現代版 蛇足
2人の男が知人から酒をもらった。
だが2人で飲むには物足りない量だった。
「蛇の絵を早く描けたほうが独り占めする、というのはどうだ」
「よかろう、その勝負のった」
男らは描き始める。
すると提案したほうの男が、わずかな時間でそれは見事な蛇の絵を出してきた。
少しの差で、もう1人の男も絵を描き上げた。
「どうだ、これで酒は俺のものだな」
「いいや、俺のものだ」
そう言うと、あとに描き上げた男が酒を飲み始めた。
「なぜだ、俺のほうが先だったろう」
「自分の絵をよく見てみろ」
「なんだと」
「お前の蛇には足が付いている。足の生えた蛇など蛇ではあるまい。急いで生成AIを使ったな?」
「あっ!?」
男は慌ててプロンプトの余計な部分を書き換えた。
だが、そのあいだに酒は飲み干されてしまった。
AIの是非とか、そういう難しい話ではないです。