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産み落とされた宿命の双子  作者: 金烏玉兎
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第1章 正反対の双子 第1話 新たなる冬喬の始まり

金烏玉兎です。

第1話です。

私はユニゾンが好きなのでいつも曲を聞きながら何か作業をしているのですが……ついつい頭が曲の方に行っちゃって全然進みません。

*****


 2317年の卯月、京都某所、とある高校に1人の男子生徒が入学した。

 とある高校と言えども、日本有数の進学校である皇嘉門朱雀院学園。

 この学校はかつて明治時代の頃、皇嘉門二条家が作った学園であり、皇嘉門二条家の者が代々理事長になっている。

 そして、今は卯月。学校が始まって1、2週間が過ぎた頃だ。

 しかしその男子生徒は何故か入学式には出ず授業にも出ていない。


 *****


 皇嘉門朱雀院学園高等部1年イ組の教室。

 男子生徒は廊下を歩いていた。

 彼はこう思う。教室は五月蝿い、姦しい。

「ねぇ美貴、今日やっと入試満点の人が来るんだって」

「へぇ、そうなんだ。よく知ってるね茜」

 教室では、遅れてやって来る新入生の話で持ちきりだ。

「おい種田、ソイツうちの理事長の親族って言うじゃねえか。どうせコネだって」

「そうそう、神保がテストで他人に劣るわけねえじゃん。中学からいんだからわかるでしょ。アホなの?」

 男子2人が笑う。

「確かに私はアホだけど、ここは特進だから違うとこだとアホじゃないよ!」

 やはり教室はうるさい。男子生徒はそう思う。

 "キーンコーン カーンコーン"

 チャイムが学園中に鳴り響く。

 "ガラガラガラ"教室のドアが開いた。

「朝礼始めんぞ。日直号令頼む」

「はい、起立」

 宇喜多茜の号令でクラス全員が立つ。

「気おつけ」

 次の号令で全員が直立する。

「礼」

 最後の号令でクラスの半分が礼をする。

 1/4が挨拶もせず座り、残りははしゃいでいる。

「身体が弱く入院していた皇嘉門二条が今日から共に授業を受ける。入ってこい!」

 担任の言葉のあと1人の青年が入ってきた。

 その青年は黒く長い髪を頭の後ろでポニーテールにしていた。

 身長は170後半だろうか、どこか女性的魅力も漂わせる青年は自己紹介を始めた。

「はじめまして。私の名前は皇嘉門二条咲弥«えみなり»と言います。気軽に咲弥«さくや»とお呼びください。」

 クラスのほとんどの者が息を飲んだ。彼が発した艶やかな声に。

「先に言っておきますがこんな髪型で、こんな長さで、こんな声で、一人称も私ですけど、正真正銘性別は男です。」

 皆は、男子生徒も女子生徒も咲弥が出す声に溺れていた。

「後、この髪型は家の関係です。学園側に許可も頂いています。

これから3年間宜しくお願いいたします。」

 その日の授業は全て咲弥のために復習になった。

 地理、数学、現国、昼食を挟んで古典。

 カリキュラムが特殊で、90分3コマと1コマ。

 長いはずの授業は何故か明るく早く終わった。

 そんなこんなで1日の授業が終わった。

 噂をしていた美貴や茜、からかっていた神保までもが咲弥を認め、登校初日でクラスの中心になった。

「ねぇ咲弥君、学園の付近のいい場所紹介しようか?」

 美貴が咲弥に訪ねた。しかし、彼は誘いを断った。

「御免ね美貴さん。もうすぐ迎えが来るんだ。悪いけど今度暇な時でも言いかな。」

 彼は笑顔で返答した。

「了解、じゃあメアドとLINEのID交換しない?」

「メアド? LINE? ID?」

 彼は困った、彼女が言った言葉の意味が理解できなかったからだ。

「もしかして、スマホ持って無かった? ゴメン」

 美貴が謝る。美貴の右手にはおそらくスマホとよばれるの物があった。

「いいよ。その右手の奴だよね。明日までには手に入れとくから」

 再び笑顔で返答した咲弥はそのまま歩き出した。

 さて、そろそろ来るはずなんだけど。咲弥がそう思った頃、

「冬喬様、こちらにおられましたか」

 気づけば咲弥の後ろに1人のスーツを着た女性が立っていた。

「加具夜、私は冬喬様じゃないよ、彼は既に死んでいるのだから」

「申し訳ございません咲弥様。それでは参りましょうか」

 加具夜は咲弥の斜め後ろに立った。

「ねぇ咲弥君、冬喬様っていうのは日本軍最高戦略監督の冬喬?」

 ミスった。咲弥つまり冬喬は思った。

「そうだよ神保君。加具夜は古くから家に仕えているんだって。

それで私の顔と声が冬喬様に似ているらしいんだ」

「いやいや、どう見ても20代後半でしょ!」

 神保のツッコミが入る。

「神保様でございますね、私はよくそう言って頂けるのですが私は冬喬様が生きておられたときから仕えております。なので、20代後半ではおりません」

「そうだよ。加具夜は私が赤ん坊のときから見てくれているんだ。冬喬様に仕えていたからかよく私を冬喬様って呼ぶんだよ」

 そんな軽い話をでっち上げた。

「あぁ加具夜、スマホとか言うの買っといてね。2つ位あるといいね。宜しく頼む よ。明日の朝までに」

 承知致しました。そう答えると3人は驚いた。

「名家っていうのはスゴいんだね。さらっと言ったことが通るんだね。

私なんかお母さんと大喧嘩したよ」

 私もと笑いながらはしゃぐ女子2人に咲弥は言った。

「母親は大切にしないといけないよ。なんせ私たちをこの世に産んでくれたんだか ら。そうだろう? それじゃあね。また明日」

 2人は歩いていった。


 *****


 東京極九条邸«ひがしのきょうごくくじょうてい»、皇嘉門二条家が所有する屋敷の1つ。京都にある屋敷で本邸の次に大きい屋敷。

 冬喬と加具夜は東九条邸に入ると、

「加具夜、あの失態はなんだ。君が私に高校生に成り済ませと言ったのだろう。それを他人に成り済まし源氏名を名乗っているのに正名で呼ぶとは」

 冬喬は歩きながら加具夜を怒る。

「申し訳ございません。二度とあのような失態は」

「君が私の側に着くと言ったからそうしているだけだぞ! もういい」

 2人は部屋に入ると掛けてあった袴に着替え始めた。

 冬喬は黒を主にした袴を、加具夜は韓紅を主にした袴を。

「協力者は私、娘を含めた7人です。

娘を含めた6人が大広間にて待っています。

お急ぎ下さいますよう」

 着替え終わった2人は大広間は向かった。

 広間には、6人の人物が待っていた。

「とうさま、かあさま……お待ち、しており……ました……」

 入り口に一番近い着物の女の子が言葉を発した。

「久しいね琴葉。元気だったかい」

 その女の子に返事をする。

「はい、もちろん」

 父に似た黒い長髪を振り、目を輝かす琴葉。

「いつ目覚めて、何歳になった。娘よ」

「とうさま、が……起きた、1週間ほど……前に……、それと、12になりました」

 そうか、と冬喬は答え広間に集まった残り5人を見回した。

「すまないが、1人ずつ名乗ってくれるか」

「それならば先ず私から。                          私の名は縣 心絵 «あがた このえ» 20歳、女よ。

あの冬喬様に会えてとても嬉しいわ。」

 長身の女性が名乗り始めた。

「あの冬喬様って呼ばれるほどのことはしてないけどね」

 とりあえず謙遜しておく。

「次は僕だよ。

僕は心絵の弟の心葉 «このは» だよ。6つ下の14歳の男の子」

 心絵に抱き抱えられている男の子が話した。

「宜しく、心絵、心葉」

 2人ともこちらこそと答え、次の者が話始める。

「ならば次は俺だ。

俺は法雨 剛志 «みのり つよし» だ。歳は26」

 ゴツい体つきの男が答えた。

「まあ、力仕事かなんかは俺に任せろ」

 自信満々に話す。

「じゃ、僕だね。

僕は夜桜 巴 «よざくら ともえ» っていうんだ。女で23ね。宜しく冬」

 明るい女性が名乗り出た。

「すまないが巴、その呼び方だけはやめてもらうよ。

宜しくね」

 ゴメン、巴が謝り自己紹介が終わる。

「よし、最後は僕だよ。

僕は白 元春 «つくも げんしゅん» 、言いにくいからもとはるって呼んで頂きたい。年齢は27、性別は男だ」

「元春が一番歳上だね。宜しく」

「こちらこそ、宜しくお願いいたします」

 丁寧に挨拶をした元春が答え全員の自己紹介が終わった。

 冬喬はもう一度全員を見回し床に座った。

「改めて、私は皇嘉門二条冬喬だ。

これから共に歩むものだ宜しく頼むよ。

確認だが、心絵、心葉、剛志、巴、元春、君たちは見返りも無いかも知れないのによく私の協力をしようと思ったね」

 素朴な疑問を冬喬は皆にぶつける。

「ははっ、はぁあ、ははっはっは。いや、良いね。最高だよお前」

 いきなり剛志が笑い始めた。

「俺の場合はアンタと同じさ。

ただ世界を狂わしたいからな」

 剛志は答えた後も笑い続ける。

 コイツは使える! 冬喬は直感した。

 体格から視るに直接戦闘を得手とするタイプだろう。

 夏喬には劣るがそこそこ戦える。

「他の者も似たようなことか? 答えてくれ」

 その質問に心葉以外はそれぞれ肯定した。

 しかし、心葉は違う答えを示した。

「僕は姉さんがあなたと共に戦うっていうから一緒に来ただけ」

 ふうん、加具夜と同じ様な理由か……使えるかはまだ分かんないな。

「よし、ここに集まってくれた5人は私の仲間だ。

だが、私は今、加具夜や琴葉を含め誰1人として信用していないし、信頼もしていない。

それを頭に入れといてくれるかな。

まあ、協力しようと集まってくれた皆だ。料理を用意させている。詳しい説明はそこで行おう。

その前に、なにか私に対して質問はないかい?」

「じゃあ僕から、信用、信頼はともかくこのチームのリーダーは冬喬殿だろう。

なら、役職や情報網の確認とかはどうするのだ」

 元春が言ったことはもっともだ。

 役職は直ぐに決めなくても良いが情報網は早急に決める必要がある。

 夏喬が生きている以上何かしらこちら側と接触を図ろうとするはずだ。

 正義感の強い奴のことだ。警察官かなにかになる手筈を進めているだろう。

「加具夜、スマホについてはどうなった」

「ご用意出来ております。こちらに」

 冬喬の手に2台のスマホが置かれた。

「設定等既に終わらしております。念のため、あと1台も用意しました」

 3台目を手渡し後ろに下がった。

「使い方はおいおい学ぶとして、メアド? をとりあえず加具夜に渡してくれ。

君たち5人の連絡は全て基本加具夜に、私に繋ぎたいときは緊急時のみで1台の番号? を伝えておく。」

 了解。と5人が答える。

「それと元春、君たち5人のリーダーを勤めてくれ。簡単に言うと加具夜の補佐かな。頼めるかい?」

「了解した。やらせて頂く」

「じゃあね、次は僕が聞いてもいいかな?」

「巴、なにか気になるか?」

「いや、皇朱学の前で冬喬を見たからさ、高校生かなにかしているの?」

 つまり、お前ほどの奴がなぜ皇朱学の生徒になっているかということだろう。

「なぁ加具夜、私も説明を受けてないままなんだけど」

 とりあえず、指示を出した加具夜に聞いてみる。

「貴方様は戦争終了前の夏喬君との戦いにおいて重傷を負われました。

その傷の修復に28年が必要になりました。その間の情報収集や知識の確認には高校に通うことが一番早いのです。その分野に詳しい者が近くに居る故に、冬喬様であれば1月ほどの間に確認出来るでしょう。ついでに申し上げますと、琴葉もあの学園に入っております。"咲弥の妹"ということになっております」

 そう言うことかと誰もが思った。

「追加に聞いていい、ねえ冬喬、きみはどうやって今まで生きているの?」

 誰も聞けなかった質問を心葉が聞いた。

「私と夏喬は、生まれつき病気でね。それが判明したのは22のころだったんだけど、ある部分から体の成長と衰退が同じ速さで起きるようになったんだ。

夏喬は20のまま、私は18の姿のままなんだ」

「じゃあ加具夜も同じ病気?」

「いえ、私の場合は子孫の脳内に自分の必要な記憶と知識をデータ化し受け継いでいるのです。

私は、最初の私から14代目の加具夜です。

冬喬様が私が死ぬ間際まで起きなければ琴葉にその記憶を受け継がせる予定でした」

「ゴメン、聞かなきゃ良かった」

 心葉は謝ったが加具夜は気にしていない。

 この方法が"加具夜"という者と"冬喬"という者とを繋げた方法だからだ。

「因みに、"加具夜"は1人目からこのすがただからこっちとしては変化ないんだよ」

 だからこそあの加具夜姫に会いたくなるんだけど……

「それじゃあ一先ずこれで終了。さ、料理を持ってきて」

 合図と共に数々の料理が入ってきた。

「まあ、今日は泊まっていくといい。さあ満腹になるまで食してくれ」

 食事中はそれぞれの情報交換が主に行われた。

 心絵は18で起業した天才社長、心葉は皇朱学中学部の二年、剛志は陸上自衛隊の若きエースで巴は京都府警の警察官。元春は陰陽の道を歩むそれなりの陰陽師だった。

 各々が不思議な能力を使えるようになり困っていた所に加具夜が声をかけたらしい。

「能力に関しては知られたくない者も居るだろうから詮索しない。

お互いそうしてくれ。

私自身も加具夜にさえ見せていないからね」

 まあ、加具夜姫には見せたんだけど。

「金烏は男性陣を、玉兎は女性陣を連れていってやれ」

 名前を呼ばれた男女が出てきた。

 料理を食べきった男性陣が烏羽織を着た男の子が金烏に、女性陣は金色の着物を着た女の子が玉兎に連れられて部屋へ向かっていった。

「私たちも戻るか」

 冬喬、加具夜、琴葉の3人も大広間を出ていった。


 ****


 暗い部屋の中その中に冬喬は居た。

 暗いといえども大きく放たれた窓からは月明かりが溢れていた。

「姫、今宵は綺麗な満月だ。

もしかしたら、姫からは見えないかもしれないな。

久しく姫に会ってないな。姫が恋しいよ。

あぁ、いつ振りかわからないが加具夜に姫を重ねてしまったよ。

姿はそのままだがやはり別人だな。

もうすぐ、もうすぐだ。

姫、私と姫と康春と琴葉。

新たなる世をこの4人で暮らそう」

 冬喬は手にある杯の酒を飲み干しそう言った。


*****


2人はそれぞれ新しいことを始めます。

冬喬が情報収集や知識の確認のために高校生になりました。

能力を使った戦闘は後々やっていきます。

これからどういう風になるんでしょうか。

私自身分かりません。

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