フェリスVS竜王 決着
「もういい!フェリス、これが最後だ!
この一撃で終わらせてやろう!
貴様の人生をな!!」
竜王は攻撃の構えに入った。
フェリスも攻撃の態勢になった。
一瞬静寂が二人を包んだ。
二人は同時に駆け出した。
「ハアアアアッッ!!!」
二人の距離が瞬く間に短くなる。
拳を振りかざした竜王。
剣を構えているフェリス。
そして、二人は交差した。
走り出してからお互いがぶつかるまでほんの一瞬だった。
私の目では何が起こったのか、分からない。
攻撃は当たったのか。
それとも外したのか。
決着はついたのか。
「う゛、うう゛、がはっ!」
竜王の体から血が吹き出し、竜王の周りの地面を赤く染める。
竜王は傷口を押さえながら、地に膝を着いた。
よく見れば、フェリスに与えられた傷はとても大きかった。
フェリスは竜王のようにどこかを怪我した様子は見られない。
竜王の攻撃は外れたのか。
「勝負はつきましたね。竜王…」
フェリスは竜王に近づき、膝を着いてフェリスを見ていた竜王に、
剣の先を向けた。
剣の先は迷いなく竜王の首に当てられた。
「ふっ、我の負けだ。殺せ」
竜王はどこか諦めた様子だ。
「いいえ、僕はあなたを殺しはしません」
「何?」
竜王は顔を顰めてフェリスを見ている。
殺しはしないと言いながら、フェリスはまだ剣を竜王から離していない。
「お嬢様は、あなたを殺すことを望んではいません。
竜王、僕はあなたを許しません。
お嬢様を連れ去った。
それだけで、あなたにはとても大きな罪があります。
ですが、ここで僕があなたを殺してしまえば、
お嬢様は僕の事を嫌いになってしまわれるでしょう」
フェリスが悲しそうな顔でそう呟いた。
まあ、確かに殺人者と一緒に暮らしたくはないけど…。
「僕はお嬢様が悲しまれる事、嫌がられる事、
そういった事をお嬢様に感じてほしくはありません。
ですから、僕はあなたを殺しません」
フェリスは竜王の首から剣を外した。
フェリスの剣はどこかに消えた。
「それに…、あなたがお嬢様の味方でいて下さるなら、心強いですから。
お嬢様の近くにいることは許しません。
ですが、お嬢様がピンチになった時、お嬢様を助ける。
我々の味方でいて下さるのなら、僕はあなたを信用しましょう」
えっと…。私がずっと傍観している間に、どんどん話が進んでいるんだけど…。
これってつまり、竜王が私の仲間になるってことなの?
まさか、あの城に可笑しな人が一人増えるってこと?
冗談じゃない。
変人のフェリスに、いつもうるさいレイーヌ、
役に立たない影の薄いヒルク。
この三人に変態の竜王まで住むなんて言うの?
でも、私の近くにいることは許さないんじゃなかったの?
「フェリス!何を勝手なことを言っているの!?」
私が抗議してもフェリスは聞かなかった。
「どうですか?竜王。
あなただって、お嬢様を守りたい気持ちは同じでしょう?」
「ああ、当たり前だ。
なんたってミーリスは我の大事な妹。
やっと再会できた、我のたった一人の妹なのだからな…」
って、二人で握手して、仲良さげになってるし!
何なのよ…。まったく、何で勝手な人が多いの??
「何でまともな人がいないのよ!!」
私は一人で叫ぶこととなった。
それをフェリスと竜王の二人に心配された。




