表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天下乱舞  作者: コウタリ
4/28

嵐の前 参

 「清佳人(セイカジン)を舞う? 蓮さまが?」


驚きで固まったままの少女に笑う。


『清佳人』は実在した7代前の王妃の逸話を基にした舞である。雲ひとつない天の下、清佳人が近しい者達だけを招いて舞を披露していると、どこからともなく美しい女人達が現れ不思議な音色の笛や歌を唄い始めた。感激した清佳人がひときわ華麗に舞うと、賑やかな音につられてやって来た王に見染められ王宮に迎えられる。


あまりにも有名すぎる舞のため、中途半端な技を持つ芸子が踊ると周りの失笑を買う。


「あの、蓮殿。」


李羅との会話を聞いていた女官の一人が恐る恐る手を挙げた。


「閉門したゆえ、今から清佳人の唄い手をお招きするのは難しいかと」


「問題ないです。歌も笛も要りませんから」


『なっ!?』

八人の女官らの目が信じられないものを見たかのように大きくなる。


『蓮殿! それはもはや清佳人とは言いませぬ!』




 その後散々女官らにお小言を告げられたが蓮は笑ってかわすだけにした。

失敗することは承知ですよと伝えたらどんな目に合うか。



「さぁ。これからが勝負の時です」



 夜半に行われた蓮の舞の披露は、李羅が思わず耳を塞いでしまうほどの側妃含む後宮の住人らの笑いを誘う結果となった。やはり女人の意見では、舞と笛と唄の三つが揃わないものなど『清佳人』とは言わぬとのことだった。その嘲笑の中、蓮は口火を切る。


「私ひとりでは清佳人の素晴らしさを伝えきれずにお恥ずかしいかぎりです。そこで、皆さま方で清佳人を演じませぬか?」

 


 我らの尊きお方、天帝殿下の御前にて。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ