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クランタと一緒にエジンバラ王国へ

午後。エジンバラ王国に行く時間がやってきた。

私とクランタは馬車に乗り込む。バスや電車、飛行機しか使ったことが無い私には新鮮な体験だ。


「ねぇ、クランタ。エジンバラ王国ってここからどのくらいかかるの?」

「4時間くらいです。お姉様、やっぱり今日は少しおかしいですよね」

お手伝いのフィラもルミアも知っている。ザイン王たちも知っているのだ。

きっと誰かがクランタにも言っているのだろう。


「まぁまぁ。ちょっとねぇ…」

変にごまかしても、ここは馬車の中。問い詰められたら逃げることはできない。

ごまかすのは止めて、のらりくらりとかわすことにした。


「クランタ、フィルシア王子ってどんな人なの?」

「えっ?毎月お会いしているじゃありませんか」

「いや、ほら。クランタしか知らない顔も見せてるんじゃないかなって」

「…そうですねぇ、本当に真面目な方ですよ」

「ふぅん…そうなんだ」

「ええ。とても誠実で、嘘などつけない方です」

「そんな事、分かるの?」

「直観ですけどね」

「…そう」


嘘つきは隠すのが上手だけどなぁ…と思ったが、言うのは止めておいた。

もしかしたら本当かも知れないし。


「ファルシア王子の他に、レフィ王子っているよね。王子はこの2人だけなの?」

「ノエル王子もいらっしゃいますよ」


何と、初耳だ。

これから向かうエジンバラ王国。王子は2人なのかと思っていたが、3人いるらしい。

でもザイン王は私に「レフィ王子がお前を見初めてくれれば…」みたいな話をしていた。

ノエル王子ってクセが強いのかしら。


「ねぇ、レフィ王子とノエル王子ってどんな人達なの?」

「レフィ王子はいつも笑顔が素敵ですね。剣術にも長けているみたいです。ノエル王子は…そうですね…」

クランタは斜め上を見ながら、考え込んでしまった。ノエル王子ってどんな人なんだろうか。

「そうですね、ノエル王子は…『のんびり屋さん』です」

「のんびり屋さん?ぼーっとしてるってこと?」

「まぁ、そんな感じです。ドジでおっちょこちょいって言うか」


なるほど、第3王子であるノエル王子はそういうキャラなのか。

「あ、でも良く私たちとおしゃべりして下さるじゃないですか」

「あ、あぁ、そうだったね」


「で、ファルシア王子とクランタが良い感じってことよね」

「…止めて下さい」

「またぁ、照れちゃってー」

クランタは顔を真っ赤にして横を向いてしまった。


「レフィ王子とノエル王子は、どう?かっこいい?」

「…何とも言えませんよ」

まぁ確かに。クランタにはファルシア王子がいるしね。


「いや、エジンバラ王国での評判よ、評判。どんなかなぁって思って」

「どの王子も皆から非常に人気がありますよ。まぁノエル王子は少しぼんやりされてますけど…」


なるほど、皆それなりにイケメンなんだな。


…………………………………


「…あれっ?あっ、寝てたのかぁ」

「やっと起きましたね、エメル」

どうやら馬車の中で眠っていたらしい。どうも馬車の揺れはθ波やδ波を誘発してるっぽい。わりとα波になるのかなぁなんて思ってたけど…私もまだまだだ。


「ん?すっごい橋だね、あれ」

「でしょう?あの吊り橋、エジンバラ王国への近道なんですよ」

ちょうど近くで歩兵たちが行進をしていた。自警団も含まれているような感じだけれど、一糸乱れぬ行進は美しかった。


「凄い行進ですよね」

「そうだね、よく訓練されてるねぇ」


「ちょっと遠回りした方が良いかもねー」

「えっ?何をおっしゃるんですか?せっかくの近道なのに…」

「まだ時間に余裕、あるんでしょ?」

「ありますけど…」

「じゃあ、今日は遠回りしよう」


私は御者に「あの吊り橋を避けて頂戴」とお願いした。

「はい。分かりました!」

馬は踵を返し、右方向にある橋へと向かった。


「…なんで吊り橋を通らないのですか?」

クランタは少し不満そうだった。

「いや、落ちるかも知れないから」

「えっ?そんな訳ないじゃないですか!」今度は笑い出した。


私は心の中で、吊り橋の固有振動数、どうなってるのかなぁと考えていた。

「なーんか、あの行進と共鳴しそうで怖いのよねぇ」

「きょうめい?」

「あぁ、良いの良いの。こっちの話。ささ、もう少しで到着みたい!」


馬車はエジンバラ王国に向けて進んで行った。


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