ロビー
青島孝と関森由紀はロビーで、待つ事にした。
既に沢山の人がロビーにいて、ソファは結構埋まっていたが、青島孝と関森由紀は空いているところを見つけて、腰掛けた。
向かい側には、品の良い、初老の夫婦と思われる人が腰掛けていて、腰掛けるとすぐに、女性が話しかけてきた。
「飛行機もバスでも一緒だったけど、あなた達も、台風で足止めなの?」
関森由紀は害意がない事を読み取り、答えた。
「はい。そうなんです。今頃台風なんて、驚きました」
「晩秋なのに。これも気候変動の影響よね?」
と、隣りに腰掛けているご主人らしき人を向いた。
「そうだな。気候変動は激しくなる一方だ。大西洋の海流は動きが鈍くなり、暖流がイギリスに行かなくなったので、イギリスでは、大寒波が襲来している。世界の氷河が溶けていっているが、その溶けるスピードが増している。寒冷になった地域もあるが、地球規模では、気温上昇が加速している」
「そうですか。今後、どうなるのでしょうか?」
と、青島孝が尋ねた。
「まず、食糧危機が問題だな」
「寒冷だった地域に作物ができるようになるので、そう問題にならないのでは?」
「それはそうだが、その地域の人口は少ない。仮に移住するにしても、国境を越えなきゃならん事もあり、簡単にはいかない。水不足も心配だし、砂漠化が進むのも心配だ。悪い方に悪い方に進んでいる」
話は尽きなかった。しかし、やがてチェックインの時間が来たので、後で一緒に食事をする約束をして、別れた。




