っただろう、お前の誕生日を祝う為に仕事を、早く終わらせて帰ってきたんだよ」
とお父様が言い。
「今まで、誕生日に帰って来れなくて…、ごめんなさい」
お母様が少し泣きながら言った。
「お母様、今までの誕生日は確かに寂しかったけど、メイド達や料理人達のおかげで、とても楽しいものでした。」
と言い。
「そして、今日はお父様とお母様がいる、もっと素晴らしい誕生日になります」
と言った。
そうして、両親にもう一度抱きつき。
「ただいま帰りました。お父様、お母様。」
と満面の笑みで言った。