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なんで洞窟?

ええーっと。ここ、どこ?


静まりかえった真っ暗闇の中、辺りを窺う。ひんやりとした空気。土と石の匂いがする。


……ってか、土? えーっと、駅前ってアスファルトよね。土、なんて歩道沿いのちーっこい花壇位だよね。

唐揚げ食べるとワープすんのか? おーい。ここどこー!?



とりあえず手に持ったままの唐揚げを袋に戻し、辺りをきょろきょろ窺ってみるが、あいかわらずの暗闇に目が慣れない。光が無いって、こんなに困るもんなのね。はぁ。


しかしこんなに暗いのなんて何年ぶりかしら。そういや子どもの頃は田舎で育ったから、電灯とかネオンとかあんまり無くてこんな感じだったな。都会に出てきてからは、ほんとの暗闇ってめったにないもんねぇ。


でもまあ、そうは言っても足元が土なのはわかる。うん。で、後ろはどうやら石というか岩というか、行き止まり。


大した瞬間移動だわー。ええーっと、それとも異世界トリップ?いやいや、まさかね。

ネット小説だったら大好物だけど、現実にあるわけないだろそんなもん。ましてや女子高生でも女子大生でもないだろあたしー。四十路でトリップしたって戦えないし嫁にも行けんわ!



実は仕事で疲れすぎて歩きながら寝ぼけちゃった? とか思ったけれども、さっきびっくりして後ずさった時に岩肌に手首をぶつけてしまって、めちゃ痛かった。なので夢ではないらしい。

おまけに手の甲もこすっちゃったみたいでひりひりする。年を取ると傷とか治りにくいし、跡が残っちゃうからやーなのよ。気をつけないとだわ。



どうやらあたしは洞窟らしきところの一番突き当たりに背を向けて立っていたようだ。


目の前には、両親と同居している一軒家の廊下よりちょっと広い位の空間が先へ続いている。両手をめいっぱい広げたらぶつかりそうだけど、荷物を持った今の状態なら余裕な位の幅はある。

地味にパニクってたら、なにやら遠くからコツコツという音が。



「えーと、なんだろこの音」



誰かいるのかも。声をかけてみようか、いやいや、それはまだちょっと早いかな。

音のするほうへ、そろりそろりと移動してみる。思ったより石ころが無いのであまり足音がしない。


最近、体型のせいもあって「ドタバタ歩くな!」と、よく父親に小言を言われているが、やればできるんじゃん、あたし。

昔から食べる量はかわらない(はず)なのに、年と共に体重が落ちなくなっちゃって。重さが足にくるのか、平らなところでつまづくのが得意になりつつあるのよね。おまけにこのところ、血圧も高め。落ちるのはお肌と胸だなんて空しすぎるわー。



……なんて黄昏たそがれてたら、いきなり前方が明るくなりだした。ひえっ。ななな、なにごとっっ。



あ、でもおかげでちょっとだけ周りが見えるようになった。どうやらこの先は左に曲がれるようだ。突き当たりまで進み、角から光の方向を覗いてみる。

洞窟の出口かと思ったそこには場違いに装飾された柱があり、柱と柱の間――半間ほどある――から奥の様子を窺ってみると、結構な広さの空間が広がっていた。


なんか50人位は入れそうじゃない? 床も土じゃなくて切り出した石のようなものが敷かれている。もしや大理石?

お向かいの壁際にも目の前の柱と同じ柱らしきものがぼんやりと見てとれる。



中央辺りには台座のようなものがあり、その上でコツコツと音をたてるまあるい何かが光っていた。



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