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フェリスの思い

僕はお嬢様を傷つけてしまいました…。

今、僕の心の中は後悔で一杯だった。


「僕は、お嬢様になんてことを……」


お嬢様は苦しんでいた。

僕が言わなければ、お嬢様はあんな風に言うことはなかった。

普段お嬢様はあまり声を荒げるような方ではない。

そんなお嬢様が、僕がお嬢様に訊いてしまったから…。


何も言わなければ良かったんだ。

僕が余計な事を言ったせいで、お嬢様は苦しんでしまった。

苦しむお嬢様の助けになりたいと

そう思って言った言葉が逆にお嬢様を傷つけてしまった…。


「ギャアアアアア」


バシュッッ


魔力で作った剣が魔物にあたる。

その魔物は真っ二つに裂き。

消えると、そこには小さな魔石が落ちている。


ここは城から少し遠い位置にあるダンジョン。

このダンジョンは絶命のダンジョンと呼ばれ、

ダンジョン中でも最も難易度が高く、

最高ランクの冒険者でもパーティーを組まないと危ないと言われたダンジョンだ。


城から出た後、頭を冷やしたくて湖に体ごと突っ込んだ。

それでも自分に対するイライラした気持ちが抑えられなくて

ダンジョンに来た。

今は地下に続くダンジョンの中でも上の方。

まだフェリスの中では雑魚の魔物ばかりの階だった。


「ダメですね…。

無心になりたくてここに来たはずなのに…。

気が付けばお嬢様の事ばかり考えている」


ここにいてもお嬢様への思いが募るばかりで、

無心になることが出来ません……。


「キエエエエッッ」


次から次へと弱い魔物ばかりが出てきて

一回剣をあてれば、即消えてしまう……。


その場に残った魔石を取り、ダンジョンの奥へと進んでいく。

階ごとに宝箱が置かれ、その中には武器や防具、

何かしらの効果が付属されたアクセサリーなどが入っている。

そして必ず、ダンジョンには罠があり、

宝箱の前にはもちろん罠がある。


でもフェリスは罠があっても何もせずに

真正面からあたっていた。

その罠で転移させられてもひたすら奥を目指し、

体を麻痺させられても魔法で即治し、

モンスタートラップと呼ばれる魔物が大量に発生する罠でも

どんどん魔物を狩って行った。


それでもフェリスの心の中が静まることはなかった。


「ああ、僕は何故あんなことを言ってしまったんでしょう…?

お嬢様に会わせる顔がありません…。


お嬢様…今頃夕食をお召し上がりになっておられる頃でしょうか?

ああ……こうなるのでしたら、作り置きを置いておけば……

ちゃんと、栄養のあるものを食べておられるのでしょうか……?」


フェリスはどんどん地下へ行き、とうとう地下50階にまで到達した。

このダンジョンの最高記録は地下43階。

フェリスは知らぬ間に、最高ランクの冒険者5人パーティーよりも

下の階まで到達していたのだ。


「グオオオオオ!!!」


そして地下50階は中ボスの出る階。

ケルベロスのように頭が3つあり、

人間の身長よりもはるかに高く、

その上、炎を吐くこの魔物の名前は炎の番犬フレイム・ウィッチドッグ

(のちにつけられた名前)。


「うるさいですね。

汚い唾をこちらに吐かないでください…」


フェリスは魔力で生成した剣を持ち、

炎の番犬に向かって切り込んだ。

炎の番犬はフェリスにブレスを吐くが、

フェリスはそれを軽々と避ける。


「そんな真っ直ぐな攻撃では

どんなに強力な攻撃でも当たりませんよ!」


避けた先の壁を蹴り、炎の番犬に向かう。

炎の番犬はそれを前足の鋭い爪で引っ掻いて落とそうとする。

フェリスは今度は避けずに剣で受け止める。


「何ですか?この爪は…。

こんな物で僕を傷つけようだなんて…。

1000万年はやいですよ!」


剣で攻撃を弾くと弾かれた反動で上半身が後ろへ傾き、

炎の番犬は体制を崩した。


「ガウウウ…!」


その隙を突きフェリスの一突きが炎の番犬の腹にあたる。


「ガオオオオーーン!!」


炎の番犬の腹からは血が噴き出し、後退する。

それでもフェリスは容赦なく炎の番犬に向かって剣を振るう。


「どうしたのですか?

これで、もう終わりとは言いませんよね?」


地面に着地したフェリスは再び飛び上がり、

炎の番犬の真ん中の頭を狙った。

炎の番犬は口を大きく開け、フェリスに飛びついた。

いや…、飛びつこうとした。


「わざわざ口を開けるとは…。

バカな犬ですね」


フェリスは剣を持っていない左手を前に翳すと

下級炎魔法のファイアーボールを最大威力で

炎の番犬の口の中に放った。


本来ならば、炎耐性を持つ炎の番犬に

炎魔法の、それも下級となれば

傷一つ負わせることが出来ないが、

フェリスは自分の魔力を最大限使い威力を上げ放ったため、

炎の番犬は体の中から丸焼きにされた。


ダンジョンの中は魔力が所々に漂っているため、

魔力の回復が早い。

だが、それにしてもフェリスの魔力が底をつくことなく

魔力切れにならないのは可笑しなことだった。

当の本人であるフェリスはそのことに気が付かない。

何故なら、今だ頭の中を支配しているのは、

自分の仕えるお嬢様の事だからだ。


炎の番犬は倒れ、魔力となった。

魔力は目には見えないため、炎の番犬が消えたようにも見える。

炎の番犬が消えた後には階ごとにある宝箱よりも大きい物があった。


「炎系の魔法の威力が上がるアクセサリーですね。

効果は兎も角、この宝石の部分は綺麗ですね…。

お嬢様が身につければ、お嬢様の美しさが

さぞ引き立てられるのでしょうね………」


フェリスはアクセサリーをしまうと、ため息をつき

さらに下の階層を目指した。



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