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昔書いたやつ

UFOとドクロの箱

作者: 粟家 大三治

ここのところ

稲の苗の手入れなどをしている。

変わらぬ作業をこなしながら

過ごす日々の中で

少しずつ育ってゆく稲だけが

私に時間の流れを告げてくれる。


ある日、

苗に水をやり終え、

一休みするかな、

ってことで

台所で麦茶を注いだ瞬間に

玄関のベルが鳴った。


出てみたら

困った顔の宇宙人がいた。

銀色だった。


「我々はミステリーサークルを作りに

 地球にきたんだけどもね、

 ちょっと時期が早すぎまして。

 暇つぶしにと観光であちこち見て回って

 さて帰るか、という段になって

 UFOがガス欠になっちまったことに

 気付きましてねー。

 もしアレでしたら

 この星で言う

 米の研ぎ汁をいただけませんこと?

 そしたら帰れるんで。」

悲痛な面持ちで

そういう宇宙人。

顔の割にはフランクな口調だ。

こういう違和感って

文化の違いによるものだろうか。


いいよと言うと

ただでさえ銀色に輝く顔が

ぱあっと明るくなり

「ありがとう!

 お礼といってはなんですがね、

 お宅の稲が実った暁には

 極上のサークルを

 作らさせていただきますんで!」


いや、そんなことされたら逆に困る。

倒れた稲があると

コンバインで刈り取るときに

変にひっかかったり

踏んだりするでしょうが。

面倒だわもったいないわで

踏んだり蹴ったり、

いやむしろ

踏まれたり蹴られたりだから

勘弁してほしい。

ただでさえ減反で今年も

米の作付面積が少ないんだからさ。

それにサークルを作るぞ予告をされたら

ちっともサークルに

ミステリー性がないではないか。


申し出を丁重にお断わりすると、

宇宙人は意外にあっさり引き下がり、

米を研ぎおわるのを待っていた。

途中、鼻歌を歌っていたりもしたようだが、

それにはすぐ飽きたらしい。



私が

別に研ぐ必要もない米をとぎ、

研ぎ汁を

ヴォルビックの空きボトルにつめて渡すと、

宇宙人は

「やっぱり何かお礼を」

と言って

私に無理矢理変な箱を渡すや否や

そそくさと

UFOに乗り込み、

南東の空に消えていった。


と思ったら

南西の空からまた現われ、

今度は北西の方に消えた。

道を間違ったらしい。


台所に戻ると

麦茶のグラスは

たっぷり汗をかき、

中の麦茶は

すっかりぬるくなっていた。


私は、去り際に渡された

箱を眺める。

何が入っているのだろう。



変な箱には

ドクロの絵がついているので

なんとなく

あけられずにいる私だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作品として素晴らしいの一言です。  物凄くリアリティーのあるSF作品ですね! うーん。旅人が、おにぎり一つ恵んで下さい、みたいな展開が笑えました。減反とかリアル! 他の作品も読んで行きたい…
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