ドレン王国の危機 魔物の集団に備えて 2
どうやらこの扉の向こうに国王がいるらしい。
宮廷魔法使いは、国王に許可を取って来ると言って入って行った。
「フェリス、入るわよ」
「ネフィルさんは、まだ出て来てはいませんが…」
「私たちが宮廷魔法使いの指示に従う理由はないわ。
さっさと国王に話して、帰りましょう」
私たちの会話を聞いていた騎士の二人が、慌てて止めてくる。
うるさいわね。何をしたって私の勝手でしょうに。
騎士の事は無視して、目の前の扉を開ける。
バンッ!とやたらと大きい音が響いた。
中にいた人間の目がすぐにこっちに向く。
「お嬢様!困ります!
今、陛下にお話ししていた所なんですよ?」
「よい」
宮廷魔法使いが私に何か言ってきてるけど、気にしない。
国王が宮廷魔法使いの口を閉じてくれたしね。
「城の主は余に用があるであろう?」
「そこにいる、宮廷魔法使いから魔物の話は聞いたわ。
国王には竜王の時に馬車を寄越して貰ったから、
今回その貸しを返してあげる」
「と言うことは、協力してくれるということか!!」
国王が思わずといったように立ち上がった。
部屋にいる他の人間も驚いていた。
「良かった。魔族の一人でもいてくれれば、
こちらとしては、とても心強い」
「勘違いしないでくれる?
協力するのは、私。
フェリスとヒルクは私の家を守ってもらうわ」
私の言葉を聞いたときの国王の反応は、凄く笑える。
口をパッカリ開けて、目も大きく見開いてる。
「魔族ではなく、貴女だというのか?」
「だから、そう言ってるじゃない。
いい?一回しか言わないから…。
魔物がやって来るのは、紅月の日の午後1時。
国王は、全戦力で紅月の祝い日まで持ち堪えなさい。
そこまで持ち堪えたら、そこからは私が一気に殲滅してあげる。
出来るわよね?」
今度は驚いたのは国王だけではなかった。
宮廷魔法使いが信じられない、と言って訊いてくる。
「お嬢様!戦えるのですか?」
「とても失礼な質問をするのね。
残念だけど、私は戦えるわけじゃないし。
魔法を使えるわけでもないの」
「では、どうやって…?」
今度は国王が訊いてくる。
「それは、秘密に決まってるじゃない。
まあ、紅月の祝い日までのお楽しみね。
でも、必ず殲滅してあげるから、そこだけは信用していいわ」
「本当に、紅月の祝い日まで持ち堪えればいいんだな?」
「ええ、そう言っているでしょう?」
「ならば、信じよう」
国王の周りにいる人間たちが、本当ですか!?
と国王に訊いてくる。
まあ、その人たちからすれば、私は得体の知れない小娘だものね。
「考え直してください!国王陛下!
このような輩の事をそう簡単に信じるなど…」
「だが、他国は我が国には騎士を送らないと断られたのだぞ?
もしも、城の主が殲滅してくれると言っておるのなら、
信じる信じないにしても、協力を頼むべきであろう。
正直言って、我々だけでは限界があるのは、お前たちも分かっているだろう?」
国王の問いかけに誰も答えられずにいた。
「そういうわけだ。頼む」
「分かったわ。
魔物が襲撃して来た時に、
この城で一番その光景が良く見える場所はどこ?」
国王はしばらく考えた後答えた。
「それならば、願いの塔が一番高い。どうだろうか?」
「まあ、見られればいいわ。
そこに寝る場所はある?」
「ああ、最上階は小さな部屋になっている。
そこにベッドがあったはずだが……」
「確かにあります」
よし、いい感じね。
紅月の祝い日が楽しみだわ。
「なら、そこにしましょう。
レイーヌと紅月の日から当日まで、そこで寝泊まりするから…。
フェリスとヒルクは聞いていた通り、私の家を守って。
帰って来た時に傷の一つでもついていたら、
許さないから…」
「はい。お任せください」
フェリスは丁寧な礼で返し、ヒルクは頷いて返した。
「国王、これはあなたの為じゃないから。
馬車の貸しを返すのと、
レイーヌがそこにいる宮廷魔法使いを助けたいって言ったから。
フェリス、帰るわよ」
「はい」
私たちはワープで家まで帰って来た。
フェリスに頼みごとをしてから、私はベッドで寝た。
少し少ないですが、区切りが良かったんです…。




