レイーヌと男が家に来た
行きよりもゆっくりのペースで家まで帰ってきた。
帰りの道では特に魔獣に会うこともなく、
安全な散歩だった。
家に着くと、レイーヌは玄関で家の大きさに呆然と驚いた。
そんなレイーヌに、さっさと入るように言い放ち、部屋まで行く。
慌てて私とフェリスの後を追ってレイーヌは入ってきた
長い廊下を右へ左へ歩いて行き、
目的の部屋まで来るとフェリスが足を止めた。
「部屋はここを使いなさい。
ご飯はフェリスが作ってくれるわ。
今はベッドしかないけど、
まあ、お金が手には入れば家具でも買うかもね」
まあ、お金を稼ぐ当てなんてないんだけどね?
私自身稼ごうと一切思わないし。
お金が必要になったら
フェリスにでも何とかして貰おう。
フェリスなら何とか出来るでしょ。
「はい。ありがとうございます。
まさか、こんな立派なお家だとは思いもしませんでした」
そうは言っても大きさだけは立派なだけで
中身はスッカラカン何だけど…。
私も最初驚いたわ。
まあ、この家出したの私なんだけど…。
「そうだ、まだ私の掛けたスキルを教えていなかったわね。
私の掛けたスキルは『主の加護』」
スキルの説明をざっとした。
何とか分かりやすいように説明して
無理矢理にでも理解して貰った。
「ステータスが上がってるはずだから、
もしかしたら王家の力も魔法も使えるかもしれないわね」
「えっ、本当ですか!?」
う~ん。
魔力の量もステータスで変わるなら
もしかしたら使える可能性もあるんだけど
そこら辺がよく分からないからね…。
「知らないわ。使ってみない事には…。
私は自室にいるから。
場所はフェリスから訊いて。
その男を近づけないようにくれぐれも監視していてね。
私がその男を危険じゃないと確信するまで
その男から極力離れないように。
分かったわね?」
「はい!」
レイーヌは男の肩を担いでいるからか、
よろよろとなりながらも頭を下げてきた。
レイーヌと男を部屋に置き、
尻目にレイーヌが男をベッドに運ぶのを見届けると、
フェリスに自室へ連れて行って貰う。
「フェリス」
「はい、何でしょう?」
廊下を歩いているフェリスに話しかける。
相変わらずフェリスの顔は余裕の顔で、
湖まで歩いて魔獣と戦って家まで戻って来たなんて
微塵も感じさせない。
「きっと、レイーヌは
何日もロクに食べてないし魔獣から逃げ回って
お腹が減ってるはずだから、
食事の量を倍ぐらいにしてあげて」
「ふふっ、はい。お嬢様」
フェリスの微笑ましい物を見るような目で笑われると、
少し不愉快になる。
「あら?何が可笑しいの?」
執事が主を笑うなんて失礼ね。
雇ってたなら即刻クビにしてた。
「いいえ、お嬢様はお優しい方だと、
そう思っただけです」
「あら、レイーヌは私のメイド兼お話相手になって貰うつもりよ?
私に仕えてくれる者を無下にしたりしないわ」
私は当然の事をしたまで。
「はい、すみませんでした。笑ってしまって」
それでもフェリスの顔は笑っている。
笑うとこ間違ってるわよ。
ほんと変よね、フェリスって。
「いいわ。今回は許します」
「ありがとうございます」
私は自室のベッドの上まで運んで貰った。
そのまま布団に包まる。
「では、私は失礼します」
フェリスが部屋を出て行こうとした時、
私は寸前で止めた。
「フェリス、レイーヌにこの城に何があるのか教えてあげて
それから、きっとレイーヌも怪我をしてるだろうから
治してあげて。
早目に食事をしたいと言ったら作ってあげて」
また、微笑ましいような目で私を見てくるフェリス。
まったく…、何が言いたいのよ。
やっぱりフェリスは変人ね。
「はい、お休みなさい」
「ええ、お休み」
フェリスが部屋の扉をゆっくり閉じる音がする。
久しぶりに散歩というものをした気がする。
とんだ拾い者をしたけどね。
まあ、たまには悪くないんじゃないかしら。




