フェリス登場
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やっと帰った……。
もう疲れた。
2度目はないわよね?
私はベッドに寝転がった。
また、頭にあの声が響いた。
『神からプレゼントが届きました。』
また?
誕生日プレゼントはさっき貰ったばかりだというのに……。
また、目の前にウィンドウのようなものが出てきて
『プレゼント』と書かれてある文字が出てきている。
自然とその文字が消え、ボックスのようなものが出てきた。
さらに、ボックスの蓋が開いて中から文章が出てきた。
まるでゲームのような演出だが、
中身の文章が最悪だった。
『やっほー! 神よ。
早速スキルを使ってくれて嬉しいわ!
でも、折角人間を差し向けてやったのに、
少し話してバイバイなんて悲しいじゃない!
この私が! 折角あなたの為に! 差し向けたのに!
このままじゃ、あなた一生死ぬまで一人で過ごしそうね。
私としては面白くないのよね~。
やっぱり、人間のいざこざって面白いじゃない?
あんなに大好き! とか愛してる! とか言ってるのに
影では悪口。浮気。果てには裏切り。
こういう人間の感情が交差するって、
私大好きなのよ~。
とっても醜く、哀れでしょう?
だからあの人間共、また差し向けてあ・げ・る!
あと、あなたと一緒に城に住む人をプレゼントしてあげたわ!
とっても嬉しいでしょ?
精々寝ている所を攻撃されないように頑張るのね』
何これ?
神、意味不。
こんな長文送ってきて私に不快感を与えてくるなんて、
どんだけ神って職は暇なのかしら?
それに、人間を差し向けた?
あの二人の騎士は神が?
私と住む人って…………?
「こんにちは。
僕はフェリスと申します」
この人?
ってかいつの間にいたの?
目の前に現れた青年。
どう見ても人間。
はぁ……。何なの?
次から次に、めんどくさい。
「出て行って」
「えっ! そんな!!
僕はあなたと共にいたいです!
僕はあなた無しでは生きることが出来ません!」
何か意味不明なこと言っている。
何故か変なことになってしまった。
まあ、どれもこれも全部神のせいだけどね!
はぁ……。この人の頭は大丈夫なのかしら?
「何それ。意味が分からないことを言わないでくれるかしら?
速く出て行ってくれる?
私は一人でいたいの」
「お願いします!
僕をあなたの傍に居させて下さい!
あなたの傍にいることこそが僕の存在意義なのです!」
存在意義って。今初めて会った人に言われたくないわよ。
何かすごい必死だけど、どうせ演技でしょ?
神から言われて嫌々やっているんだわ。
「いいから出て行ってよ。
どうせあなたも神の差し金でしょう?
神が面白い私を見たいからと、
信頼させて裏切るように言われた使いでしょう?
何で私がそんなあなたをここに置かなきゃいけないの?」
「ち、違います!
あなたが僕を裏切ることがあっても、
僕があなたを裏切ることはありません!」
裏切らない、
そう言って裏切った奴が過去にいたな~、そういえば……。
「で? それを私に信じろって言うの?
無理ね。諦めて立ち去りなさい! 今すぐ!
神の所にでも帰るのね」
私はベッドに横になった。
もう話すことはないし、疲れてるのよね。
「分かりました。
あなたが僕のことを信じられないと言うならば、
あなたが一人でいたいと言うのならば、僕はあなたの傍にいません。
あなたが、僕の事を信じられるまであなたの城にいます。
ですが、どうか僕に、あなたの生きる手助けを、
させていただけませんか?」
私は背後から聞こえてくる声を無視して目を閉じた。
いくらたっても私が相手にしないと分かれば、
神の所にでも戻るでしょ。