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1年に1度のチートスキルで何とか異世界で生きようと思います……。  作者: 夜虎
第1章 異世界転移 『誕生日おめでとう』スキル
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神に強制転生させられる

誕生日、それは私にとって忘れられない日となった。

このとき、私の人生で同時に2度も転機が訪れた。



「いらっしゃ~い!

哀れな人間」



私は目を開けると、真っ白な何もない空間にいた。

そこにはニコリと顔に笑みを浮かばせながらも、蔑むように見てくる女がいた。

足を組み上から目線で見てくる姿はまさに女王様だ。



「ふふっ、あなたの人生。

見ていてとっても愉快だったわ!」



女は女王様らしく口に手を当て笑った。

私は女に鼻で笑われたようだ。

少しこの女の言葉が癪に触らないわけではないけど、

今この女を怒鳴る気力がない。



「……」


「あら、だんまり? 可愛くないわねぇ。

まあ、いいわ。私があなたに新しい人生をあげる」


「いらない」



新しい人生?

これは夢じゃないの?



「あなたの意思なんて関係ないわ~。

私ね、あなたの人生を見て暇潰ししてたのよ。

でもー、そろそろ飽きてきちゃったのよね~。

だからー、もっと面白おかしい人生にしてあげようと思ったわけよ~。

私頑張っちゃうわ!」



まるでアニメに出てくるギャルのようなハイトーンで話す女。

話している内容だってデタラメだ。

私の人生を見ていたとか、もっと面白おかしい人生にするとか。

神でもなければそんなこと出来るわけがない。


それに、私はもう……。



「いらない。

私はもう、生きたくない……」



そうだ。もう生きなくていい。

死んじゃってもいいわよね。

もう、十分に生きた……。



「私は神よ。

あなたが死ぬと言うのなら、不死に出来る。

そうね。あなたに人間を滅ぼすほどの力だってあげられる。

どう? 面白そうじゃない?」


「別に……」



そんなのいらない。

不死なんていらない、力なんていらない。

私が望むのは、"死"ただ一つだけ。



「そう、欲のない子だこと。

そういう子、私嫌いよ」



女神は組んでいる足を組み換え、鋭い眼差しで私を見ている。



「別に好かれなくていい」



この人何なんだろう。

私の前に勝手に現れて嫌いだと言うこの人は。

人じゃないのか……。



「そうだわ! 確か、今日はあなたの誕生日だったわね。

良いこと思いついちゃった!

あなたに特別なものをプレゼントしてあげるわ。

だって今日はあなたの誕生日だものね!」



楽しい企画でも考えているように言う女に、

私は一言即答した。



「いらない」



誕生日、そっか。

今日は私の誕生日……。



「転生して、直ぐに死なれたら嫌だから、なかなか死なない身体にしてあげる!

それにどうせだもの。

美人に生まれ変わりたいわよね~?

力を与えて世界を滅ぼされたんじゃ面白くないから、

人間らしく、無力にすればいいわ!

だからって、無知って言うのも可哀そうだし~

すこ~しだけ知識をあげるわ!」


「……」



もう、私は女の話なんてロクに聞いていなかった。

いや、聞けなかったという方が正しい。


何だか意識がハッキリしない。

耳が何かに塞がれているみたいに聞き辛くなってきた。



「でも人間よりも死ににくい身体だもの。

人間じゃないわね。

人間の枠から外れた者になるわね。

ふふふっ、面白くなりそう!」



そこで私の意識が途切れた。





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