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遠藤明と今井雄一の二人は、今井宅のガレージで次の標的について話し合っていた。
「今井さん。次の標的が決まりました。宮本彰吾、山口龍平の二名です。」
そう言って、遠藤は今井雄一に玉橋刑事のスマートフォンを手渡した。
「これを使ってください。死体から切り取っておきました。」
さらに遠藤は玉橋刑事の切り落とされた右手人差し指も渡した。
「そろそろその指は使えなくなりそうです。使うときに少し暖めたりしたのですが、少々臭ってきたので。」
「確かにそれは嫌ですね。私の携帯で写真を撮っておきますよ。」
そう言って、今井雄一はポケットから自身の携帯を取り出すと、玉橋刑事のスマートフォンに保存されている写真を携帯のカメラで取り出した。それを見た遠藤は、彼に気づかれないように笑みを浮かべた。
「玉橋の携帯の情報からして、宮本彰吾と山口龍平は彼らです。」
遠藤は今井雄一が持っている玉橋刑事のスマートフォンに表示されている写真を指さしながら言った。
「玉橋の捜査手帳によると、彼ら二名は一緒になって行動することが多いようです。それ故、まず、二人の内一人を捕まえます。」
「なるほど。どちらか一人を誘拐して、もう一方はそれをエサにおびき寄せるという作戦ですね。」
「はい。最初の標的は山口龍平です。理由は簡単です。宮本彰吾の方が見るからに体格が良いからです。少しでも成功率を高めるために、彼は後から確実に抑えます。」
「わかりました。しかし、山口龍平はどうやって捕まえるんですか?何か別の方法でおびき寄せるんですか?」
「いえ、それはリスクが高すぎます。山口龍平だけでなく宮本彰吾まで一緒に来てしまう場合もあります。さすが現役の警察官を二人も相手にするなんてことは私たちには出来ません。なんせ老人と女性ですからね。」
「では、どうするんですか?」
今井雄一がそう尋ねると、遠藤は笑みを浮かべて口を開いた。
「今井さんはホラーやスプラッター映画を観たことはありますか?」
「いえ、無いですが。」
「ここは楽しくありきたりな方法で行きましょう。それにしっかりとやれば相手は何も抵抗できませんよ。」
そう言うと、遠藤は持ってきたショルダーバックから注射器らしきものを取り出した。
「それは?」
今井雄一が遠藤に尋ねる。
「過去の努力の賜物ですよ。」
そう言った遠藤の表情は自信に満ちたものだった。




