五の一
はなしの整合性が取れなくなったた前の話を一度削除しております
成実や小十郎、そして愛からの話をまとめれば、政宗はただひたすら領土を広げたい、その一心で動いている。それだけが分かった。
だからと言ってここまで戦をすることはない、そう義は思うのだ。
「私が死しても、政道がおります。次代のために私がすべきなのはこの近隣の者たちが伊達に歯向かうことがなきよう、一つの眼で睨みを利かせることだけです」
「戯けが。要らぬ怨みを買うのも如何かと思うがの」
「その辺りは田村に頼んでおりますゆえ」
「太閤殿の命は如何いたす?」
「小田原も落とせぬ者に言われたくはない」
「……左様か」
政宗は秀吉を甘く見ている。小田原を滅ぼせぬうちは大丈夫だと、本気で思っているのだ。
そして、またしても伊達と最上の間で戦が起きる。
政宗に従っていたはずの大崎氏が反旗を翻した。その大崎氏は、最上家とも所縁がある。何せ、義光の正室なのだ。
何度か最上と行き来している政宗とて、それを知っているはずである。それなのに、何故……と頭を抱えた。
「大崎氏としましては、今を逃すと伊達から離れられぬと思ったようです」
政道が政宗の代理として報告に来た。こんなことをするから、己と政宗が不仲で、政道ばかりを可愛がるという噂につながるのだ。
「兄上からしてみれば、今このように動いたのが許せないようでして……」
「後ろに最上の兄上がおる、そう考えてしまったのかの」
「……おそらくは。実際、大崎氏は最上の伯父上に助けを求めました故に」
また、戦になるのか。
「喜多、駕籠を用意いたせ」
「御意に」
駕籠の用意だけで分かる、喜多に感謝だ。政道は何も分かっていない。
「戦場付近の地の利は?」
「ちょうどよいあたりに平地がございます」
「は……母上?」
「政道、其方に伊達の留守を頼みます。わたくしは少し出かけてきますから」
「お……お気をつけて」
やっとわかった政道の顔が引きつっていた。
この合戦を度忘れしておりました。
ぜってぇ、義姫に義光と政宗は頭が上がらんどころか、逆らえないと思うのは気のせいでしょうか。
当たり前に考えれば、大将の二人が止めたって功を逸った兵士が奇襲をかけたっておかしくない。
ましてや伊達家では「当主を疎ましく思っている」とか噂されているわけでして。
しかも合戦中に行ったわけですから、行った時点で流れ矢にあたってけがをする場合もあります。
そこで数名の侍女と煮炊きをして戦が終わるまでずっと生活していたとか、恐ろしい。
……これが実話っていう時点で、義姫の凄さが分かります。