目覚めたヒルク
「う、うう…ん?」
ここはどこだ?
カーテンの閉じらた薄暗い部屋にいた。
何も飾り気のない薄暗い部屋は少し不気味さを感じさせる。
柔らかい、ベッド?
しばらくぼーっとしていると
大きな魔獣に襲われていたことを思い出す。
「姫!姫は!!」
ガバッと上体を起こし、
キョロキョロと部屋を見渡すと
ベッドの横でベッドに両手を置き、
頭を乗せて眠っている姫がいた。
「良かった…。
姫、ご無事で」
自分だけ生き残って姫が死んでいたとなっては
自分を恨んでも恨みきれない。
しかし、いったい何故姫と俺はこんな部屋にいるんだろうか。
何があったか、おぼろげで分からない。
良く見てみると俺の体には包帯が巻かれている。
だが、傷何て感じさせないぐらいに痛みがない。
「うん…?ヒル、ク?
起きたのね!ヒルク!」
姫が目を覚まし、目を擦りながら
嬉しそうに笑って、姫は私に抱きついた。
小さい頃は俺に会うたびに姫が抱きついていたのを
思い出した。懐かしさが込み上げてくる。
この年にもなると、姫はまるっきりしなくなってしまった。
だからか、嬉しいと思ってしまう自分がいる。
「姫…。ご無事でよかった…」
「そう!体はどう?
どこか痛む所はない?」
心配そうに訊いてくる姫に俺は嬉しくなった。
この方が無事なのが一番喜ばしいことなのだ。
見た感じではどこにも怪我なんてないようだ。
そういえば、魔獣に襲われていたような覚えがある。
俺は怪我をしたのか…。
だから、包帯が巻かれているのか…?
「はい。大丈夫です。
姫は怪我はありませんか?
何があったのか、俺に教えてくれませんか?」
姫の右手を力強く握り締めて、姫の目を見た。
「私は大丈夫よ。怪我はすぐ治して貰ったし。
このことも含めて私もヒルクに言わなきゃいけないと
思っていたから話すわ」
そうして姫は一呼吸を置いて、
俺に何があったのか語ってくれた。
「そうですか…。
あの女に姫は仕える事になってしまったのですね…。
すみません、姫!俺が不甲斐ないばかりに」
俺は姫に仕えていながら、
姫を危険な目に合わせ、
俺のために見ず知らずの輩に仕える事になった。
それに比べ俺は何をした?
姫を魔獣から庇ったのはいいとして
その後は姫に支えられながら
逃げていただけ。
俺は何の為に姫のお傍にいたんだよ
姫をお守りする為じゃなかったのかよ!
何て俺は無力なんだ…。
俺はギュッと握り拳を作り姫に土下座をした。
「謝らないで…ヒルク。
あなたが無事で本当に良かった。
それにね、もう私は姫ではないの。
私たちの国は滅んだわ。
国は無くなったの。
私はもう、ただのレイーヌよ?」
悲しげに微笑む姫。
姫にはそんな顔をしてほしくはありません。
「そんな事はありません。
例え国が亡ぼうとも
俺、いいえ…私にとっては
あなたただ一人が私の姫です。
ですから、そのような顔はしないでください。
あなたには笑顔が一番似合いますから…」
そっと姫の手の甲に口づけを落とした。
まだ、俺の忠誠は姫にある。
国があるとかないとか関係なく、
どんな時でも俺は姫の味方であり姫の騎士だ。
「ありがとう、ヒルク」
姫はそういうと俺に向かって
涙を流しながら微笑んだ。
その一部始終を部屋の外でそっと聞いていた
フェリスは一人、涙を流していた。




