ドレン王国の危機 魔物の集団に備えて
「じゃあ、二人はどうしたい?」
私はフェリスとヒルクに訊いてみた。
「僕は、お嬢様に従います。
城を守れと仰るのなら、守ります。
ドレン王国共々守れと仰るのなら、
僕はこの命に変えても守り抜きます」
命まで掛けられても困るんだけど…。
「俺は、レイーヌがネフィルを助けたいと言っていますし、
俺も、友に死んでほしくはない」
「そう」
ヒルクは予想通りの答えを返して来たわね。
フェリスは、私に従うけど、ヒルクは助けたいと思っている。
もちろん私がダメって言えば、多分従うんでしょうけど…。
はぁ…。何でトラブルをこっちに持って来たのかしら?
「あの…。お嬢様。
もし、フェリスさんやヒルクの力を貸して頂いけるのならば、
紅月の祝い日に、我が国で開催されるパーティーに出られるよう、
国王陛下にお願いしてみます!」
「はあ?パーティーなんて興味はないわよ。
パーティーに出るくらいなら、私はベッドで寝てるわ」
呆れた。そんなことの為に、フェリスやヒルクに頼むわけないじゃない。
追い出そうかしら?
「ですが!紅月の日にやってくる魔物共を
倒したとなれば、次の日に行われるパーティーは、
今までのパーティーよりも、豪華になるはずです!
美味しいお菓子だって沢山出ますよ!」
宮廷魔法使いが必死に言ってるけど、
そんなものに魅力を感じないわ。
「待って。紅月の日?」
「はい!」
今まで全然反応していなかった私が、反応したからか。
俯いていた宮廷魔法使いが、顔を上げた。
「魔物は紅月の日にやって来るの?」
「はい、今の進行スピードで計算してみますと、
丁度紅月の日の午後に、ドレン王国に到達するとの事です」
「詳しく話してくれる?」
私がそう言ったことで、受けてくれる気になったと思ったのか、
宮廷魔法使いは嬉しそうに頷いて答えた。
「はい!」
宮廷魔法使いから、詳しい話を聞いた。
魔物が紅月の日に来る、他に、
時間は午後1時頃の予定、
詳しい数は分からないが、大きく見積もって3万近くになる、
当日までに国民は城に避難し、
魔物は、丁度国の入り口の所に攻めてくる進路の為、ドレン王国の殆どの兵が、国の入り口を固める、
国の入り口から魔物に向かって突撃し、兵はひたすら魔物の殲滅に当たる。
「何か、質問はありますか?」
「国の使える兵は何人?」
「使えるですか?
それは、実践で使えるという意味でしょうか?」
「そうよ」
宮廷魔法使いは、う~んと考えた後、答えを出した。
「そうですね。5千でしょうか?」
「ふっ、話にならないわね」
思わず鼻で笑ってしまったわ。
「なっ!これでも他国に比べれば、多い方なんです!
それに、今陛下が他国にお願いして、兵を借りるように頼んでいますし、
ギルドの冒険者たちにも応援を頼んでいるんです!」
「まあ、その5千人全員がフェリスのように強いなら、
話は別だけど?」
宮廷魔法使いは悔しそうな顔をした。
すぐ傍にいた騎士の二人も同じような顔をしている。
まあ、そうそうフェリスみたいな、強い奴なんていないわよね。
「で、話を戻すけど、その5千でどれだけ数を削ることが出来る?」
「恐らく1万近くです。今回は魔物のランクが高いので…」
3分の1か。
一匹一匹のランクが高いと言っても、この量しか削ることが出来ないなんて…。
「じゃあ、紅月の祝い日までには、何匹国の方に来る?」
「紅月の祝い日までに、ですか?
そうですね。1万5千程でしょうか?」
「そう。分かったわ」
まあ、国王に貸しを作るのもいいか。
「国王に会いたいわ。
今すぐ行くから、さあ立って」
この場にいる全員に立つように言う。
レイーヌはとっても嬉しそうだった。
「お嬢様、丁度馬車を城の前に止めてあります!」
「馬車何て乗るわけないじゃない…。フェリス」
「はい、畏まりました」
フェリスに抱えられ、フェリスは一言言葉を発した。
「ワープ」
一瞬で視界が変わり、豪華すぎるぐらいの建物の中にいた。
近くに騎士がおり、手に持っていた槍を私に突きつけてきた。
その様子に口を開こうとした宮廷魔法使いよりも先に、
フェリスが手を出した。
「おや、僕のお嬢様に刃物を向けないでください。
もし、お嬢様の綺麗なお肌に傷でもついたら、
どうするんですか?」
顔は笑っているが、目が笑っていなかった。
フェリスは片手で槍を掴むと、へし折った。
まるで棒状のお菓子を折ったみたいにポキッと簡単に。
「ひっい!」
兵士は、そのことに驚いて、折れた持ち手だけしかない槍を手放した。
「はぁ…。フェリスさん。
ここは王城ですので、力で解決しようとなさらないでください。
下手すれば、お嬢様の立場が危うくなってしまいます」
「!!すみません、お嬢様、僕はなんてことを…」
すぐにフェリスがすまなそうなな顔をした。
「いいわ、気にしないで。
そもそも、何で私たちがそちらに従わなければならないのか。
だって、この国とは無関係なのよ?
私たちの勝手でいいと思うのだけれど…」
宮廷魔法使いを見ると、驚いた顔をしていた。
「そんな……」
「ってことで、国王のとこに案内してくれる?」
その一言でもう無駄だと感じたのか。
宮廷魔法使いは、騎士の二人と共に城内を歩き出した。
その後に私たちはついて行く。
城内にいる騎士や従者の人たちは、私たちを興味津々な目で見てくる。
この城は居心地が悪いわね。




