表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/80

ケンカ

レイーヌとヒルクに会ってから2週間が経った。

その間、宮廷魔法使いが何度か来ていたらしい。

その時は大抵私は寝ていて、後でレイーヌが私にネフィルがくれた、

と様々なお菓子を持って来る。

それ以外は、特に何かあったわけでもなく順調に日にちが過ぎていった。

最初、色々慣れなくてうろうろしていた二人も

今ではだいたいの所は覚えているらしい。


私?自室ぐらいしか覚えてないわよ。


朝、起きれば朝食を食べて

その後フェリスに連れられ湖へ散歩に。

あの荒れた湖はいつの間にか綺麗になっていた。


フェリスを見てもニコニコしているだけ。

でも私には分かる。絶対フェリスがやらかしたんだ。

魔族って何でも出来るのね。


散歩が終われば昼まで寝る。


「そしたら、ヒルクが…って聞いてますか?」


「ええ、聞いてるわ」


今は昼食の後のお話タイム。

レイーヌをお話し相手にしたものの、私が寝てばかりだったので

レイーヌの要望でお話タイムというのが作られた。

私にとっては大事な睡眠時間を取られるのだけど、

レイーヌがとても楽しそうに話すので、許した。


「そうそう、今日のおやつはシュークリームだそうですよ?

私、シュークリームが好きなんです!」


「そう」


お話タイムの途中でフェリスがおやつを持って来て

おやつタイムとなる。

毎日違うおやつを用意するフェリスは凄いと思う。

シュークリームはこの間出てきた。

その時にレイーヌが大層気に入ったようで、

時々、お話タイムの前にシュークリームを

おやつで出すように言われるのだそうだ。

フェリスからこっそり教えて貰った。


フェリスが紅茶とおやつを持って来て

おやつタイムとなると話すのが一時中断される。

その時には自室の入り口近くに立っているヒルクも

紅茶とおやつを持って来たフェリスも一緒に食べる。

これを提案したのもレイーヌだ。


「今日のシュークリームも美味しいです!」


「ええ、紅茶の香りもいいわ」


「はい!ありがとうございます!」


とおやつタイムも終わると私は昼寝をする。

そして夕食で起こされるまで起きない。


レイーヌとヒルクが退室して、フェリスが食器をカートに乗せている時に

珍しくフェリスが話しかけてきた。


「あの、お嬢様。訊いてもよろしいでしょうか?」


「何?寝たいから簡単に答えられる質問にしてよね」


今じゃないと答えられないような質問でもないでしょうに。

私は寝たいんだから。


「……何故、お嬢様は人間がお嫌いなのですか?」


何故今それを訊くのかしら…。


「逆に聞くけど、何でそんなことを訊くの?」


「僕は前々から気になってました。

僕は何故嫌いなのか、よりも

何がお嬢様を傷つけているのかを聞きたいのです」


「………」


傷付いてる……?私が?


「あの人間の騎士が来たときには、

あんな風に寄せ付けないようにしていました。


あなたは言っていました。

傲慢で驕傲で、平気で嘘をつく。

相手の事なんて考えもしない。

そんな人間が嫌いだと……。


その時のあなたはとても傷ついているように見えました。

何があなたをそんな風に苦しませているのですか?」


「見ていたの?あの時」


信じられない…。

あの時の様子を知らない間に見られていたなんて。


「はい、神に見せられていました。

あの!僕ではダメ、ですか?


僕はお嬢様の力になりたい!

お嬢様の苦しみを少しでも和らげることは

僕には出来ませんか?

お嬢様の苦しむ顔を見たくないです……」


凄く心配そうな顔。

フェリスはすぐ私のために何とかしたいと考える。

それが今回は余計なお世話何だけど。


私の中の黒く渦巻く何かが動く。

それは、だんだん形をとって人型になる。

そして私にニヤリと笑いかける。


「何が、分かるの?

フェリス、あなたに何が分かるの?

私が苦しんでるって?

バカにしないで!


私はもうあの時とは違う!

もう、過去を思って苦しんだりしない!

もう、あの頃の事は忘れたの!」


黒く渦巻く何かがだんだん増えていく、

そしてどれもこれもがゲラゲラと私を嘲笑う。

そして私に向かってくる。

嫌だ!気分が悪くなる。


「では、何故今もこんなにも苦しそうなのですか?」


何でフェリスはこんな風に接してくるの?

こんな風に優しくされたら…。

優しくされてしまったら……。


「何よ……。

自分なら助けられるって自己満足のために

私を巻き込まないでよ!!


イライラする!

しばらくあなたの顔も見たくない!

この部屋から、いいえ、この城から出て行きなさい!

命令よ!」


黒く渦巻く何かはざまあみろと私を笑い者にする。

沢山の黒い何かに私は囲まれる。

黒い何かは私を引きずろうとどんどん近づいてくる。


「!!……分かり、ました。

すみませんでした、お嬢様…………」


フェリスは頭を下げて立ち去った。

すぅっと黒い何かは息を潜めた。

いつでも見ていると言われた気がした。

私はいつも通り自室のベッドで寝た。

今までの事を忘れられるように……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ