生き返ってみますか?
『異世界もの』初めて挑戦しています!
他サイトにも掲載予定です。
私は死んでしまったらしい…まだ17歳なのに!?彼氏も欲しかったのに…結婚だってしてみたかった…。そもそも大学受験だってあったのにぃぃ…あぁ…マジ青春したかったなぁ…
「こらこら。何を一人で泣いているのですか」
「…だって…私の人生これからだってのに…ん?誰?」
目の前には金髪の美しい女性が立っていた。耳はピンと立ち、白いワンピース…?手には何かスティックらしき物を持って、微笑んでいる…やっぱり私、死んだんだ。
あぁ…お母さん…
「私は案内人ですわよ」
「…案内人?」
「ええ。ジャミンと申します」
「…てことは、私、死んだんですか」
「ええ」女性はにっこりと微笑みながら答えた。美人な人。
「…そうですか。この後、私どうなるんですか」
草原のような穏やかな場所。心地良い風が吹いて、草がなびいている。どこまでも草原は続いているように見えた。
ここが『あの世の入口』ってやつなの?
「本来でしたら『審判』が待っているんですけれど…あなた、もう一度やり直してみますか?」
「えっ?生き返る事ができるんですか?」
「ええ。あなたがお望みであれば」まただ。女性は優しく微笑んだ。綺麗な人だなぁ…。
「あなた、興味深い能力をお持ちのようなので…特別です」
「ありがとうございます!私、頑張ります!!」
「では、あなたの持っている力を有効に使って下さいね」
「…えっ?」
女性は持っているスティックをくるんと1回転させた。
まばゆいばかりの光が、辺り一面を覆い尽くし、私の視界さえも奪ってしまった。
「…うわっ…眩しい…」
嵐のような光の中、私はまた意識を失った。
「…行きましたか。あなたも是非楽しませて下さい。一応、言葉も文字も大丈夫にしておきましたからね」女性はまたも微笑んだ。
本当なら、今頃台湾に到着していたはずだった。
高校2年生の私は修学旅行へと旅立っていたのだ。飛行機の中、友達みんなで楽しく騒いでいた辺りまでは覚えている。確か急に機体が大きく揺れ出して、真っ暗になった。CAの人のアナウンスが入って…悲鳴が凄くて…その辺から意識が無くなってしまった。
受けた重力に耐えられなくて、気絶したっぽい。そして墜落したんだと思う。たぶん。
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「エメル様!エメル様!早く起きて下さい」
「…うーん…なぁにぃ…?」
「エメル様。もう朝でございます」
誰だか分からない、女性のつんざくような声で私は目を覚ました。
「…え?エメル…?」
「エメル様、何をおっしゃているのですか?しっかりして下さい」
私はエメルというらしい。
「えぇ…?」
「朝食のご準備、もう整っておりますよ。クランタ様もお席に着かれています」
「あっ、うん」私はとりあえず話を合わせた。
驚いた。豪華なベッドにカーテン。そもそも私の着ている服。ここって中世のヨーロッパなのかなと思った。確かに生き返ったみたいだけど…話が違うよね?と思ったが、クランタという人が待っているらしいので、急いだ方が良さそうだった。
「お姉様、おはようございます」
食堂に案内されると、すでに女性が一人、食事を始めていた。
「あぁ、おはよう!寝坊しちゃった…」
私は肩をすぼめてみせた。
「…早く食べないと、冷めてしまいますわよ」
「あっ、そうだね。私も食べようっと」
リアクションの無い女性に「やっちゃったかな」と思いつつ、私も席に着く。
「いただきまーす」
皆の視線を一斉に浴びながら、私も食事を取った。
どうやら私は『エメル』というらしい。そして目の前の女性はたぶん『クランタ』だ。私の事を「お姉様」と呼んでいたので、私が姉でクランタが妹なのだろう。そして寝室や食堂を見た感じ、中世のヨーロッパに似ているけど…確証が持てない。
「…ねぇねぇ、今って西暦何年?」
「…ねぇねぇ、ここってどこ?」
なんて聞いたら…何て思われるかな。そもそも私はどんなキャラなんだろう?記憶喪失になってしまった体を装う??でもなぁ、そんなことして一大事になったら大変だしなぁ。
生き返らせてくれたのは本当みたいだけど
…やってくれたな…あの女神…
「はぁ…」
ため息をつきながら、私はパンを手にした。