神隠し
鹿児島で一泊し、翌日は予定通りに飛行機が飛んだので、青島孝と関森由紀は目的地に到着する事ができた。
その頃、全国各地で、いや、世界各地で、次々と失踪事件が起きていた。しかも、科学者か技術者ばかりであった。
特に多いのは、ロボット工学やバイオテクノロジー、AI…最先端の科学の知識を持つ人間たちだ。
失踪は突然起こる。しかも、目撃者は次々と出てくる。皆が口を揃えて、同じ事を供述した。
「突然消えたんです」と…。
若者は異世界に行ったんじゃない?と言い。年配者は神隠しだという。異次元に行ったと言う者もいれば、ただのマジックだと言う者もいた。
アーク日本支部は、瞬時に移転を完了した。緊急事態に備えて、予め予備の基地は建設していた。警察がくる事は、事前に情報を収集していたから、予備の基地に移転する準備をしていたのだ。そこに、出来上がったばかりの最新式次元転送装置が届いた。それは、広大な基地全体をカバーするもので、基地にいた者達を全員、異次元の地球に転送し、更に、予備の基地に転送した。
アークの支部長室に加藤支部長と三宅副支部長がいる。
二人はソファに向かい合って、腰掛けていた。三宅副支部長が進捗状況の説明をしているところだ。
「第二段階は順調にいっています」と、三宅副支部長。
加藤支部長は頷き、口を開いた。
「林田の方は?」
「関森義行と関森清美をさらっていきました」
「四石をまだ探しているようだな」
「はい。探し出した所で、横取りします」
「追跡はどうなっている?」
「スパイを潜り込ませてます。大丈夫です」
「それにしても、新型の次元転送装置は素晴らしい」
「はい。広域からスポットまで、カバーできる優れものです」
「ところで、拉致して来た 科学者や技術者は、おとなしくしているかね」
「はい。家族に危害をくわえるという事で、おとなしくさせています」
「わかった。引き続き頼む」
「はい」
と、頷いて三宅副支部長は立ち上がり、部屋を出た。