表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1年に1度のチートスキルで何とか異世界で生きようと思います……。  作者: 夜虎
第3章 新たな住人 メイド兼お話し相手
25/80

レイーヌとヒルク、初めての和食

コンコン


「失礼します。

レイーヌ様、お連れ様は大丈夫でしょうか?」


僕は今着いたかのように部屋に入って行った。


「はい、ヒルクはこのとおり。

怪我もなくなりました、

まだ元気とは言えませんが」


僕はベッドに近寄り慌てて立ち上がる

レイーヌ様の隣に立ち、ヒルク様を見た。


「ああ、フェリス…だったか。

姫を助けて頂いたこと、

姫にこのように部屋を与えて頂くだけではなく、

食事まで与えて頂いたこと、ありがとうございます。

あなたの主にもそう伝えて頂きたい。

俺からは言えそうにもないので…」


良かった…。すっかり血色が良くなっています。

ヒルク様は頭を下げた。

ヒルク様の方からお嬢様に会うことは出来ないからでしょう。


「はい、分かりました。

お嬢様にお伝えしておきましょう」


頷いて答えるとヒルク様は

安心したような顔をした。


「私は直接言いたいわ。

フェリス様、お部屋を教えて頂けるかしら?」


「はい、後程。

それと、僕の事はフェリスとお呼びください」


「分かりました。では私の事もレイーヌとお呼びください」


宜しいのでしょうか?

いくら国が滅んだと言っても

元一国の姫を呼び捨てなど…。


「では、レイーヌさん、でよろしいでしょうか?」


僕は考えた結果さんを付けることにした。


「ええ、ありがとうございます」


「よろしいのですか?」


レイーヌさんの言葉にヒルク様が

僕が思っていたことを訊いた。


「先ほども言いましたが

もう、私は姫ではないのです。

ヒルクも私の事はレイーヌと呼んで?」


「いいえ、私にとって姫は姫です。

私の大事な方です」


真剣な顔で言うヒルク様に

レイーヌさんとは一線を引いているのだと分かる。


「ヒルク、私がヒルクにそう呼んでほしいの。

それともヒルクは私の願いを叶えてはくれないの?」


レイーヌさんはヒルク様の手を取り

不安そうな困ったような顔をしていた。


そんな顔に弱いのか渋々ヒルク様は了承した。


「分かりました。

では、これからはレイーヌと」


「ええ」


途端にレイーヌさんは笑顔で答えた。

それを穏やかな笑みで見つめるヒルク様。


「フェリス、俺のこともヒルクでいいからな」


「分かりました。

お嬢様からレイーヌさんが早めに食事を召し上がりたいようなら

用意するようにと、レイーヌさんが怪我をしているようなら

治すよう言いつけられましたので来ましたが、


レイーヌさん、魔法を使えるようになったのですね!

おめでとうございます!」


レイーヌさんに僕は拍手で褒誉した。

レイーヌさんは恥ずかしげに頬を赤くした。


「はい、これもあの方のお蔭です。

お名前を訊いていませんでした。

あの方のお名前は何と申すのでしょうか?」


「レイーヌさん、お嬢様にお名前はありません」


「あら?そうなのですか?」


レイーヌさんに不思議そうに見つめられる。

僕はお嬢様になぜ名がないのかを知らない。

もしかしたら、名を与えられなかったのかもしれない…。

もしかしたら前の名は捨ててしまわれたのかもしれない。

そう考えるとお嬢様に訊くことが出来ない…。


「はい。お嬢様から、あなた以外で呼ぶように言われました」


「そうでしたか…。

では私もお嬢様とお呼びした方が良いですね」


「それにしても、何故名がないんだ?

生まれてすぐ親にでも捨てられたのか?」


そういえば、僕がお嬢様と出会った時は

もう既にお嬢様はお一人でした。


「僕がお嬢様とお会いしたのは

つい昨日の話なのです。

ですから、まだお嬢様の事を全然僕は知りません。

いつか、お嬢様がお話して頂けると嬉しいのですが…」


お嬢様の話で暗くなった雰囲気を消し飛ばすように

レイーヌさんが言った。


「…そうだわ!私、魔法を使いましたから

食事をとりたいの。

お願いできるかしら?」


「はい、今すぐお持ちしますね」


僕は部屋を出て厨房まで早足で歩いた。

きっと驚くでしょうね。

お二人がこの料理を食せば。



持ってきた料理を見てレイーヌさんとヒルクさんが

予想通り驚いていた。


「これは、何ですか?」


「はい、こちらは肉じゃがでございます」


「「ニク、ジャ、ガ…?」」


分からないと言う風に僕の言葉をそっくりそのまま返すように

反復するレイーヌさんとヒルクさん。


「はい、こちらはお嬢様の故郷のお料理でございます」


「まあ!それはぜひ食べてみたいわ!」


うきうきと肉じゃがを眺めるレイーヌさん。

ヒルクさんは得体の知らない物を見るようにその料理を見ている。


「レイーヌ、その前に俺が…」


お箸は知らないと思いましたので

ナイフとフォークを持って来ておいた。

そのフォークを持ったレイーヌさんを

ヒルクさんが遮った。


「あら、私よりも先に食べるの?

ズルいわ」


「いえ、得体の知れない料理ですから

先に俺が毒味を…」


ヒルクさんは食い意地を張っているわけではなく

本心でレイーヌさんを心配しているようだ。


「もう!心配性ね。

毒なんて入ってないわよー」


「はい、毒物は一切入れておりません」


「ですが…」


ヒルクの静止の声も聞かず、レイーヌはフォークで

じゃがいもを刺すと、口に運んだ。


「まあ!美味しいわ!ヒルクも食べてみなさい!」


「レイーヌ…。

そんなに簡単に他人から貰った食べ物を食べないでください……」


呆れたようにレイーヌさんを見つめたヒルクさん。


「ほら!」


レイーヌは自分の持っていたフォークを

じゃがいもに刺すと

ヒルクさんの口に突っ込んだ。


「フグッ!フムフム…。

確かに美味しい…」


「でしょう?」


ヒルクさんの言葉に嬉しそうに答えたレイーヌさんは

他の肉やにんじんを食べて、美味しい、と言っている。

その後一人分にしては多すぎる量を

二人で平らげた。


「美味しかったわ!フェリス!

でも、あなたは魔族よね?

何故魔族のあなたがお嬢様の故郷の料理を作れるの?」


レイーヌさんは疑問に思ったのか僕に訊いてきた。

確かに魔族の僕がお嬢様の故郷の料理を知っているのは

変ですよね。


「ふふっ、お嬢様には秘密ですよ?

実は、お嬢様に喜んで頂けるように

練習しておりました…」


「あら、フェリスはお嬢様思いなのね」


「お嬢様は僕にとって世界で一番大切な方ですから。

僕はお皿を片付けてきます。

後程、ここに来ますからその時にお風呂にご案内します。

その後にでもお嬢様のお部屋をお教えします」


「ありがとう…フェリス」


「いいえ、失礼しました」


扉開け、二人に頭を下げると

カートを持って厨房に戻って行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ