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初めての街 終わり  紅月の祝い日‎

「お嬢様!」


フェリスの所に戻ると、会計を済ませていたフェリスが

私に気が付いた。


「買い終わっていたのね」


「はい、つい先ほど…。

そういえば、レイーヌさんとヒルクさんの姿が見えませんが

見つからなかったのですか?」


「まあ、見つけたけど、

今は近づかない方がいいわよ」


なにせ二人はいまいい雰囲気だから。

フェリスは分かっていないようで、

首を傾げている。


「もう、夕日が見えるわね」


「そうですね。

レイーヌさんとヒルクさんに合流したら、帰りましょう。

お嬢様もお疲れになったでしょう」


「そうね」


もう少し店内を見て周ってから

二人と合流することにした。

店内を見て周っても、特に新しく欲しいと思う物はなかった。


「レイーヌ、ヒルク」


「お嬢様!」


二人に声を掛けると、レイーヌが駆け寄ってきた。

ヒルクはレイーヌの後ろから大荷物を抱えてやってきた。


「随分と買うのね」


「はい!どれも必要な物ばかりです!」


二人のあの遣り取りを見た後では、

本当なのか疑わしい。


「まあ、いいけど。

早く払ってきて、今なら多分混んでないわ。

こっちは会計済んでるから」


「はい!ヒルク、行きましょう」


レイーヌはヒルクとレジへ向かった。

その姿を見届けた後、私とフェリスは店の外に出た。


「眠いわ、フェリス」


少し見上げてフェリスの顔を見た。

フェリスは私に微笑んで話した。


「このまま寝て頂いて、大丈夫です。

ちゃんとお嬢様をベッドまでお運び致しますから」


「そう…。

レイーヌとヒルクに伝えといて…。

今日は、楽しかった、また、行ってもいい、って」


だんだん瞼が落ちてくる。

もう少しで眠れそう。


「はい、分かりました。

おやすみなさいませ、お嬢様」


一瞬のうちに眠ってしまったお嬢様を

抱き抱えながらレイーヌ達を待つフェリス。


しばらくすると、会計を済ませた二人が

フェリスに向かって来た。


「フェリス!」


「レイーヌさん。お静かに。

お嬢様が起きてしまわれます」


あっ、と慌てて両手で口を押さえるレイーヌ。

レイーヌは小声で話始めた。


「お嬢様、お疲れになられたのね」


「はい、おそらくこんなに動いたのは

久しぶりだったでしょう」


「まあ、いつもベッドにいるような方だからな」


三人は嬉しそうな顔をして、お嬢様を見つめていた。


「さあ、帰りましょうか」


「ええ!」


四人はすっかり茜色に染まった街から

自分達の家へと帰って行ったのだった。


だが、誰も知らなかった。

こんなに平和な街があんな事態になるとは……。






街に行ってから何ヵ月か経った。

そういえば、この世界に来てから

何ヵ月が経ったんだろう、と考えたところで

この世界の一年が、何ヵ月で。

一ヶ月が何日で。

一日が何時間なのか、私は知らないことに気が付いた。

普段寝ているばかりというのも、あるんだろうけど……。


気がつくの遅すぎたわね。

後何ヵ月で一年か分からなきゃ、

神から貰ったスキルがいつ使えるのか、

分からないじゃない……。


「フェリス!」


「はい」


私が呼ぶと、すぐにフェリスはやって来た。

今まで家の中の掃除をしていたみたいで、

手にはほうきが握られている。


「フェリス、今日で私がこの世界に来てから

何ヵ月が経ったの?」


「そうですね。もうすぐ一年が経つのではないでしょうか?」


一年……。そんなに経ってたのね。

長かったような、短かったような。


「確か、お嬢様がこの世界にやって来られた日は

紅月(こうづき)の祝い日と言われ、

人間が祭りをする日だったと思います」


「紅月?」


紅月なんて聞いたことないわね。

異世界特有の物なのかしら?


「実は紅月の祝い日の前日は年に一度、

月が真っ赤な紅に染まる日なのです。


人はそれを恐れていましたが、いつしか恐れるよりも

縁起の良い物として見るようになりました。


ですから、月が紅に染まる日は、月に感謝し。

その次の日には、祭りをする日なのだとか……」


月が赤くなるなんて、不思議ね。こっちの月は…。

でも、つまり月が紅に染まった次の日が

私の誕生日ということね。


「よくフェリスは知ってたわね」


「ええ、たまたまですが…」


フェリスは苦笑いを溢した。

たまたま知っていたというのが凄いと思うのだけれど…。


「紅月の祝い日にはまた街へ行きましょう。

きっと以前よりも楽しいはずです」


「はぁ…。どうせ一人で行けって言っても

嫌だと言うのでしょう?」


祭りなんて、しんどいだけじゃないのかしら?

よく祭りとか好きな人が多いけど、

私にはその人の気持ちが分からないわ。

何がそんなに楽しいのかしら。


フェリスは嬉しそうに微笑んでいた。

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