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お嬢様脱出大作戦!

竜王の城の前でここ3日続く攻防戦が行われていた。

と言ってもいつも負けるのは決まっていた。


「案外貴様もしつこいな。

名は何と言ったか…」


竜王は目の前に膝を着く魔族の男に訊いた。


「フェリスです」


フェリスはお嬢様が捕まったその日から

何度も竜王の城に向かっては竜王に倒されてきた。

その度に竜王はフェリスを叩きのめすのだが、

フェリスは一向に諦めなかった。


この城にお嬢様がいる限り、

のんびりお嬢様の家にいる訳にはいかなかった。

何としてもお嬢様を助け出す。

その気持ちがフェリスの体を動かしていた。


「もうそろそろ、我も貴様の相手をするのが面倒になってきた。

3日前に感じた魔力を貴様の中に感じないしな。

もういい加減諦めたらどうだ?」


「いいえ、僕は諦めません。

お嬢様がここにいる限り、僕は諦めたくありません」


フェリスは怪我を庇いながらも竜王の前に立ちあがった。


「ふん!諦める気などさらさらないのだな?」


「ええ」


フェリスは余裕の笑みを浮かべて、竜王に向かった。


「ならば、息の根を止めるまで!」


竜王もフェリスに向かって走り、拳と剣がぶつかる。

竜王の城から、誰かが覗いているとも知らずに…。





「フェリス?」


ここ数日昼寝をしても眠れていないのに、今回は眠れるなんてことはなく、

ずっとベッドに身を横たわらせていた。

だが、不意に何かが聞こえたような気がした。

いつもなら、そんな事気にもしないのに、何故か気になった。


「何故フェリスが?」


窓の方へ歩み寄り、カーテンを開ける。

窓から見えたのは竜王と、フェリスの闘う姿。


「まさか、フェリスが今頃来たの?」


ううん。今はこんなこと考えている場合じゃない。

逃げ出すなら、今がチャンスのはず。


まあ、ここの暮らしも悪くはないんだけどね。

やっぱり、私にはあの城があるから。

フェリスがいて、レイーヌがいて、ヒルクがいる。

あの城に私は帰りたい!


「とりあえず、身を隠せる布があればいいんだけど…。

それと、折角だし、多少物色した所で、問題はないわよね?

だって、竜王の城だもの」


クローゼットを漁る。

けど、身を隠せるような布が、そう都合よく見つかるはずもない。

きらびやか過ぎるような服があるだけだった。

しかも、ここは竜王の部屋。

男物ばかりで、女物がなかった。


「どうすればいいかしら…?」


考えても、いい案が浮かばない…。

とりあえず色々物色して、お宝は手身近にあるカバンに入れて。

いっそ、この部屋が爆発でもしてくれたら、

騒動に紛れて逃げれたかもしれないんだけど…。


「でも、ここには爆発物なんてない…。

仕方ない。使いたくはなかったんだけど、最終手段を使わざる負えないようね」


最終手段。それはミーリスとして、堂々とこの部屋を出て、

ついでに城からも出る。


ミーリスに成りすますなんて、利用しているみたいでいやなんだけど。

しょうがないわ。


でも、これは城から出られる可能背は低い。

今まで一回も城から出たことが無いのに、

いきなり城から出ると言っても、

信じて貰えないだろうから。


「でも、やるしかないわ」


私はカバンを持ってそっと部屋から抜け出した。

廊下を堂々と歩く。

良かった。廊下に従者や大臣はいないみたい。


「このまま誰にも会わずに済めばいいんだけど…」


だけど、そう都合よくはいかなかった。


「おや?ミーリス様ではありませんか?」


出た。大臣だ。

もしも出会った場合の対策として、用意していたセリフを言った。


「あの…。お庭はどっちですか?」


「お庭ですか?どうかしましたか?」


「私、お庭に行きたいの」


ちょっと、気持ち悪いけど、大臣は騙されるでしょ。

少しの辛抱…。


「何故ですか?お庭にはお花ぐらいしかございませんよ?」


大臣が少し屈んで私に訊いていた。

この子供扱い嫌だ。


「あの、お兄ちゃんから聞いて…。

その、私はお庭にお兄ちゃんとよく行っていたと。

だから、ちょっとでも思い出すかなって。

ダメ?」


お兄ちゃん呼びとか、ちょっと首かしげる動作とか、

とてもやりたくはないけど、しょうがない。

なんたって今しかチャンスはないんだから……。


「そ、そうでしたか!!

この大臣で良ければ案内しますぞ!

どうぞついて来なされ」


良かった。どうやら、怪しまれずに済んだみたい。

大臣の後について歩いて行く。


「こちらです。ミーリス様」


「ありがとう!」


元気よく言うとさも嬉しそうに顔を綻ばせた。


「いいえ、すみませんが大臣はこれから仕事がありますので、

帰りはそこらにいる、メイドに言うといいでしょう」


「うん」


分かったから、早くどこにでも行って。


「ああ!決して外には出てはいけませんよ?

外には怖い怖いモノがおりますからな」


怖い怖いモノ…。それってフェリス?

やっぱり知ってるんだ。フェリスが来ている事…。

だったら、下手に外に行きたいなんて言わなくてよかった。


「分かった」


大臣はニッコリスマイルを残して、去って行った。

私は周りの様子を伺いながら庭を歩く。

どうやら、メイドが3人程私の見える位置にいるらしい。

私からは見えないけど、声が微かに聞こえてくる。


「あっ!綺麗なお花!」


城壁に近い所に咲いている花に近づく。

この演技大丈夫なのかしら…?

恐らくメイドたちはこの光景を微笑ましい目で見ているでしょう。


「それにしても高いわね」


ボソッと、独り言を呟く。

城壁は高い、とても上るなんて無理。

でも、城壁を辿って行けば出入口が見つかるはず…。


「あっ!こっちにもある!」


私はひたすら、綺麗な花を見つけたふりをして、

どんどん端に向かう。

時には間隔を開けて不自然じゃないように…。

もう既に不自然かもしれないけど…。


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