第一話
今日は天気が雨か・・・雨は嫌な事を思い出す・・・
「お兄様、おはようございます・・・お体は大丈夫ですか・・・?」
「おはよう、美月。今日も大丈夫だよ・・・早く学校に行ってきなさい」
僕の妹の美月。とても可愛くて自慢できる僕の妹。
「はい!わかりました!ですが、もう少し傍に居させてください・・・」
「そうか・・・居てもいいけど遅刻はするなよ?」
妹は両親が居ない所為なのか、できるだけ僕と居ようとする。
そんなの、間違ってるのにな・・・僕は断れないんだ。
「お兄様・・・私を抱きしめてくれませんか?」
「あ、ああ・・・分かった」
口では了承するが、身体が思うように動いてくれない。
息が荒くなり、呼吸がおかしくなってきている・・・
「ハアッ・・・ハアッ・・・」
「お兄様っ!?大丈夫ですか!?」
「あ、ああ大丈夫だ・・・」
はあ・・・またこの症状だ・・・クソッ・・・
「今日は家事なんてしなくて良いですから、安静にしてくださいね!?」
「それじゃ、美月に迷惑だ掛かるから駄目だよ・・・」
「大丈夫ですから!心配しないでください!」
「早く、学校行っておいで・・・遅刻するよ?」
「はい、分かりました・・・お兄様、くれぐれも家事をしないでください・・・では行ってきます」
そう言って美月は家を出て行った。
無機質なドアの閉まる音が耳に残ったまま、僕は倒れこんだ・・・